SSブログ
映画賞・映画祭 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

第80回アカデミー賞 授賞式 3/3 [映画賞・映画祭]

6236608.jpg
The 80th Annual Academy Awards

第1回第2回に続き、今回は2008年3月に行われた80回目のアカデミー賞をお伝えします。

6629481.gif
<外国語映画賞: Best Foreign Language Film >
プレゼンターは、4カ国語を話すペネロペ・クルスです。黒のドレスがとても似合っていました。外国語映画賞のプレゼンターに外国出身でハリウッドで活躍する俳優を起用するのはアカデミー賞らしい演出でした。
ノミネートはイスラエル映画「Beaufort」(邦題「ボーフォートレバノンからの撤退」)、オーストリア映画「The Counterfeiters」(邦題「ヒトラーの贋札」)、ポーランド映画「Katyn」、カザフスタン映画「Mongol」(邦題「モンゴル」)、ロシア映画「12」です。
受賞は、オーストリア映画「The Counterfeiters」(邦題「ヒトラーの贋札」)でした。外国語映画賞は、「モンゴル」の主人公が日本人だったので期待していましたが、大方の予想通りの結果となりました。外国語映画賞をオーストリア映画が受賞するのは、史上初です。舞台に上がったのは監督のステファン・ルツォヴィッキー。彼はビリー・ワイルダー、F.ジンネマン、O.プレミンジャーなどハリウッドで活躍するオーストリア人の名をあげ、そしてナチス映画でオーストリア初のアカデミー賞を受賞できたのを喜んでいました。

●●●歌曲賞候補パフォーマンス●●●
パトリック・デンプシーが紹介するのは、「魔法にかけられて」からA.メンケンとS.シュワルツによる「So Close」。続いてジョン・マクラフリンによるのパフォーマンスが行われました。舞台では映画が再現されたような豪華な演出が施され、映画を見た人がとても喜ぶ感動するものでした。映画の中で流れる歌のパフォーマンスは、他ではなかなか見ることができないので、毎回とても楽しみです。今回は「魔法にかけられて」の楽曲が多かったので、豪華なショーとなりました。

舞台では、複数のダンサーが舞踏会を再現していましたが、その中になんとジョン・トラボルタがいました。そして音楽が終わると、プレゼンターとして登場しました。なかなか面白い趣向です。

6629481.gif
<歌曲賞:Best Song>
ノミネートは「Onceダブリンの街角で」から" Falling Slowly "、「魔法にかけられて」から" Happy Working Song "、「オーガスト・ラッシュ」から" Raise It Up "、「魔法にかけられて」から" So Close "、「魔法にかけられて」から " That's How You Know "。
「魔法にかけられて」が3曲ノミネートされていましたが、受賞は" Falling Slowly "でした。G.ハンサートは、ハンディカム2台を使い3週間という短期間、そして10万ドルという低予算で完成させた映画がこれほどまでに評価されるとは思っていなかったという感動のスピーチを行いました。最後のセリフは「Make Art !」ハリウッド大作ではなく、このような芸術性の高い小作がきちんと評価されるのもアカデミー賞らしい出来事でした。

司会の、ジョン・ステュワートが、ここで呼びかけを行いました。「カリフォルニア・ナンバーのプライベート・ジェットを会場前に駐めている方、着陸灯がついたままです。」
すると慌てて飛び出してきたのがジョン・トラボルタ。トラボルタは自他共に認める飛行機マニアです。このような細かなコメディ要素が幕間に用意されているのがいかにもハリウッドです。


●●●幕間:Oscar Icon●●●
スピルバーグがオスカー受賞の瞬間を思い出し語りました。「シンドラーのリスト」はとても思いを込めた作品だったのでとても嬉しかったと当時を回想しました。そして受賞時のコメントが流れました。「この中継を見ることのできない600万人の犠牲者にこの賞を捧げます」と....

6629481.gif
<歌曲賞:Best Song>
授賞式は、受賞者のスピーチが長くなるので、できるだけ短くするように事前にノミニーに告げられています。よって、受賞者がスピーチをちょっとでも長引かせると、強引に音楽が流れ舞台から降ろされるのです。
歌曲賞ではG.ハンサートとM.イルロヴァが舞台に立ちましたが、M.イルロヴァは話すことができませんでした。そこで、もう一度彼女を舞台に上げスピーチの時間を作りました。こういうことはとても珍しいことです。

6629481.gif
<撮影賞: Achievement In Cinematography>
キャメロン・ディアスの登場です。「シネマトグラフィー」という単語を発音するとき咬んでしまったディアスは、その単語を使うとき、注意深く発音していたのが微笑ましかったです。
ノミネートは、ロジャー・ディーキンス(「ジェシー・ジェームスの暗殺」)銀のこし風の映像が美しかったです、シェーマス・マクガーヴェイ(「つぐない」)アンバー気味のフィルムらしい撮影が映画全体のテイストを作っていました、ヤヌス・カミンスキー(「潜水服は蝶の夢を見る」)スピルバーグの盟友は、こんな映画でも才能を発揮していました、ロジャー・ディーキンス(「ノー・カントリー」)照明と美しい画角デザインが見事でした、ロバート・エルスウィット(「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」)奥行き感のある照明設計と自然光の取り込みが実に巧みでした。
受賞は、ロバート・エルスウィット。今回はかなりハイレベルな戦いとなりましたが、納得のいく結果ではないでしょうか。彼の「グッドナイト&グッドラック」などに代表される毎回作品のテーマにあわせた撮影技法には脱帽させられます。

●●●メモリアム・トリビュート Feb. 1, 2007 - Jan. 31, 2008●●●
ヒラリー・スワンクが、この1年で映画界が失った人々を紹介しました。
ロスコー・リー・ブラウン、バリー・ネルソン、キティ・カーライル・ハート、ベティ・ハットン、カルヴィン・ロックハート、ジェーン・ワイマン、メルヴィル・シェイベルソン(脚本家)、カーティス・ハリントン(監督)、ジャック・バレンティ(アメリカ映画協会元会長)、マイケル・キッド(ダンサー)、ミケランジェロ・アントニオーニ(監督)、デルバート・マン(監督)、モンタギュー・ウェストモア(メイクアップ)スピルバーグ作品をおおく手がけました、ピーター・ハンドフォード(音響)、バド・イーキンズ(スタントマン)、バーナード・ゴードン(脚本)、バブス・グリア、ジャン・クロード・ブリアリ、ハロルド・マイケルソン(美術監督)、ラレイン・デイ、ジャン・ピエール・カッセル、ロイス・マックスウェル、ラズロ・コバックス(撮影)、ロバート・クラーク(監督)、ジョージ・ジェンキンス(美術監督)、ジョニー・グラント(ハリウッド名誉市長)、フランク・ローゼンフェルト(MGM元会長)、マーティン・マヌリス(プロデューサー)、ドンフェルド(衣装デザイン)、ウゥマン・センベーヌ(監督)、フレディ・フィールズ(エージェント)、ロバート・ランツ(エージェント)、レイ・カーツマン(映画芸術科学アカデミー)、ナンシー梅木「サヨナラ」でアカデミー賞を受賞した日本人です、スザンヌ・プレシェット、デボラ・カー、ピーター・エレンショー(ビジュアル・エフェクツ)、ピーター・ジナー(編集)ゴッドファーザーなどを手がけました、フレディ・フランシス(撮影)イングマール・ベルイマン(監督)偉大な監督が遂に亡くなってしまいました、レイ・エヴァンス(音楽)、ウィリアム・タトル(メイクアップ)、ヒース・レジャー

6629481.gif
<作曲賞: Best Orijinal Score>
プレゼンターはエイミー・アダムスです。「ジョーズ」「未知との遭遇」「ロッキー」の音楽を流し映画音楽の素晴らしさを伝えました。
ノミネートは、ダリオ・マリアネッリ(「つぐない」)、アルベルト・イグレシアス(「君のためなら千回でも」)、ジェームス・ニュートン・ハワード(「フィクサー」)、マイケル・ジアッキーノ(「レミーのおいしいレストラン」)、マルコ・ベルトラミ(「3:10 to Yuma」)。
受賞は、「つぐない」のダリオ・マリアネッリでした。

6629481.gif
<短編ドキュメンタリー賞:Best Documentary Short Subject>
トム・ハンクスの登場です。今回は彼はノミネートなしです。短編ドキュメンタリー賞は、ハンクスが紹介したイラク駐留軍が中継で行いました。受賞作はC.ウェイドとV.ロスが作った「フリーヘルド」でした。

6629481.gif
<長編ドキュメンタリー賞:Best Documentary Feature>
引き続きトム・ハンクスがプレゼンターです。今回ノミネートされた作品の2作品「No End In Sight」「Operation Homecoming」はイラク戦争、3作目「シッコ」はアメリカの医療制度、4作目「闇へ」は政治犯の虐待をテーマにしています。5作目「ウォー・ダンス」は、ウガンダの音楽コンテストを題材に希望のあるテーマを扱っています。つまりおおくの作品が病めるアメリカの真実を告発しているのです。
受賞は、「闇へ」のアレックス・ギブニーとエヴァ・オーナーでした。捕虜を虐待した米軍を許せずこの映画を作った、この賞を亡き2人(アフガンのタクシー運転手と海軍の尋問官だった父)に捧げるという力強いスピーチにアメリカの奥深さを感じました。

●●●幕間:Oscar Icon●●●
エルトン・ジョンがオスカー受賞の瞬間を思い出し語りました。

6629481.gif
<脚本賞:Best Original Screenplay>
「インディ・ジョーンズ」のテーマ曲に乗り登場したのはハリソン・フォード。フォードは脚本賞のプレゼンターです。
ノミネートは「ジュノ」のディアブロ・コディ、「Lars and the Real Girl」のナンシー・オリヴァー、「フィクサー」のトニー・ギルロイ、「レミーのおいしいレストラン」のブラッド・バード他2名、「The Savages」のタマラ・ジェンキンス。
受賞は、「ジュノ」のディアブロ・コディでした。彼女は初ノミネート初受賞となりました。

●●●特集:主演男優賞●●●
過去の主演男優賞の受賞を振り返る映像です。「波止場」のマーロン・ブランドは、スピーチでオスカー像が想像していたよりずっと重いと語りました。若々しいハンフリー・ボガード、グレゴリー・ペックが受賞した映像、貫禄のあるジョン・ウェインの雄姿、ジーン・ハックマン、ジャック・レモンの喜び...が映し出されました。ロバート・デニーロ、ジェレミー・アイアンズ、ダニエル・デイ・ルイス、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、トム・ハンクス、キコラス・ケイジ、ラッセル・クロウ、デンゼル・ワシントン、エイドリアン・ブロディ、ショーン・ペン、ジェイミー・フォックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、フォレスト・ウィテカーと最近の授賞式の映像はどのカットも瞬間に思い出せる程印象に残る場面でした。

6629481.gif
<主演男優賞:Best Actor in a Leading Role>
プレゼンターは、昨年「クイーン」で主演女優賞を受賞したヘレン・ミレンです。彼女は深紅のドレスで登場です。「野心、不道徳、欲、ずるさ、惨めさ、金銭欲、後悔、高潔、寛大、上品さ、そして古くさい肝っ玉。まるでスタジオのトップに必要な要素に聞こえますが、これらは主演男優達の演技力が作り出す人間らしさの数々です」という面白いスピーチを行いました。
ノミネートは、ジョージ・クルーニー(「フィクサー」)、ダニエル・デイ・ルイス(「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」)、ジョニー・デップ(「スウィニー・トッド」)、トミー・リー・ジョーンズ(「告発のとき」)、ヴィゴ・モーテンセン(「イースタン・プロミス」)。
受賞は、ダニエル・デイ・ルイスでした。彼は2回目のオスカー受賞です。ミレンからオスカー像を受け取ったルイスは爵位を受け取るような心境だと笑わせました。

●●●特集:監督賞●●●
これも豪華で歴史に残る映像です。尊敬する歴代の名監督達が次々と登場しました。ジョン・ヒューストン、デビット・リーン、コッポラ、フォアマン、レッドフォード、アッテンボロー、ポラック、レビンソン、ストーン、コスナー、デミ、ゼメキス、ギブソン、キャメロン、スピルバーグ、ソダーバーグ、ハワード、ジャクソン、イーストウッド。ラストネームだけで誰か分かるほど有名な監督達が次々に受賞する瞬間を繋いでいきました。
最後はマーティン・スコセッシ。「旧友達がプレゼンターで感激です」と話す彼の脇にはコッポラ、ルーカス、スピルバーグの姿がありました。

6629481.gif
<監督賞:Achievement in Directing>
私の映画の先生でもあるマーティン・スコセッシの登場です。
ノミネートは、「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリアン・シュナベール、「ジュノ」のジェーソン・ライトマン、「フィクサー」のトニー・ギルロイ、「ノーカントリー」のコーエン兄弟、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン。
受賞は「ノーカントリー」のコーエン兄弟でした。彼らは「ファーゴ」に続いて2回目の受賞です。

口ひげをはやしたデンゼル・ワシントンがやってきました。彼は作品賞を発表します。
ノミネートは、「つぐない」「ジュノ」「フィクサー」「ノーカントリー」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」。
受賞は「ノーカントリー」のS.ルーディン、E. コーエン、J.コーエンでした。コーエン兄弟は舞台袖から再び登場です。
スピーチはプロデューサーのS.ルーディンが行いました。プロデューサーらしい気配りのきいた名スピーチでした。

第80回アカデミー賞は、このように終わりました。今年は「ノーカントリー」が主要賞4部門を受賞しましたが、他のノミネート作品も素晴らしい映画です。皆さんも是非、今回ノミネートされた作品をご覧になってください。きっと映画の面白さが分かると思います。



<関連リンク>
第80回アカデミー賞授賞式 1/3
第80回アカデミー賞授賞式 2/3

第79回アカデミー賞授賞式 1/2
第79回アカデミー賞授賞式 2/2

第78回アカデミー賞授賞式



nice!(79)  コメント(24)  トラックバック(1) 
共通テーマ:映画

第80回アカデミー賞 授賞式 2/3 [映画賞・映画祭]

6236608.jpg
The 80th Annual Academy Awards

前回に続き、80回を迎えたアカデミー賞の報告です。受賞作だけにフォーカスすることなく、アカデミー賞の本当の面白さ、素晴らしさが伝わると嬉しいです。

6629481.gif
<脚色賞: Best Adapted Screenplay>
プレセンターはジョッシュ・ブローリンとジェームス・マカボイです。ふたりは、映画の名セリフを次々に紹介します。どれも、セリフだけで映画のタイトルがわかるほど有名です。「風と共に去りぬ」「カサブランカ」「ゴッドファーザー」「ジョーズ」....映像が鮮明に浮かび出すセリフを書いたのは脚本家です。これらは、元々原作がある作品群です。そう、このふたりは、既に発行されている作品を元に書かれた脚本に与えられる「脚色賞」を発表するためにあらわれたのです。
日本では、脚本賞は、原作があるものとないものが一緒に評価されています。これは明らかにおかしいです。原作をどう映画的にアレンジするのかとストーリー自体を考え出すことは仕事として大きく異なる領域だからです。
ノミネートは、「つぐない」のクリストファー・ハンプトン、「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」のサラ・ポーリー、「潜水服は蝶の夢を見る」のロナルド・ハーウッド、「ノーカントリー」のコーエン兄弟、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・トーマス・アンダーソン。どの作品も原作から話題となったので、誰が受賞してもおかしくないです。

受賞は「ノーカントリー」のコーエン兄弟でした。彼らは過去に6回ノミネートされ、今回で2度目の受賞です。前回はオリジナルの脚本「ファーゴ」で受賞しました。コーエンは、原作を吟味したからこの賞が受賞できたと語りました。

<アカデミー賞の仕組み>
ここでアカデミー協会会長のシド・ガニスが登場しました。彼は、アカデミー賞がどのように決まるのかを説明しました。
アカデミー会員は世界中に6000人いるそうです。対象作品は数百本。対象作品から候補作品を選び受賞作を決めるのは大変な作業です。この過程で最も大事なことは、会場で封筒を開ける瞬間まで秘密を守るということです。この選出の流れを映像で見せてくれました。

アカデミー会員は、映画をただで見ることができるそうです。できるだけおおくの映画を見て投票をするのだそうです。まずは、会計事務所から会員全員に全作品のリストが郵送されます。全会員が作品賞の候補作を5つ選びます。各部門の候補は、それぞれ専門分野の会員が選びます。場合によっては、まだ映画を見ていない会員のために、アカデミーにより映画の上映会が行われます。
候補作が決まると、その情報は世界に配信されます。毎年1月になると発表になるノミネート作品群のことです。
会員はノミネート作品の中から自分が素晴らしいと思った作品に投票します。この集計は、厳密に行われ、アカデミー賞当日まで厳重に管理されます。集計に当たるのは外部の会社で、たとえアカデミー会長でもその情報を知ることは出来ないのです。

このように、映画業界で働く人々によってきちんとした手続きで決まる行程があるからアカデミー賞は長年威厳を持ち続けているのでしょう。どこかの国の映画賞のように、グレーボックスの中で密談が行われ賞が決まってしまうということはないのです。

●●●歌曲賞候補パフォーマンス●●●
マイリー・サイリスが赤いドレスを着て登場しました。「魔法にかけられて」は、今回2曲ノミネートされています。A.メンケン、S.シュワルツによる「That's How You Know」も素晴らしい楽曲です。歌はクリスティン・チェノウェスがうたいました。ディズニーらしい楽しい演出で盛り上がりました。

司会のジョン・ステュワートが、会場には3人の妊婦がいることを発表しました。ジェシカ・アルバ、ケイト・ブランシェット、そしてニコール・キッドマンです。アンジェリーナ・ジョリーも妊婦ですが本日はベビーシッターがいないので会場に来られなかったという笑い話を披露しました。

6629481.gif
<音響編集賞: Achievement In Sound Editing >
「プレゼンターは、ジュディ・デンチとハリー・ベリーです。」とジョン・ステュワートが紹介しましたが、音楽に乗ってあらわれたのはジョナ・ヒルとセス・ローゲンでした。デンチとベリーが欠席のために代理で登場した二人は、自分がデンチに似ているのかベリーに似ているのかと議論をはじめます。ご存じのようにヒルもローゲンもデンチやベリーには全く似ていません!
ノミネートは、「ボーン・アルティメイタム」トッドAOのチームは、素晴らしいエフェクトを制作しました。とても大変な作業だったはずです。「ノーカントリー」映画の演出を補佐するサウンドデザインには感心させられました。「レミーのおいしいレストラン」音響編集賞常連のランディ・トムとM.シルヴァースは、ルーカスフィルムの1部門であるスカイウォーカーサウンドのチームです。「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」一見地味ですが丁寧なサウンドデザインに好感が持てます。「トランスフォーマー」今まで誰も聞いたことのない音を作り出す苦労は大変だったはずです。

受賞は、「ボーン・アルティメイタム」のK.B.ランダースとP.ホールバーグでした。迫力あるカーチェースのシーンをはじめ、丁寧な仕事に拍手!

6629481.gif
<録音賞: Achievement In Sound Mixing >
引き続きジョナ・ヒルとセス・ローゲンがプレゼンターです。相変わらずハリー・ベリーが自分だと主張してノミネート作品を発表しました。
「ボーン・アルティメイタム」「ノーカントリー」「3:10 To Yuma」「トランスフォーマー」が候補作で、受賞は「ボーン・アルティメイタム」でした。

録音賞というのは、間違った邦訳で、本当は音響ミックスというのが正しいと思います。ハリウッドでは現場録音はあまり重要ではなく、基本的に後で音を作り出します。役者は自分の演技に自分で声をあてるのです。ですから、現場での「録音」ではなく、編集後の映像に音を作り出す作業に与えられるのがこの賞です。何チャンネルにも及ぶ音声データを見事に1本の作品に成立させたS.ミラン、D.パーカー、K.フランシスは、素晴らしい仕事をしました。

●●●特集:主演女優賞●●●
過去の主演女優賞の受賞を振り返る映像が上映されました。エリザベス・テイラー(「バターフィールド8」)、ジュリー・アンドリュース(「メリー・ポピンズ」)、ジェーン・フォンダ(「コールガール」)、ルイーズ・フレッチャー(「カッコーの巣の上で」)、シシー・スペイシク(「歌え!ロレッタ愛のために」)、マリー・マトリン(「愛は静けさの中で」)、シェール(「月の輝く夜に」)、ジェシカ・ダンディ(「ドライビング Miss デイジー」)・・・昨年のヘレン・ミレン(「クイーン」)まで、彼女たちの受賞の瞬間、そしてスピーチが見事な編集で会場に流れました。
どのシーンも映画史に残るものばかりです。私にとっては80年代以降の授賞式を見続けているので、当時の記憶が鮮明に思い出されました。

6629481.gif
<主演女優賞:Best Actress in a Leading Role>
昨年「ラストキング・オブ・スコットランド」で主演男優賞を受賞したフォレスト・ウィテカーが登場しました。
ノミネートは、ケイト・ブランシェット(「エリザベス:ゴールデン・エイジ」)、ジュリー・クリスティー(「アウェイ・フロム・ハー君を想う」)、マリオン・コティヤール(「エディット・ピアフ」)、ローラ・リニー(「ザ・サヴェッジズ」)、エレン・ペイジ(「JUNO / ジュノ」)の5人です。どの役も通常のアカデミー賞主演女優賞のような派手さはありませんが、とても難しい演技を見事に演じぬいた女優達です。

受賞は、「エディット・ピアフ」のマリオン・コティヤールです。フランス人が受賞するのはとても珍しいことですが、受賞に値する素晴らしい演技でした。コティヤールは、とても驚いたようで、舞台の上ではなれない英語で感謝の意を述べました。最後に「ロサンゼルスは本当に天使の街です!」という歴史に残る名スピーチを残しました。

CMの間、Wiiでテニスをしていた司会のステュワート。次のプレゼンターを紹介します。

●●●歌曲賞候補パフォーマンス●●●
登場したのはコリン・ファレルです。曲は映画「ONCE ダブリンの街角で」の中で主人公の2人が唄う「Falling Slowly」。映画に出演したG.ハンサートとM.イルロヴァによるパフォーマンスでした。この映画はとても小規模な映画ですが、とても心に残る作品です。会場からは暖かい拍手が湧き起こりました。

●●●特集:作品賞●●●
ジャック・ニコルソンの登場です。渋い声でいかに映画が好きかを語る彼は既に「レジェンド」になっていました。79作品の最優秀作品賞を紹介する映像が会場で上映されました。
この映像もアカデミー賞の「レジェンド」です。80年の歴史を自分が生きてきたかのように、誰もが知っている名作が一挙に紹介されました。「グランド・ホテル」「或る夜の出来事」「風と共に去りぬ」「レベッカ」「カサブランカ」「我等の生涯の最良の年」「紳士協定」「ハムレット」「イブの総て」「巴里のアメリカ人」「波止場」「波止場」「戦場にかける橋」「ベン・ハー」「ウエスト・サイド物語」「アラビアのロレンス」「マイフェア・レディ」「サウンド・オブ・ミュージック」「夜の大捜査線」「パットン大戦車軍団」「フレンチ・コネクション」「ゴッドファーザー」「スティング」「ロッキー」「ディア・ハンター」「クレイマー・クレイマー」「普通の人々」「ガンジー」「アマデウス」「愛と哀しみの果て」「プラトーン」「ラストエンペラー」「レインマン」「ダンス・ウィズ・ウルブス」「羊たちの沈黙」「許されざる者」「シンドラーのリスト」「フォレスト・ガンプ」「タイタニック」「恋におちたシェークスピア」「アメリカン・ビューティ」「グラディエーター」「ロード・オブ・ザ・リング」「ミリオンダラー・ベイビー」「クラッシュ」「ディパーテッド」ここで全作品を記すことはできませんが、79作品の名場面が次々と流れてくるのは圧巻でした。今年のアカデミー賞でしかみることのできない素晴らしい体験でした。

6629481.gif
<編集賞: Achievement In Film Editing >
レニー・セルフィガーがプレゼンターでした。
ノミネートは、「ボーン・アルティメイタム」のクリストファー・ラウズ、「潜水服は蝶の夢を見る」のジュリエット・ウェルフラン、「イントゥ・ザ・ワイルド」のジェイ・キャシディ、「ノーカントリー」のロデリック・ジェインズ、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のディラン・ティチェナーです。

受賞は、「ボーン・アルティメイタム」のクリストファー・ラウズでした。素晴らしい編集が、映画の完成度を飛躍的に高めています。おそらくこの編集はFinal CutがAvidで行われています。細かなカットの積み重ねは、デジタル編集ならではのものです。遂にデジタルの時代が本流になってきたということです。

6629481.gif
<名誉賞>
ニコール・キッドマンの登場です。まだお腹は大きくないですが、妊婦らしい穏やかな表情が魅力的でした。キッドマンは名誉賞のプレゼンターです。彼女は、今年の名誉賞を受賞したロバート・ボイルについて説明しました。ボイルは70年に渡りプロダクション・デザインや美術監督として映画界を支えてきました。これまでに携わった映画は100本以上、 98才になった今でも積極的に活動を続けています。
「北北西に進路を取れ」「屋根の上のバイオリン弾き」「プライベート・ベンジャミン」「ケープ・フェア」など彼の作り上げた独特の映画空間を映像で紹介しました。

そして、ロバート・ボイルの登場です。会場の総ての人々がスタンディング・オベーションで、ボイルを迎えます。拍手は延々と鳴りやみませんでした。ボイルは感謝の意を述べたい人々の名を語りながら彼の人生を話しました。その中で「ヒッチ」と呼ぶヒッチコックが初めて大きな仕事をくれたこと、そしてヒッチコックに奥さんを紹介されたことなど、正にハリウッド映画の「レジェンド」となったボイルの話にはとても驚かされ感動させられました。

私は毎年この名誉賞が一番の楽しみです。映画界を陰ながら支えてきたスタッフに光を当て、現役で映画界を支えている人々が敬意を表するシーンはとても感動します。今年も素晴らしい人物を評価していてアカデミーの懐の深さを思い知らされました。

いよいよ次回は、3回にわけて紹介しているアカデミー賞授賞式の3回目です。式はどのように進むのか、お楽しみに!

<関連リンク>
第80回アカデミー賞授賞式 1/2

第79回アカデミー賞授賞式 1/2
第79回アカデミー賞授賞式 2/2

第78回アカデミー賞授賞式 2/2


nice!(76)  コメント(38)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

第80回アカデミー賞 授賞式 1/3 [映画賞・映画祭]

6236608.jpg
The 80th Annual Academy Awards

脚本家協会のストにより、開催が危ぶまれていたアカデミー賞が、なんとか行われました。今回は地味でしたが、アカデミー賞の素晴らしさは舞台の演出にあります。報道ではどうしても受賞作品にフォーカスしてしまいますが、実は授賞式自体が素晴らしいエンターテイメントとなっています。今回も、第79回アカデミー賞授賞式に続き授賞式の模様を中心にアカデミー賞を再発見します。

<オープニング>
今回はフル3DCGアニメでのオープニングとなりました。トラックがルート66っぽい道を走りLAに入ると、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンが追い抜いていきます。その後、スパイダーマンが横切り、イージーライダーが併走、そして後ろからはトランスフォーマーが追いかけてきます。トラックがトランスフォーマーをかわすと、直ぐにゴジラとキングコングが襲ってきます。
その後は、「北北西に進路を取れ」「ブレードランナー」「エイリアン2」「インディ・ジョーンズ」「スターウォーズ」「ハリーポッター」などから登場人物が次々に登場します。そう、ここはハリウッド!
ジョン・トラボルタやメリー・ポピンズ、シュレック、アンジェリーナ・ジョリー、ブラッド・ピット、アラビアのロレンスたちが歩いているのは、コダックシアター前の大通りです。
一番初めに走っていたトラックがシアター前に到着すると、運転手がアーノルド・シュワルッツェネッガー(ターミネーター)だということがわかります。彼がトラックを降り、積荷を降ろそうとトラックの後ろの扉を開けると、そこには多数のオスカー像が表れます。

さぁ、いよいよ第80回アカデミー賞がはじまります!
今回の司会は、ジョン・ステュワート。
まずは、恒例の司会者によるロングトーク。今回は脚本家協会のストが終結したことについてをユーモアを交えて話ました。アカデミー賞を開催したいという気持ちが交渉を進める動機付けになったというエピソードは、ハリウッドらしいなあと感心してしまいました。
そして、彼はダニエル・デイ・ルイス、ケイト・ブランシェットハビエル・バルデム、ジュリー・クリスティを絶賛します。ジュリー・クリスティに関しては、夫のことを忘れてしまう除せが主人公ということでヒラリー・クリントンが大絶賛していると皮肉ったりしていました。

会場に来ている、ジョージ・クルーニー(隣には事故を起こしたあの彼女が!)、ジョニー・デップ(隣はバネッサ・パラディ)、ハリソン・フォード(隣はアリーMYラブのキャリスタ・フロックハート)、デニス・ホッパーを紹介しました。

この後、現在のアメリカの政治に関するジョークが続きます。どれもなかなか面白いのですが、日本人にはちょっとわかりにくかったかもしれません。ハリウッドの関係者のほとんどは民主党支持者ですが、現在の民主党の代表候補がヒラリーかオバマかについての話の中で「大統領が黒人または女性の場合、巨大隕石が自由に女神を直撃する」というジョークが飛び出しました。アカデミー賞らしいエピソードです。

6629481.gif
<衣装デザイン賞: Achievement in Costume Design>
プレゼンターは、ジェニファー・ガーナーです。衣装デザインというのは、一見地味な仕事ですが、映画の場合は監督の意向にあわせデザインをして生地を選び、完成させます。その作業はとても膨大です。
ノミネート作品は「アクロス・ザ・ユニバーズ」のアルバート・ウォルスキー、独創的な衣装でした。「つぐない」のジャクリーン・デュラン、素材の選択が繊細で美しかったです。「エリザベス:ゴールデン・エイジ」のアレクサンドラ・バーン、中世ヨーロッパのコスチュームはアカデミー賞らしいノミネートです。「エディット・ピアフ」のマリット・アレン、色使いがフランスっぽかったです。「スウィニー・トッド」のコリーン・アトウッド、ティム・バートン監督のイメージをうまく実現していました。
受賞は、「エリザベス:ゴールデン・エイジ」のアレクサンドラ・バーン。彼女は4回ノミネートされ、今回が初受賞です。賞が発表された瞬間「エリザベス」役のケイト・ブランシェットが涙を輝かせていたのが印象的でした。

●●●幕間:Oscar Icon●●●
バーブラ・ストライザンドがオスカー受賞の瞬間を思い出し語りました。

●●●特集:アカデミー賞80年間の歴史●●●
プレゼンターは、ジョージ・クルーニーです。ルーズベルトホテルで始まった映画賞が今日まで歩んできた歴史を映像で紹介しました。この映像は、今回のアカデミー賞でしかみれない非常に貴重なものでした。とにかくハリウッドの歴史、映画の歴史が凝縮されていたからです。カットごとに表れる俳優やスタッフの誰もが有名であり直ぐに思い出せるのです。そして、沢山の受賞者の受賞の瞬間、スタンディング・オベーション・・日本の映画賞では見ることのできない重厚で素晴らしいアカデミー賞の歴史を見せつけられました。

●●●幕間●●●
ジョン・ステュワートが何やら小さな箱を持っています。「アラビアのロレンス」を見ているそうです。「撮影技術が凄い!本当に楽しむならシネスコじゃないと!といいながら横にしたのはiPOD Touch。会場は大爆笑でした。

6629481.gif
<長編アニメ賞 :Best Animated film>
プレゼンターは、深紅のドレスを着たアン・ハサウェイと「40才の童貞男」スティーブ・カレルです。時間がない中で、なかなか面白い台本ができていました。カレルは、ドキュメンタリー賞のプレゼンターだと勘違いして間違ったスピーチをしてしまうという設定でした。
ノミネートは、「ペルセポリス」「レミーのおいしいレストラン」「サーフズ・アップ」の3作品です。日本からの「鉄コン筋クリート」がノミネートされず残念でした。
受賞は「レミーのおいしいレストラン」のブラッド・バード。予想通りの受賞です。

6629481.gif
<メイクアップ賞 : Achievement in Make UP>
メイクアップ賞のプレゼンターは、キャサリン・ハイグル。ノミネートは「エディット・ピアフ」のD.ラヴェーニュとJ.アーチバルド、見事な老けメイクを創作していました。「マッド・ファット・ワイフ」のリック・ベイカーと辻一弘、エディー・マーフィーを白人の老人へと変貌させるのはさすがです。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のV.ニールとM.サミュエル、どれがメイクアップでどれがCGかわかりませんでしたが、ジョニー・デップは全部メイクでした。
受賞は、「エディット・ピアフ」のD.ラヴェーニュとJ.アーチバルドでした。勿論オスカー初受賞です。

●●●歌曲賞候補パフォーマンス●●●
A.メンケン、S.シュワルツによる「魔法にかけられて」の曲「Happy Working Song」を主演のエイミー・アダムスが歌いました。

●●●幕間:Oscar Icon●●●
マイケル・ダグラスとキャサリン・ゼタ=ジョーンズがオスカー受賞の瞬間を思い出し語りました。

6629481.gif
<視覚効果賞:Achievement in Visual Effects>
ドゥエイン・ジョンソンがプレゼンターとして登場です。ノミネートは「ライラの冒険 黄金の羅針盤」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「トランスフォーマー」の3作品です。毎年このコーナーではノミネート作品がどのように作られたのかビデオで見せてくれます。今回の2作品はどれも驚く映像でした。陰ながらエンターテイメント映画を支えているスタッフが沢山いることを思い知らされます。
受賞は「ライラの冒険 黄金の羅針盤」のM.フィンク、B.ウェステンホファー、B.モリス、T.ウッドでした。この作品にはリズム&ヒューズ社が関わっています。動物のCGを作らせたら世界でトップの同社が総動員して作ったCGIは、とてもリアルでした。

6629481.gif
<美術賞 : Best Art Direction>
次はお腹の大きなケイト・ブランシェットの登場です。美術商のノミネートを発表しました。ノミネートは「アメリカン・ギャングスター」「つぐない」「ライラの冒険 黄金の羅針盤」「スウィニー・トッド」「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」ノミネート紹介時にデザイナーが描いたコンセプトが画映画の一シーンになる映像が上映されました。どの映画も独創性に富んだ素晴らしい美術です。
受賞は、「スウィニー・トッド」のD.フェレッティとF.ロ・シアヴォでした。二人は「アビエイター」に次いで2回目の受賞です。ティム・バートン監督のイメージをセットとCGで見事に成立させています。彼らの仕事は評価されるべきです。本当に受賞できて良かったと思いました。

●●●特集:助演男優賞●●●
過去の助演男優賞の受賞を振り返る映像です。そこには様々な名脇役が登場します。カール・マルデン、フランク・シナトラ、ジャック・レモン、アンソニー・クイン、レッド・バトンズ、ジョージ・チャキリスウォルター・マッソー、ジョージ・ケネディクリストファー・ウォーケン、ジャック・ニコルソン、ショーン・コネリー、デンゼル・ワシントン、ジーン・ハックマン、ロビン・ウィリアムス、ジェームス・コバーン、マイケル・ケイン、ベネチオ・デル・トロ、クリス・クーパー、モーガン・フリーマン・・・なんて凄い俳優陣でしょう!彼らの受賞を数分で一気に見せる編集も秀逸でした。

6629481.gif
<助演男優賞 : Best Performance by an Actor in a Supporting Role>
感動のVTRのあとに登場したのは、昨年助演女優賞を受賞したジェニファー・ハドソンです。彼女がプレゼンターを務めます。ノミネートは、「ジェシー・ジェームスの暗殺」のケイシー・アフレック、「ノーカントリー」のハビエル・バルデム、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」のフィリップ・シーモア・ホフマン、「イン・トゥ・ザ・ワイルド」のハル・ホルブルック、「フィクサー」のトム・ウィルキンソンです。誰が受賞してもおかしくない激戦となりました。
受賞は、「ノーカントリー」のハビエル・バルデムでした。彼は途中からスペイン語でスピーチをして会場をわかせました。

●●●幕間●●●
映画に登場した望遠鏡と潜望鏡のシーンを繋いだ短いVTRと悪夢を繋いだTVRを披露しました。

●●●歌曲賞候補パフォーマンス●●●
プレゼンターはケリー・ラッセルです。曲は映画「オーガスト・ラッシュ」から「Raise It Up」です。歌は11才のJ.S.ナッシュと聖歌隊でした。

6629481.gif
<短編実写映画賞 : Best Live Action Short Film>
次は、オーウェン・ウィルソンがプレゼンターとして登場しました。短編映画とは40分以内の作品を指します。なかなか見る機会がないのですが、この短編には多様な名作が多数あるのです。皆さんも是非見てください。今年のノミネートは、「At Night」「代理教師」「Le Mozart Des Pickpockets」「Tanghi Argentini」「The Tonto Woman」です。
オスカーは、「Le Mozart Des Pickpockets」に渡りました。この映画が日本で上映されることを祈ります。

6629481.gif
<短編アニメ映画賞 : Best Animated Short Film>
プレゼンターは、映画「Bee The Movie」のバリー・B・ベンソン、そうCGキャラクターです。バリーはプレゼンターのためのマイクの上に止まり話し始めます。「ボクが出演したのはBeeが初めてではないよ」。そして「エレクション」など蜂が登場する映画を何作か紹介しました。
ノミネートは、「I Met The Walrus」「Madame Tutli - Putli」「Meme les pigeons vont au paradis」「春のめざめ」「Pater & The Wolf」。今回は国際色豊かで人形アニメがおおくノミネートされました。
受賞は「Pater & The Wolf」でした。

●●●特集:助演女優賞●●●
過去の助演女優賞の受賞を振り返る映像が上映されました。白黒映像のメルセデス・マッケンブリッジからはじまりリタ・モリノ、エステル・パーソンズ、テイタム・オニール、メリル・ストリープ、ジーナ・デイビス、ウーピー・ゴールドバーグ、ミラ・ソルビーノ、ジュリエット・ビノッシュ、レニー・ゼルウィガー、レイチェル・ワイズ、ジェニファー・ハドソンなどの受賞の瞬間を感動的に編集していました。こうして続けて見ると、助演女優賞は本当の演技派が受賞しているなあとあらためて思いました。

6629481.gif
<助演女優賞:Best Supporting Actress>
プレゼンターは昨年助演男優賞を受賞したアラン・アーキンです。ノミネートは、「アイム・ノット・ゼア」のケイト・ブランシェット、ケイトはボブ・デュラン役を演じています。なんと幅の広い女優でしょう!「アメリカン・ギャングスター」のルビー・ディー。素晴らしい演技を披露していました。「つぐない」のシアーシャ・ローナン、記憶に残る演技でした。「ゴーン・ベイビー・ゴーン」のエイミー・ライアン、とても渋い演技でした。お見事です。「フィクサー」のティルダ・スウィントン、監督のイメージに合った芝居に驚かされました。
受賞は「フィクサー」のティルダ・スウィントン。映画とは全く違う容貌に驚かされた方もおおかったのではないでしょうか。これが女優です。スピーチでは「バットマン」の撮影時にコスチュームを着けて頑張ったジョージ・クルーニーを褒め称え会場を笑わせていました。

●●●幕間:Oscar Icon●●●
シドニー・ポワチエが、オスカー受賞の瞬間を思い出し、語りました。

6629481.gif
<技術賞>
プレゼンターは、ジェシカ・アルバ。技術賞は毎年、この授賞式とは別に式典が催されます。技術とはあまり目立たない部門かもしれませんが、実は映画にとって非常に重要なのです。今年は斬新な発想を映画に取り入れた技術者達に13の賞が授与されました。グレインとシャープネスに関する新しいフィルムを開発し撮影技術を進歩させたイーストマン・コダック社にアカデミー賞が授与されました。ゴードン・E・ソーヤ賞には、新しいレンズを発明したデビッド・A・グランフトンにおくられました。

さあ、賞は、いよいよ主要賞の発表に入ります。
続きは次回お伝えします。

<関連リンク>
第79回アカデミー賞授賞式 1/2
第79回アカデミー賞授賞式 2/2
第78回アカデミー賞授賞式 2/2


nice!(74)  コメント(37)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

第80回アカデミー賞ノミネート発表 [映画賞・映画祭]


アカデミー賞のノミネートが発表されました。
とりあえず速報です。


◆◆Performance by an actor in a leading role ・ 主演男優賞◆◆
ダニエル・デイ=ルイス (『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
ジョニー・デップ (『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』)
ヴィゴ・モーテンセン (“Eastern Promises”)
ジョージ・クルーニ— (『フィクサー』)
トミー・リー・ジョーンズ (『告発のとき』)


◆◆Performance by an actress in a leading role ・ 主演女優賞◆◆
ジュリー・クリスティ (『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』)
マリオン・コティヤール (『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』)
エレン・ペイジ (『JUNO/ジュノ』)
ケイト・ブランシェット (『エリザベス:ゴールデン・エイジ』)
ローラ・リニー (“The Savages”)


◆◆Performance by an actor in a supporting role ・ 助演男優賞◆◆
ハビエル・バルデム (『ノーカントリー』)
トム・ウィルキンソン (『フィクサー』)
フィリップ・シーモア・ホフマン (『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』)
ケイシー・アフレック (『ジェシー・ジェームズの暗殺』)
ハル・ホルブルック (“Into the Wild”)


◆◆Performance by an actress in a supporting role ・ 助演女優賞◆◆
ケイト・ブランシェット (『アイム・ノット・ゼア』)
シアーシャ・ローナン (『つぐない』)
ルビー・ディー (『アメリカン・ギャングスター』)
エイミー・ライアン (“Gone Baby Gone”)
ティルダ・スウィントン (『フィクサー』)


◆◆Original screenplay ・ オリジナル脚本賞◆◆
『JUNO/ジュノ』
『フィクサー』
“Lars and the Real Girl”
『レミーのおいしいレストラン』
“The Savages”


◆◆Adapted screenplay ・ 脚本賞(原作あり)◆◆
『ノーカントリー』
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
『潜水服は蝶の夢を見る』
『つぐない』
『アウェイ・フロム・ハー 君を想う』


◆◆Best animated feature film of the year ・ 最優秀アニメ作品◆◆
『レミーのおいしいレストラン』
『ペルセポリス』
『サーフズ・アップ』


◆◆Best foreign language film of the year ・ 最優秀外国語映画賞◆◆
『ヒトラーの贋札』 (オーストリア/ステファン・ルツォビッキー監督)
『ボーフォート -レバノンからの撤退—』 (イスラエル/ジョゼフ・セダー監督)
“Mongol” (カザフスタン/セルゲイ・ボドロフ監督、浅野忠信主演)
“Katyn” (ポーランド/アンジェイ・ワイダ監督)
“12” (ロシア/ニキータ・ミハルコフ監督)


◆◆Best motion picture of the year ・ 最優秀作品賞◆◆
『つぐない』
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
『ノーカントリー』
『JUNO/ジュノ』
『フィクサー』


◆◆Achievement in directing ・ 監督賞◆◆
イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン (『ノーカントリー』)
ジュリアン・シュナーベル (『潜水服は蝶の夢を見る』)
ポール・トーマス・アンダーソン (『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』)
ジェイソン・ライトマン (『JUNO/ジュノ』)
トニー・ギルロイ (『フィクサー』)

第80回アカデミー賞授賞式は2月24日にハリウッドのコダック・シアターで開催される予定です。米脚本家組合(WGA)のストライキの影響でゴールデングローブ賞の授賞式が中止になるなどしており、アカデミー賞も例年通りの授賞式、テレビ中継になるかどうかが危ぶまれていますが、主催する映画芸術科学アカデミーは「授賞式は計画通りに開催する」と発表しています。

ノミネート作品の殆どの予告編とiPODダウンロードが以下のサイトで可能です。
http://www.apple.com/trailers/awards/


nice!(45)  コメント(26)  トラックバック(4) 
共通テーマ:映画

第65回ゴールデングローブ賞発表 [映画賞・映画祭]


The 65th Annual Golden Globe Awards

ゴールデン・グローブ賞が発表になりました。
今年は、脚本家協会のストのため、授賞式が行われず、とても寂しい書面での発表となりました。
とりあえず、速報をお伝えします。
★が受賞です。

◆最優秀作品賞(ドラマ)
  『アメリカン・ギャングスター』
     Produced by Brian Grazer, Ridley Scott

 ★『つぐない』

     Produced by Tim Bevan, Eric Fellner, Paul Webster

  『Eastern Promises』

     Produced by Robert Lantos, Paul Webster

  『The Great Debaters』

     Produced by Todd Black, Kate Forte, Joe Roth,
     Denzel Washington, Oprah Winfrey

  『Michael Clayton』

     Produced by Jennifer Fox, Sydney Pollack, Steve Samuels

  『ノーカントリー』

     Produced by Ethan Coen, Joel Coen, Scott Rudin

  『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

     Produced by Paul Thomas Anderson, Daniel Lupi, Joanne Sellar

◆最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ) 
  『Across The Universe』

     Produced by Matthew Gross, Jennifer Todd, Suzanne Todd

  『Charlie Wilson's War』

     Produced by Gary Goetzman, Tom Hanks

  『ヘアスプレー』

     Produced by Neil Meron, Craig Zadan

  『Juno/ジュノ』
     Produced by Lianne Halfon, John Malkovich, Mason Novick,
     Russell Smith

 ★『スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師』

     Produced by John Logan, Laurie MacDonald,
     Walter F. Parkes, Richard D. Zanuck

◆最優秀アニメ賞
  『ビー・ムービー』

     Produced by Jerry Seinfeld, Christina Steinberg

 ★『レミーの美味しいレストラン』

     Produced by Brad Lewis

  『シンプソン・ザ・ムービー』

     Produced by James L. Brooks, Matt Groening, Al Jean,
     Richard Sakai, Mike Scully

◆最優秀主演男優賞(ドラマ)
   ジョージ・クルーニー in 『Michael Clayton』
  ★ダニエル・デイ・ルイス in 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

   ジェームス・マッカボイ in 『つぐない』

   ヴィゴ・モーテンセン in 『Eastern Promises』

   デンゼル・ワシントン in 『アメリカン・ギャングスター』

◆最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ)
  ★ジョニー・デップ in 『スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師』

   ライアン・ゴスリング in 『Lars And The Real Girl
』
   トム・ハンクス in 『Charlie Wilson's War』

   フィリップ・シーモア・ホフマン in 『The Savages
』
   ジョン・C・ライリー in 『Walk Hard: The Dewey Cox Story』

◆最優秀主演女優賞(ドラマ)
   ケイト・ブランシェット in 『Elizabeth: The Golden Age』

  ★ジュリー・クリスティー in 『Away From Her』

   ジョデイ・フォスター in 『ブレイブ・ワン』
   アンジェリーナ・ジョリー in 『マイティ・ハート/愛と絆』

   キーラ・ナイトレー in 『つぐない』

◆最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ)
   エイミー・アダムス in 『魔法にかけられて』

   ニッキ・ブロンスキー in 『ヘアスプレー』

   ヘレナ・ボナム・カーター in『スウィーニー・トッド』
    
  ★マリオン・コティヤール in 『エディット・ピアフ ~愛の賛歌~』

   エレン・ペイジ in 『Juno / ジュノ』
◆最優秀助演男優賞
   Casey Affleck in 『ジェシー・ジェームズの暗殺』
  ★ハビエル・バルデム in 『ノーカントリー』

   フィリップ・シーモア・ホフマン in 『Charlie Wilson's War』

   ジョン・トラボルタ in 『ヘアスプレー』

   トム・ウィルキンソン in 『Michael Clayton』

◆最優秀助演女優賞
  ★ケイト・ブランシェット in 『アイム・ノット・ゼア』

   ジュリア・ロバーツ in 『Charlie Wilson's War』

   シーアシャ・ローナン in 『つぐない』

   エイミー・ライアン in 『Gone Baby Gone』

   ティルダ・スウィントン in『Michael Clayton』

◆最優秀監督賞
   ティム・バートン for『スウィーニー・トッド』
   イーサン&ジョエル・コーエン for 『ノーカントリー』
  ★ジュリアン・シュナーベル for 『潜水服は蝶の夢を見る』

   リドリー・スコット for 『アメリカン・ギャングスター』

   ジョー・ライト for 『つぐない』

◆最優秀脚本賞
   『つぐない』
Written by Christopher Hampton

   『Charlie Wilson's War』
Written by Aaron Sorkin

   『潜水服は蝶の夢を見る』
Written by Ronald Harwood

   『Juno/ジュノ』
Written by Diablo Cody

  ★『ノーカントリー』
Written by Ethan Coen, Joel Coen

◆最優秀オリジナル・スコア
  ★『つぐない』
Composed by Dario Marianelli

   『Eastern Promises』
Composed by Howard Shore

   『Grace Is Gone』
Composed by Clint Eastwood

   『Into The Wild』
Composed by Michael Brook, Kaki King, Eddie Vedder

   『The Kite Runner』
Composed by Alberto Igleslias

◆最優秀オリジナル・ソング
   "Despedida"
From Love In The Time Of Cholera

     Music by Antonio Pinto, Shakira     
     Lyric by Shakira

   "Grace Is Gone"
From Grace Is Gone

     Music by Clint Eastwood     
     Lyric by Carole Bayer Sager

  ★"Guaranteed"
From Into The Wild

     Music and Lyric by Eddie Vedder

   "That's How You Know"
From Enchanted

     Music by Alan Menken     
     Lyric by Stephen Schwartz

   "Walk Hard"
From Walk Hard: The Dewey Cox Story

     Music and Lyric by Judd Apatow, Marshal Crenshaw,
      Jake Kasdan, John C. Reilly

◆最優秀外国語映画賞
   『 Months, 3 Weeks And 2 Days』
ルーマニア

   『The Kite Runner』
アメリカ

   『ラスト・コーション』
台湾

  ★『潜水服は蝶の夢を見る
フランス

◆セシル B. デミル賞 
   スティーブン・スピルバーグ

   受賞は第66回ゴールデン・グローブ賞で行われる予定です。

◆最優秀テレビ・シリーズ(ドラマ)
   『Big Love』

   『Damages』

   『Grey's Anatomy』

   『House, M. D.
』
  ★『Mad Men
』
   『The Tudors』

◆最優秀テレビ・シリーズ(ミュージカル/コメディ)
   『Californication』

   『Entourage』

  ★『Extras』

   『Pushing』
   『Daisies』

   『30 Rock』

<昨年のゴールデン・グローブ賞>
第64回ゴールデン・グローブ賞


nice!(31)  コメント(29)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

第79回アカデミー賞 授賞式 2/2 [映画賞・映画祭]


The 79th Annual Academy Awards

前回に続きアカデミー賞授賞式を時系列で追いかけながら「アカデミー賞」を再発見します。
後半はいよいよ主要賞の発表です。


<撮影賞 : Achievement In Cinematography>
プレゼンターは、グイネス・パルトロウ。美しい衣装で登場です。
撮影賞とはカメラマンを讃える賞です。映画の構図などは監督が指示していると思われがちですが、実際はカメラマンが仕切っています。よって映画の印象は美術と共にカメラマンのセンスで大きく左右されるのです。アメリカ映画の場合、おおくは撮影監督システムがとられています。これによりカメラマンはカメラ自体と照明をコントロールしています。カメラマンは映像のトータルコーディネータなのです。
ノミネートは、「ブラック・ダリア」のヴィルモス・シグモンド、「トゥモロー・ワールド」のエマニュエル・ルベスキ、「イリュージョニスト」のディック・ポープ、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・ナバロ、「イリュージョンVS」のウォリー・フィスターです。どの作品も映像が強く脳裏に焼きつく作品です。
受賞は、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・ナバロ。あの微妙な照明と独特の撮影は素晴らしかったです。彼の「ナイトミュージアム」も撮影していますね。


<視覚効果賞 : Achievement In Visual Effects>
ナオミ・ワッツとロバート・ダウニー Jr.がプレゼンターです。ダウニー Jr.は視覚効果のことを実際には見えない不思議な映像を作り出す=90年代の私の見たイメージのようだと話していました。彼は90年代ドラッグにはまって幻想の世界を彷徨っていたからのネタです。ワッツは、「映画ではみんながそのような世界を体験できます」とフォロー。それが、視覚効果を作り出す人々のおかげです。
ノミネートは「パイレーツ・オブ・カリビアン」「ポセイドン」「スーパーマン・リターンズ」。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のCGIを作る現場に私は訪れたことがあります。彼らは、今回の作業のために新しいアプリケーションを開発しデイヴィ・ジョーンズの蛸顔をCGで作り上げていました。さらに大量のクリーチャーをCGで加工していました。あまりにも膨大な作業に私はただただ驚かされました。同じく「スーパーマン・リターンズ」の現場では、限られた時間の中、人をCGで作り出すことに挑戦していました。実際おおくのショットがフルCGのスーパーマンとなっています。これらの映画の視覚効果については、日本語版でも発売中の「シネフェックス」に詳しく書かれています。
受賞は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のジョン・ノール、ハル・ヒッグル、チャールズ・ギブソン、アレン・ホールでした。これは当然の受賞でしょう。あの視覚効果は久しぶりに興奮させられました。

●●●特集:外国映画賞50周年記念●●●
プレゼンターには、カトリーヌ・ドヌーブと渡辺謙。フランス人と日本人が登場したと言うことはアメリカ以外のセクションですね。渡辺謙は、英語がとても上達していました。彼は熱心に英語の勉強をしているそうです。既に母国語のように言葉を操っていました。
アカデミー賞に「外国語映画部門」が設立されて今年で50周年だそうです。今回はこの節目に「ニューシネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督による短編が上映されました。「羅生門」「8 1/2」「ブリキの太鼓」「禁じられた遊び」をはじめ世界中で作られた優れた作品の断片を見事にまとめ上げていました。DVDで発売して欲しいくらいです。


<外国語映画賞 : Best Foreign Language Film>
続いてクレイグ・オーウィンとケイト・ブランシェットの登場です。
日本からも毎年外国語映画賞の候補が出品されていますが、まずは国内で政治的に作品が決まってしまい、なかなかノミネートまで至りません。これは日本サイドの悪しき習慣です。何とかして欲しいものです。
ノミネート作品は「アフター・ザ・ウェディング」(デンマーク)、「デイズ・オブ・グローリー」(アルジェリア)、「善き人のためのソナタ」(ドイツ)、「パンズ・ラビリンス」(メキシコ)、「ウォーター」(カナダ)です。
受賞は、「善き人のためのソナタ」(ドイツ)でした。ドイツは2回目の受賞です。


<助演女優賞 : Best Supporting Actress>
ジョージ・クルーニーが登場です。相変わらずダンディーで気の利いたジョークを使っていました。今、アメリカで最もプレイボーイと呼ばれる彼からの助演女優賞の発表です。
ノミネートは「バベル」のアドリアナ・パラッザ、「あるスキャンダルの覚え書」のケイト・ブランシェット、「リトル・ミス・サンシャイン」のアビゲイル・プレスリン、「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソン、「バベル」の菊池凛子です。今年はこの賞は非常にハイレベルな戦いでした。誰もが素晴らしい演技を披露していました。
受賞は「ドリームガールズ」のジェニファー・ハドソン。話題性からいっても彼女は妥当でした。ゴスペル歌手だった彼女は、素直に神に感謝し、今は亡き家族に感謝する姿は涙を誘いました。菊池凛子は、次回に期待です。


<短編ドキュメンタリー賞 : Best Documentary Short Subject>
プレゼンターは、エヴァ・グリーンとガエル・ガルシア・ベルナル。貧困問題、障害者の問題、エイズ問題、短編ドキュメンタリーでは、話題にならない問題を映画を通して世界に伝える役目があります。このような地味なカテゴリーにもオスカーを与えるのはとても意義がありますね。
ノミネートは「The Blood of Yingzhou District」、「Recycled Life」、「Rehearsing a Dream」、「Two Hands」です。
オスカーは、「The Blood of Yingzhou District」中国のエイズ問題を告発する作品です。


<長編ドキュメンタリー賞 : Best Documentary Feature>
コメディアンのジェリー・サインフェルドがプレゼンターとして登場です。相変わらず長く焦点の定まらない彼らしいトークの後、ノミネート作品が紹介されました。「Deliver Us from The Evil」「不都合な真実」「Iraq in Fragments」「Jesus Camp」「My Country, My Country」。
受賞は「不都合な真実」。スタンディング・オベーションとなりました。この映画は数年後、意味のある映画になると確信します。ゴアに拍手!!あぁ、この人が大統領になっていたら.....


<アカデミー名誉賞>
クリント・イーストウッドの登場です。彼はアメリカでは売れなかったのでイタリアに行き、そこで西部劇に出演しました。「荒野の用心棒」など後にマカロニ・ウェスタンと呼ばれる作品です。その音楽を担当したのがエンリオ・モリコーネです。モリコーネは、現在に至るまでなんと400本を超える作品のスコアを担当しているそうです。誰もが知っている名曲も多く含まれています。アカデミー賞には5回ノミネート(「マレーナ」「バグジー」「ミッション」「天国の日々」「アンタッチャブル」)されていますが、まだオスカーは手にしていません。
舞台上では、彼の作品が映像と共に紹介され、セリーヌ・ディオンが歌を歌いました。

そして、エンリオ・モリコーネの登場です。今回は彼に名誉賞が授与されました。
会場の全員が起立し賞賛の拍手をしました。モリコーネはイタリア語でスピーチをしました。通訳はイーストウッドです。イーストウッドの事実上のデビュー作であるイタリア映画「荒野の用心棒」は、モリコーネの作曲家デビュー作でもあったのです。それ以来長いつきあいの二人がアカデミー賞の舞台でプレゼンターと受賞者として立っている姿は、伝説です。この時間を共有できただけでも私はとても嬉しかったです。


<楽曲賞 : Best Original Score>
ヒュー・ジャックマンとペネロペ・クルスがプレゼンターです。楽曲賞は、新たに書き下ろされたスコアです。映画のバックに流れるインストルメンタルの音楽を指します。
ノミネートは国際色豊かになりました。「バベル」「グッド・ジャーマン」「あるスキャンダルの覚え書」「パンズ・ラビリンス」「クイーン」のなかで受賞は「バベル」のグスターボ・サンタオラヤでした。今年は、ジョン・ウィリアムスのような派手な楽曲がノミネートされず、シンプルな曲が中心にノミネートされました。こういう通好みの作曲家が評価されるのは新しい傾向です。

●●●アカデミー協会の仕事●●●
ここで、手短にアカデミー協会が普段何をしているかについて会長であるシド・ガニスから紹介がありました。ハリウッドは映画の保存システムがとても進んでいることがわかりました。過去のフィルムをきちんと保管し閲覧できるようになっているのは勿論、映画のポスターなどもきちんと保管されています。また古い作品はレストア作業も行っています。こういう過去の作品を未来に残すという地味な行為を組織立てて行っているのはおそらくアメリカだけではないでしょうか。日本もこういうシステムを早急に作るべきですね。


<脚本賞 : Best Original Screenplay>
スパイダーマン」のテーマと共に登場したのはキルスティン・ダンストとトビー・マクガイアです。一般視聴者を忘れていない粋な演出です。
脚本賞とは、原作や原案がない脚本のことです。映画オリジナルなので、ストーリーも創作しなくてはいけません。よって、脚色賞とは違った難しい作業が伴います。
このセクションは、脚本家が実際に書いた脚本と完成した映像を合わせて紹介していきました。
ノミネートは「バベル」のギジェルモ・アリアガ、「硫黄島からの手紙」のアイリス・山下とポール・ハギス、「リトル・ミス・サンシャイン」のマイケル・アーント、「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ、「クイーン」のピーター・モーガンです。
オスカー像は、「リトル・ミス・サンシャイン」のマイケル・アーントに渡りました。脚本賞は例年、作品賞は取れないけれど優秀な作品が受賞するケースがおおくみられます。今回もまさにそういう作品が受賞しました。

●●●「ドリームガールズ」メドレー●●●
プレゼンターはジェニファー・ロペスです。
「ドリームガールズ」は1962年のモータウンサウンドの誕生を舞台にしています。当時の実話が20年後にブロードウェイでミュージカル化され、さらに25年後にハリウッドで映画化されました。その映画が今回8部門でノミネートされ、そのうちの3部門が音楽賞です。
ここでは、映画に出演したビヨンセと助演女優賞を受賞したばかりのジェニファー・ハドソン、A.N.ローズ、キース・ロビンソンによるメドレーが披露されました。演出は映画の監督です。
このメドレーは、誰もが聴きいってしまったはずです。とても素晴らしい歌声に心から感動しました。


<歌曲賞 : Best Original Song>
音楽に関わりの深いクィーン・ラティファとジョン・トラボルタが登場し、引き続き音楽関連の賞の発表です。
ノミネートは「不都合な真実」の" I Need to Wake Up "、「ドリームガールズ」の" Listen "、「ドリームガールズ」の" Love You I Do "、「カーズ」の" Our Town "、「ドリームガールズ」の" Patience"です。
受賞者は「不都合な真実」の" I Need to Wake Up "でした。3曲もノミネートされた「ドリームガールズ」が受賞できなかったのは意外でした。

●●●特集:ポートレイト・オブ・アメリカ●●●
プレゼンターはウィル・スミス。「コラテラル」「アリ」のマイケル・マン監督が編集した「映画から見たアメリカ像」の上映がありました。
自由の女神からはじまり、アメリカの歴史を描いた映画の名シーンが見事に編集されていました。
毎回思うのですが、この特集で上映される様々な映画のピースを集めた短編は、どこかで再上映されたりDVDで入手できないものでしょうか。非常にクオリティの高い作品です。


<編集賞 : Achievement In Film Editing>
ケイト・ウィンスレットの登場です。彼女は編集賞のプレゼンターです。
編集という仕事は地味なものですが、実は映画をどう観客に見せるかに関わるとても重要な仕事なのです。ただ台本に従って撮影されたフィルムをつなぎ合わせるのではありません。1コマ(1/24秒)を入れるべきか入れないべきか、スタッフで大議論になったりするほど微妙な表現を司っているのです。編集マンの裁量で映画のテンポが決まります。かれら特殊な感性が活かされて初めて観客は映画にのめり込むのです。
ノミネートは、「バベル」「ブラッド・ダイアモンド」「トゥモロー・ワールド」「ディパーテッド」「ユナイテッド93」です。
オスカーは、「ディパーテッド」のセルマ・スクーンメイカーでした。スクーンメイカーは、私の大学の先輩です。ちょっと嬉しいのですが、個人的には「ユナイテッド93」の編集がとても優れていると思いました。しかし残念ながら受賞は逃してしまいました。

●●●メモリアル・トリビュート●●●
プレゼンターは、ジョディ・フォスターです。毎年恒例の映画界が失った人たちの紹介です。
登場順:グレン・フォード、ブルーノ・カービー、アリダ・ヴァリ、ベティ・カムデン(Songwriter)、ジェーン・ワイアット、ドン・ノッツ、レッド・バトンズ、ジッロ・ポンテコルヴォ(Director)、ダレン・マクギャバン、リチャード・フライシャー(Director)、スヴァン・ニクヴィスト(Cinematographer)、ジョー・バーベラ(トムとジェリーなどのアニメ作家)、タマラ・ドブソン、グレチェン・ラウ(Set Designer)、ジェーン・アリソン、ゴードン・パークス(Director)、フィリップ・ノワレ(ニューシネマ・パラダイスのアルフレッド役で有名)、モーリン・ステイプルトン、ジャック・ワイルド、ヴィンセント・シャーマン(Director)、ジェームス・ドゥハーン(スタートレック)、今村昌平(Director)、カルロ・ポンティ(Producer)、ピーター・ボイル、ジェームス・グレノン(Cinematographer)、シドニー・シェルダン(Screenwriter)、ジャック・パランス、マコ・岩松、ジャック・ウォーデン、ベイジル・ポールドゥリス(Composer)、ヘンリー・バムステッド(Art Director)、ジェイ・プレッソン・アレン(Screenwriter)、ロバート・アルトマン(Director)
今年もおおくの才能が亡くなってしまいました。ご冥福をお祈りします。


<主演女優賞 : Best Actress in a Leading Role>
昨年、主演男優賞を受賞したフィリップ・シーモア・ホフマンが登場しました。いよいよメイン賞の発表です。
ノミネートは、「ボルベール」のペネロペ・クルス、「あるスキャンダルの覚え書」のジュヂ・デンチ、「クイーン」のへレン・ミレン、「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープ、「リトル・チルドレン」のケイト・ウィンスレット。
受賞は、大方の予想通り「クイーン」のへレン・ミレンでした。


<主演男優賞 : Best Actor in a Leading Role>
リース・ウィザー・スプーンがプレゼンターとして登場です。彼女が主演男優賞を紹介しました。
ブラッド・ダイアモンド」のレオナルド・ディカプリオ、「ハーフ・ネルソン」のライアン・ゴズリング、「ヴィーナス」のピーター・オトゥール、「幸せのちから」のウィル・スミス、「ラストキング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィティカー。
受賞は、大方の予想通り「ラストキング・オブ・スコットランド」のフォレスト・ウィティカーです。彼は、今回の仕事ではなく長いキャリアを総合しての受賞でしょう。納得のいく結果でした。


<監督賞 : Best Director>
ジョージ・ルーカススティーブン・スピルバーグ、そしてフランシス・コッポラの登場です。なんと豪華な3人組でしょう。すでにこの3人が揃うことでこの映像は「歴史」となりました。80年代から現在までのハリウッドを支える監督です。
かつて、ジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグは、師である黒澤明にアカデミー賞功労賞を授与しました。あの時の感動が蘇ります。さて、この3人からオスカー像を受け取るのは誰なのでしょう。
ノミネートは、「バベル」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、「ディパーテッド」のマーティン・スコセッシ、「硫黄島からの手紙」のクリント・イーストウッド、「クイーン」のスティ−ブン・フリアーズ、「ユナイテッド93」のポール・グリーングラス。
オスカーは、「ディパーテッド」のマーティン・スコセッシでした。無冠の帝王が遂にオスカーを手にしました。プレゼンターと抱き合うスコセッシは「Thank you !」を連発して本当に嬉しそうでした。今回の受賞は、長い長いスコセッシのキャリアを鑑みての評価でしょう。この受賞は、今回のアカデミー賞で一番盛り上がった瞬間ではないでしょうか。
ニューヨーク・アクセントで話しまくるスコセッシ。私の先輩であり師である彼が受賞できて本当に嬉しかったです。
舞台袖で待っていたジャック・ノコルソンと抱き合うスコセッシも格好良かったです。


<作品賞 : Best Motion Picture>
プレゼンターはダイアン・キートンとジャック・ニコルソン。憎いキャスティングです。
作品賞は、プロデューサー賞でもあります。受賞した場合、舞台には監督ではなくプロデューサーが登壇します。映画はプロデューサーが統括していますので、作品賞のオスカーはプロデューサーが受け取るわけです。
ノミネートは「バベル」「ディパーテッド」「硫黄島からの手紙」「リトル・ミス・サンシャイン」「クイーン」です。
オスカーは「ディパーテッド」に渡りました。やはりここはハリウッドです。アメリカ映画に賞を渡すのはある意味当然のことでしょう。

アカデミー賞は、どのように決まるのでしょう。皆さんはご存じでしょうか。実はアカデミー会員は全ての賞に投票する権利を有しているわけではありません。監督は監督賞、撮影は撮影賞に投票するのです。プロデューサーは作品賞に投票します。各自が経験している仕事が対象の作品に投票するシステムです。メリットは、よくわからない仕事に票を投じるということがないことです。これにより正しい投票が行われます。デメリットは、知り合いや友人、尊敬する人に投票してしまうという問題がおこることです。
今回の授賞式は、言い意味でも悪い意味でも、システムの影響が現れた結果となりました。国際色豊かなノミネートにも関わらず、若干身内寄りの結果となったのはこの影響ですね。

今回は「グリーン」がテーマでした。会場に来たおおくのセレブリティはプリウスに乗っていました。そして「不都合な真実」とゴアが注目されました。授賞式自体も省エネ進行でした。

さて、来年はどんな作品がノミネートされ、どんなドラマが見られるのでしょう。
今から楽しみです。



nice!(18)  コメント(22)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

第79回アカデミー賞 授賞式 1/2 [映画賞・映画祭]


The 79th Annual Academy Awards

アカデミー賞の素晴らしさ、それは舞台の演出にあります。報道ではどうしても受賞作品にフォーカスしてしまいますが、実は授賞式自体が素晴らしいエンターテイメントとなっています。今回も、昨年に続き授賞式の模様を中心にアカデミー賞を再発見します。

<オスカーナイト>
アメリカでは、アカデミー賞は国の一大イベントです。この日はおおくの人が家で家族や友達とTVを見ます。TV各局は数日前からアカデミー賞についての特集を組んだり、かつての受賞作を放送したりして盛り上がります。中でもケーブル局のE!チャンネルは、授賞式の前後にかなり詳しい情報番組を放送して人気を博しています。さて、ホスト局であるabcの授賞式直前番組はどんな内容だったのでしょう。
今年の授賞式前の特番「オスカーナイト」には、「ハッピーフィート」のペンギンたちがアカデミー賞について話すCGアニメのオープニングが付いていました。ペンギンたちはアカデミー賞について話します。ペンギンは、海を泳ぎサンタモニカへ。そこにはカーズや様々な映画の登場人物が現れます。そして皆で車に乗るとそこはハリウッドです。
こんな楽しいオープニングに続いて、授賞式に集まった人々のインタビューが続きました。さすがホスト局だけあってひととおり有名人のインタビューを放送していました。
こんなレッドカーペットの中継が授賞式を盛り上げる前菜のようになっているのです。
さあ、世界中で10億人以上が見ているアカデミー賞がはじまります。

<オープニング> 
今回のオープニングは、とてもシンプルでした。
白バックのシンプルなセットにノミネートされた人々が出てきてきます。自分について、ノミネートについて、それぞれが様々なことを話します。皆が知っている有名人、顔を見たことのないスタッフ、皆、今回のアカデミー賞にノミネートされている人々です。映画というのは、出演者だけでなく沢山の個性的な人々が作り上げているのです。このオープニング・ムービーはシンプルですが、映画に携わるスタッフ&キャストが同レベルで頑張っていることがわかる趣向です。
会場であるLAのコダックシアターには、昨年度映画界で活躍したスタッフ&キャストが揃いました。マーティン・スコセッシ監督、菊池凛子、渡辺謙、ウィル・スミス.....昨年のハリウッドを代表する面々が着席しています。

今回の司会はエレン・デジェネレス。彼女は、このアカデミー賞の司会を今回初めて担当します。彼女は登場して、アカデミー賞の司会をするのが夢だったことを熱く語りました。おそらく子供の頃からこの舞台に立ちたいと思っている人は沢山いると思います。その舞台を踏んだ当事者がアカデミー賞に対する思いを話すことは、79年続くアカデミー賞の価値を高めました。
そして彼女は、今回の授賞式の傾向について話をしました。今回は例年になく海外の作品や人々が帰依していることを強調していました。受賞席にも様々な人種が座っています。このようにハリウッドは柔軟に世の中の流れに乗ってきたのです。
続いて、今回授賞式に来ている人々にフォーカスします。助演女優賞にノミネートされたジェニーファー・ハドソン。彼女はアメリカで人気の「アメリカン・アイドル」で優勝しなくてもこの席にいること。大統領になれなかったアル・ゴアもここにいること。そう、挫折を経験しても誰もがアカデミー賞レースに参加するチャンスがあることをさりげなくアピールします。

こんな簡素なオープニングはここ数年来なかったのではないでしょうか。この理由は後で明かされます。


<美術賞 : Best Art Direction>
まずはじめは美術賞からです。プレゼンターは、ニコール・キッドマンとダニエル・クレイグ(007の新ジェームス・ボンド役)です。
美術というのは、あまり目立たないかもしれませんが映画においてはとても重要です。映画の世界観を構築しているのは美術だからです。美術スタッフがいなければ、映画の雰囲気は表現できないのです。
ノミネートは「ドリームガールズ」「グッド・シェパード」「パンズ・ラビリンス」「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」 「イリュージョンVS」。
受賞は「パンズ・ラビリンス」のエウヘニオ・カバレロ(美術監督)とピラール・レブエルタ(装飾)でした。彼らは初のノミネート&受賞です。納得の受賞です。


<技術賞>
プレゼンターはマギー・ギレンホール。技術賞は毎年、この授賞式とは別に式典が催されます。技術とはあまり目立たない部門かもしれませんが、実は映画にとって非常に重要なのです。皆さんが映画館に行くと、目にするスクリーンやスピーカー。これらの上映設備は日進月歩で良くなっています。数年前のものとは全く違う美しい映像や音響を再現してくれるのです。映画には合成がつきものです。かつては合成をすると線が見えました。しかし現在の映画はどこまでが合成なのか全くわかりません。このように映画を我々が楽しむために日々新しい技術を開発している人々がハリウッドには沢山いるのです。技術賞は、このような普段映画のバックヤードのさらに奥で研究している人たちを賞賛するものです。
今年はレイ・フィニーという合成技術を開発した人に賞が授与されました。

●●●幕間●●●
今年は、すべてがシンプルに演出されていました。舞台にはスクリーンが接地され複数の人(ピロポラスという団体)の影によって影絵のように様々なアイコンや映画の一シーンが作られました。これが見事でした。素晴らしい発想です。


<メイクアップ賞 : Achievement in Make UP>
ジャック・ブラックらが短いコメディ・ミュージカルを披露。開場は大爆笑です。レオナルド・ディカプリオ、ピーター・オトゥール、マーク・ウォルバーグなどがやり玉に挙げられました。その中のジョン・C・ライリーが客席から参加。見事な歌を歌いました。この3人がプレゼンターです。
メイクアップとは、映画の中で役者に施される特殊メイクのことです。基本はラバーを用い、役者を狼男にメイクしたりします。今回はとても優れた3本「アポカリプト」「もしも昨日が選べたら」(辻一弘)「パンズ・ラビリンス」がノミネートされました。
受賞は「パンズ・ラビリンス」のダビ・マリティとモンセ・リベ。日本人受賞がかかっていましたが「パンズ・ラビリンス」のメイクアップはとても優れているので仕方がないでしょう。


<短編アニメ映画賞 : Best Animated Short Film>
ここで子役の登場です。アビゲイル・プレスリンとジェイデン・クリストファー・スミス(ウィル・スミスの息子)がかわいい会話を披露しました。
短編アニメを見る機会はあまりないのですが、実はアニメを何年もかけてコツコツと制作している人々がいます。かれらは商業的に利益を得ることはありませんが、多くの子供達に夢や希望を与えています。こういう一見地味な映像物をきちんと評価するシステムがあることを羨ましく思います。
ノミネート作品は「ザ・デニッシュ・ポエット」「リフテッド」「「マッチ売りの少女」「マエストロ」「熱血どんぐりハンター!」。今回は手書きアニメから3Dアニメまでアニメといっても様々な作品が集まりました。
受賞はこの中でもっとも原始的な手書きアニメである「ザ・デニッシュ・ポエット」のドリル・コーヴでした。


<短編実写映画賞 : Best Live Action Short Film>
引き続き2人の子役によりプレゼンテーションが続きます。
短編もあまり目にする機会がありませんが、最近だと日本ではショート・ムービー・フェスティバルが別所哲也によって毎年開催されていますので、ノミネート作品を見ることができます。また、近年動画のネット配信が普及したので、ネットでの視聴も可能になってきました。
ノミネート作品は「ちいさなビンタ」「義母帰る」「ヘルマー&サン」「ザ・セイバー」「ウエスト・バング・ストーリー」。
受賞は「ウエスト・バング・ストーリー」のアリ・サンデルでした。

●●● ELEMENTS & MOTION ●●●
映画の映像に会わせハリウッド・フィルム合唱団が、人の口だけで擬音を作り出しました。タイヤがきしむ音、風の音、飛行機のエンジン音、ダンス。まるで映画のサウンドエフェクツのような素晴らしいパフォーマンスでした。


<音響編集賞 : Achievement In Sound Editing>
スティーブ・カレルとグレッグ・キニアの登場です。二人は音響の仕事をセクシャルな表現で説明しました。彼ららしい面白い解釈です。
音響編集とは、映画が撮影された後に、映像に会わせた音響を付ける仕事です。ハリウッド映画のおおくは現場音をそれほど大事にしていません。よって、撮影された映像は無音の場合があります。あるいは実際に録音された音声が映像にあわないことがあります。スタッフは、映像にあった音を創作したり表現を変えて映画を盛り上げるのです。
ノミネートは「アポカリプト」「ブラッド・ダイアモンド」「父親たちの星条旗 」「硫黄島からの手紙」「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」。どの作品が受賞してもおかしくない力作揃いです。
受賞は硫黄島からの手紙のアラン・ロバート・マーレイとバブ・アスマン。第2次大戦の戦場の音は素晴らしかったです。


<録音賞 : Achievement In Sound Mixing >
プレゼンターはジェシカ・ビールとジェームス・マカヴォイ。
録音賞とは、Sound Mixingをするスタッフに送られる賞です。映画の音は沢山のトラックに分かれています。役者の台詞、効果音、現場音、音楽などです。これら時には100を超える音をまとめ上げ、観客に物語として聞こえるように整音をするのがSound Mixerの仕事です。
ノミネートは「アポカリプト」「ブラッド・ダイアモンド」「ドリームガールズ」「父親たちの星条旗「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」 。どの作品もMix作業はとても大変だったでしょう。私は「パイレーツ・オブ・カリビアン」のデイヴィ・ジョーンズのシークエンスのMixには驚かされましたので、この作品に受賞して欲しかったです。
受賞は「ドリームガールズ」のマイケル・ミンクラー、ボブ・ビーマー、ウィリー・バートン。撮影時に役者は唄っていないです。よって演技と別テイクで収録された音楽をMixするのはとても大変だったはずです。あの見事な感動作の裏で頑張ったスタッフに拍手を送りたいです。


<助演男優賞 : Best Performance by an Actor in a Supporting Role>
プレゼンターはレイチェル・ワイズ。
「リトル・ミス・サンシャイン」のアラン・アーキン。「リトル・チルドレン」のジャッキー・アールヘイリー。「ブラッド・ダイアモンド」のジャイモン・ハンスウ。「ドリームガールズ」のエディ・マーフィー「ディパーテッド」のマーク・ウォルバーグ。今回ノミネートされた役者は誰もが素晴らしい演技を披露しています。よって僅差で受賞者が決まったはずです。
受賞はアラン・アーキンでした。

●●●今回のアカデミー賞について●●●
アル・ゴアとレオナルド・ディカプリオの登場です。ご存じの通り「不都合な真実」で環境問題を訴えたゴアとプリウスに乗っているディカプリオです。二人は今回のアカデミー賞が省エネ基準に則り制作されていることをアピールしました。現在の深刻な環境問題をハリウッドは無視していないということです。京都議定書に調印していない数少ない国アメリカの問題を内側から提言しました。このような国内問題をきちんと扱うところがアカデミー賞らしい演出です。


<長編アニメ賞 ; Best Animated film>
プレゼンターは声優としても活躍するキャメロン・ディアス。
ウォルト・ディズニーが「白雪姫」で長編映画を作って以来、長い年月をかけアニメは成長してきました。今年は、セルからCGに作品が完全に移行してしまいましたが、ディズニーが大事にした暖かいストーリー作りは継承されています。
ノミネート作品は 「カーズ」 「ハッピーフィート」「モンスター・ハウス」。授賞式には各キャラクターが出演していました。このために制作されたCGです。
受賞は「ハッピーフィート」。はじめてピクサー が受賞できませんでした。

●●●特集: The Process ●●●
ベン・アフレックがプレゼンターです。彼はかつてアカデミー賞で脚本賞を受賞しています。皆さん、覚えていますか?そう、「グッドウィル・ハンティング」です。
今回の特集は脚本。映画に登場する様々な脚本家を見事に編集して1本のプレゼンテーションとしています。見直すと、こんなにおおくの脚本をテーマにした映画があったんだなあと感心してしまいました。「シャイニング」「バートン・フィンク」「エド・ウッド」「カポーティ」...数々の脚本を描いた名シーンが、脳裏に蘇ってきました。


<脚色賞: Best Adapted Screenplay>
ヘレン・ミレンとトム・ハンクスがプレゼンターとして登場です。
脚色賞とは、簡単に言うと原作や原案がある映画の脚本賞です。オリジナルのストーリーではないものを映画の脚本として完成させる仕事です。この仕事は簡単なように思われますが、実はかなりやっかいです。特に長編小説を2時間の映画にする場合は、原作を読んだ読者の期待を裏切らないようにしなければなりません。外国語映画をハリウッド版に作り替えるときは、どう変えるのかが問題となります。このような困難を超え、名作が誕生するのです。
ノミネート作品は、「ボラット」「トゥモロー・ワールド」「ディパーテッド」「リトル・チルドレン」「あるスキャンダルの覚え書」。
受賞は「ディパーテッド」のウィリアム・モナハン。これは予想通りの結果です。しかし、ヘレン・ミレンは原作を日本の映画と言ってしまいました。そんなわけはありませんね。


<衣装デザイン賞: Achievement in Costume Design>
プレゼンターは「プラダを着た悪魔」に出演したエミリー・ブラントとアン・ハサウェイ。映画と同様会場にいるメリル・ストリープにビクビクしながら進行します。それに応えるようにストリープも怖そうな顔つき。こういうリアクションがハリウッドらしくて面白いですね。
映画の衣装というのは、実際に売られている商品を使う場合もありますが、ほとんどは映画のために制作されます。よって、映画のテーマに合わせ監督と衣装チームが素材から作り上げているのです。今回ノミネートされた作品はどれも「プラダを着た悪魔」以外は一から作り上げています。
ノミネートは、「カース・オブ・ザ・ゴールデン・フラワー」「クイーン」「プラダを着た悪魔」「ドリームガールズ」「マリー・アントワネット」。今回は全ての作品で使われた衣装で映画の1シーンを再現して見せてくれました。ハイビジョン放送だと、衣装の素材まではっきりわかってとても興味深かったです。
受賞は「マリー・アントワネット」のミレーナ・カロネロ。一見地味な色を使い豪華な世界を作り上げていました。


<ジーン・ハーシェルト友愛賞>
トム・クルーズがプレゼンターとして登場し シェリー・ランシングを讃えました。
シェリー・ランシングは、映画界に入り製作エクゼクティブとしてキャリアを積みかねてきました。製作エクゼクティブとは、映画制作の現場で働くのではなく、スタジオの立場から制作費を投資したり回収したりするビジネスサイドの仕事です、よってハリウッドの表舞台にはあまり出てきませんが、彼らの仕事があって初めて映画の制作は成立しているのです。彼女は20世紀フォックスの社長に就任します。「クレイマーVSクレイマー」「評決」「9時から5時まで」「タップス」「炎のランナー」などの作品を手がけ、ただのエンターテイメント作品だけでなく人を考えさせるような作品にも注力してきました。その後、独立して「危険な情事」などを製作、 パラマウント に移ってからは「ミッション・インポッシブル」「フォレスト・ガンプ」 「タイタニック」 などに出資してきました。
ランシングはこの素晴らしいキャリアを捨て、現在は稼いだ金を慈善事業に使っています。癌研究に資金を拠出したり、教育費用を払えない親に変わってプログラムを運営したりしています。カリフォルニア大学では、奨学金制度を創設して学生をバックアップしています。また世界中の子供の病気を撲滅する活動にも参加しています。
映画業界で素晴らしい仕事をして数々の名作を世に送り出しました。そして今はそのとき稼いだ給料を慈善事業に使っているのです。通常は映画業界の内側にいるスタッフにしかしられていない彼女を、今回のアカデミー賞は表彰しました。そして、彼女を表舞台に立たせたのです。
ランシングは歳をとっていました。しかし、表情は非常に明るく力強かったです。「私は慈善活動を通じ、難病の治療方法を探そうと格闘している研究者と出会いました。かれらは注目されることなく静かに研究を行っています。でもいつも情熱と信念を持ってそれに取り組んでいるのです。私にとって彼らこそが本当の英雄です。ですから今回の賞は、そういう方々と一緒に受賞したいと思います。」このランシングのスピーチは今回一番心打たれた内容でした。

次回は、授賞式の後半をお伝えしたいと思います。お楽しみに!

<関連リンク>
第79回アカデミー賞授賞式 2/2

第78回アカデミー賞授賞式


nice!(14)  コメント(22)  トラックバック(5) 
共通テーマ:映画

第79回アカデミー賞ノミネート発表 [映画賞・映画祭]

アカデミー賞のノミネートが発表されました。
とりあえず速報です。


◆◆Performance by an actor in a leading role ・ 主演男優賞◆◆
Leonardo DiCaprio - BLOOD DIAMOND
Ryan Gosling - HALF NELSON
Peter O'Toole - VENUS
Will Smith - THE PURSUIT OF HAPPYNESS
Forest Whitaker - THE LAST KING OF SCOTLAND
レオナルド・ディカプリオが受賞なるか?今回も誰がとってもおかしくないノミネートです。


◆◆Performance by an actor in a supporting role ・ 助演男優賞◆◆
Alan Arkin - LITTLE MISS SUNSHINE
Jackie Earle Haley - LITTLE CHILDREN
Djimon Hounsou - BLOOD DIAMOND
Eddie Murphy - DREAMGIRLS
Mark Wahlberg - THE DEPARTED
「ドリームガールズ」のエディ・マーフィーが一歩リードしているようです。


◆◆Performance by an actress in a leading role ・ 主演女優賞◆◆
Penélope Cruz - VOLVER
Judi Dench - NOTES ON A SCANDAL
Helen Mirren - THE QUEEN
Meryl Streep - THE DEVIL WEARS PRADA
Kate Winslet - LITTLE CHILDREN
個人的には「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープを応援します。


◆◆Performance by an actress in a supporting role ・ 助演女優賞◆◆
Adriana Barraza - BABEL
Cate Blanchett - NOTES ON A SCANDAL
Abigail Breslin - LITTLE MISS SUNSHINE
Jennifer Hudson - DREAMGIRLS
Rinko Kikuchi - BABEL
菊池凛子は、アメリカではとても評判が良いです。なんとか受賞をしてほしいものです。


◆◆Best animated feature film of the year ・ 最優秀アニメ作品◆◆
CARS
HAPPY FEET
MONSTER HOUSE
この部門は「カーズ」でしょう。


◆◆Achievement in art direction ・ 優秀美術賞◆◆
DREAMGIRLS
THE GOOD SHEPHERD
PAN'S LABYRINTH
PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MAN'S CHEST
THE PRESTIGE
「パイレーツ・オブ・カリビアン」に頑張って欲しいですね。


◆◆Achievement in cinematography ・ 優秀撮影賞◆◆
THE BLACK DAHLIA
CHILDREN OF MEN
THE ILLUSIONIST
PAN'S LABYRINTH
THE PRESTIGE
この部門はどの作品も可能性ありです。


◆◆Achievement in costume design ・ 衣装デザイン賞◆◆
CURSE OF THE GOLDEN FLOWER
THE DEVIL WEARS PRADA
DREAMGIRLS
MARIE ANTOINETTE
THE QUEEN
この部門は時代物が強いので「マリー・アントワネット」や「ザ・クイーン」あたりがリードしているのではないでしょうか。


◆◆Achievement in directing ・ 監督賞◆◆
BABEL
THE DEPARTED
LETTERS FROM IWO JIMA
THE QUEEN
UNITED 93
「バベル」の評価が非常に高いようです。「硫黄島からの手紙」は、賞争いに絡めるか?


◆◆Best documentary feature ・ 最優秀ドキュメンタリー賞◆◆
DELIVER US FROM EVIL
AN INCONVENIENT TRUTH
IRAQ IN FRAGMENTS
JESUS CAMP
MY COUNTRY, MY COUNTRY


◆◆Best documentary short subject ・ 最優秀ドキュメンタリー短編賞◆◆
THE BLOOD OF YINGZHOU DISTRICT
RECYCLED LIFE
REHEARSING A DREAM
TWO HANDS


◆◆Achievement in film editing ・ 最優秀編集賞◆◆
BABEL
BLOOD DIAMOND
CHILDREN OF MEN
THE DEPARTED
UNITED 93
「バベル」が有力です。


◆◆Best foreign language film of the year ・ 最優秀外国語映画賞◆◆
AFTER THE WEDDING
DAYS OF GLORY (INDIGÈNES)
THE LIVES OF OTHERS
PAN'S LABYRINTH
WATER


◆◆Achievement in makeup ・ メイクアップ賞◆◆
APOCALYPTO
CLICK
PAN'S LABYRINTH


◆◆Achievement in music written for motion pictures (Original score) ・ オリジナルスコア賞◆◆
BABEL
THE GOOD GERMAN
NOTES ON A SCANDAL
PAN'S LABYRINTH
THE QUEEN


◆◆Achievement in music written for motion pictures (Original song) ・ オリジナルソング賞◆◆
"I Need to Wake Up" - AN INCONVENIENT TRUTH
"Listen" - DREAMGIRLS
"Love You I Do" - DREAMGIRLS
"Our Town" - CARS
"Patience" - DREAMGIRLS


◆◆Best motion picture of the year ・ 最優秀作品賞◆◆
BABEL
THE DEPARTED
LETTERS FROM IWO JIMA
LITTLE MISS SUNSHINE
THE QUEEN
「バベル」か、「硫黄島」か?「硫黄島」の場合、監督のスピーチに注目です。


◆◆Achievement in sound editing ・ 音響賞◆◆
APOCALYPTO
BLOOD DIAMOND
FLAGS OF OUR FATHERS
LETTERS FROM IWO JIMA
PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MAN'S CHEST
「パイレーツ・オブ・カリビアン」の音響設計は素晴らしかったです。結果はいかに?


◆◆Achievement in sound mixing ・ サウンドミキシング賞◆◆
APOCALYPTO
BLOOD DIAMOND
DREAMGIRLS
FLAGS OF OUR FATHERS
PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MAN'S CHEST


◆◆Achievement in visual effects ・ ビジュアル・エフェクツ賞◆◆
PIRATES OF THE CARIBBEAN: DEAD MAN'S CHEST
POSEIDON
SUPERMAN RETURNS
「パイレーツ・オブ・カリビアン」のCGは、新しい世代を感じさせられました。「スーパーマン・リターンズ」は、遂に人の顔までCGになっていました。ILMかリズム&ヒューズか、どちらがとってもおかしくないですね。


◆◆Adapted screenplay ・ 脚本賞(原作あり)◆◆
BORAT CULTURAL LEARNINGS OF AMERICA FOR MAKE BENEFIT GLORIOUS NATION OF KAZAKHSTAN
CHILDREN OF MEN
THE DEPARTED
LITTLE CHILDREN
NOTES ON A SCANDAL


◆◆Original screenplay ・ オリジナル脚本賞◆◆
BABEL
LETTERS FROM IWO JIMA
LITTLE MISS SUNSHINE
PAN'S LABYRINTH
THE QUEEN

発表は2月25日です。


nice!(14)  コメント(20)  トラックバック(5) 
共通テーマ:映画

第64回ゴールデン・グローブ賞 発表! [映画賞・映画祭]

ゴールデン・グローブ賞が発表になりました。
とりあえず、速報をお伝えします。
●が受賞です。

◆最優秀作品賞(ドラマ) 
Best Motion Picture ( Drama )
    ●Babel
    Bobby
    The Departed
    Little Children
    The Queen
「バベル」が受賞です。アメリカでは興行的にそれほど成功しませんでしたが、作品のクオリティはずば抜けていたので、当然でしょう。

◆最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ) 
Best Motion Picture ( musical or comedy )
    Borat
    The devil Wears Prada
    ●Dreamgirl
    Little Miss Sunshine
    Thank You For Smoking
アメリカで大ヒットの作品が受賞です。アカデミー賞では「バベル」と争う作品です。

◆最優秀主演男優賞 
Best Performance by an Actor in a Motion Picture ( Drama )
    Leonardo DiCaprio ( Blood Diamond )
    Leonardo DiCaprio ( The Departed )
    Peter O'Toole ( Venus )
    Will Smith ( The Pursuit of Happyness )
    ●Forest Whitaker ( The Last King of Scotland )
レオナルド・デカプリオが2作品でノミネートされましたが、またもや受賞を逃してしまいました。これほど賞と縁遠いと、伝説になりそうですね。

◆最優秀主演女優賞
 Best Performance by an Actress in a Motion Picture ( Drama )
    Penelope Cruz ( Volver )
    Judi Dench ( Notes on a Scandal )
    Maggie Gyllenhaal ( Sherry Baby )
    ●Helen Mirren ( The Queen )
    Kate Winslet ( Little Children )
これも、納得のいく受賞ですね。

◆最優秀助演男優賞 
Best Performance by an Actor in a Supporting Role in a Motion Picture
    Ben Affleck ( Hollywoodland )
    ●Eddie Murphy ( Dreamgirls )
    Jack Nicholson ( The Departed )
    Brad Pitt ( Babel )
    Mark Wahlberg ( The departed )
エディー・マーフィーが復活です。「ドリームガールズ」のエディの演技は受賞に値するすばらしいものでした。

◆最優秀助演女優賞 
Best Performance by an Actress in a Supporting Role in a Motion Picture
    Adriana Barraza ( Babel )
    Cate Blanchett ( Notes on a Scandal )
    Emilly Blunt ( The Devil Wears Prada )
    ●Jennifer Hudson ( Dreamgirls )
    Rinko Kikuchi ( Babel )
菊池凛子は、受賞を逃しました。でもジェニファー・ハドソンは、本命だったので、仕方がありません。

◆最優秀監督賞 
Best Director ( Motion Picture )
    Clint Eastwood ( Flags of Our Fathers )
    Clint Eastwood ( Letters from Iwo Jima )
    Stephen Frears ( The Queen )
    Alejandro Gonzalez Inarritu ( Babel )
    ●Marthin Scorsese ( The departed )
イーストウッドは2作でノミネートされていましたg、マーティン・スコセッシ監督が受賞です。遂に受賞です。

◆最優秀外国語映画賞
Best Foreign Lunguage Film
    Apocalypto
    ●Letters from Iwo Jima
    The Lives Of Others
    Pan's Labyrinth
    Volver
「硫黄島からの手紙」が受賞しました。この感じだとアカデミー賞にも絡んできそうですね。

◆最優秀音楽賞 
Best Original Score ( Motion Picture )
    Babel : Gustavo Santaolalla
    The Da Vinci Code : Hans Zimmer
    The Fountain : Clint Mansell
    Nomad : Carlo Siliotto
    ●The Painted Veil : Alexandre Desplat

◆最優秀アニメーション賞 
Best Animated Film
    ●Cars
    Happy Feet
    Monster House

◆最優秀テレビ・シリーズ 
Best Television Series ( Drama )
    24
    Big Love
    ●Grey's Anatomy
    Heroes
    Lost
「24」「ロスト」をおさえ「グレイス・アナトミー」が受賞しました。

ということで、大方予想通りの結果でした。ディカプリオとイーストウッドの受賞がなかったのが、ちょっと寂しかったです。

<翌年のゴールデン・グローブ賞>
第65回ゴールデン・グローブ賞


nice!(12)  コメント(12)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

ゴールデン・グローブ賞ノミネート発表! [映画賞・映画祭]


64th Annual Golden Globe Awards

アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデン・グローブ賞のノミネートが発表となりました。ゴールデン・グローブ賞とは、アメリカの記者協会(Hollywood Foreign Press Association)の会員投票によって決まる賞です。アカデミー賞は映画制作に携わるスタッフによる投票なので投票する人は違いますが、この2つの賞はアメリカでは権威があり、映画ファンにはフェアな賞だと思われています。アカデミー賞と異なるのは、テレビ番組部門がある点です。日本でも人気のあるドラマがノミネートされています。

今年のノミネート作品の特徴は、クリント・イーストウッドが、「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」の硫黄島2部作両作品で監督賞にノミネートされていることや、日本が舞台のひとつになっている「バベル」の評価が高いことがあげられます。特に「バベル」では、助演女優賞に菊池凛子がノミネートされています。

今回の最有力作品は、マーティン・スコセーシ監督の「デパーテッド」です。この作品は、「インファナル・アフェア」のリメイクです。

では、代表的な賞のノミネートを見ていきましょう。
Nominees :

◆最優秀作品賞 Best Motion Picture ( Drama )
Babel
Bobby
The Departed
Little Children
The Queen
「バベル」の評価が非常に高いです。日本ではまだ公開されていませんが、今回の作品賞は「バベル」 VS 「デパーテッド」になるのではないでしょうか。

◆最優秀主演男優賞 Best Performance by an Actor in a Motion Picture ( Drama )
Leonardo DiCaprio ( Blood Diamond )
Leonardo DiCaprio ( The Departed )
Peter O'Toole ( Venus )
Will Smith ( The Pursuit of Happyness )
Forest Whitaker ( The Last King of Scotland )
レオナルド・デカプリオが2作品でノミネートされました。今まで賞とは無縁だったデカプリオ。今回こそ受賞できるのかが話題です。

◆最優秀主演女優賞 Best Performance by an Actress in a Motion Picture ( Drama )
Penelope Cruz ( Volver )
Judi Dench ( Notes on a Scandal )
Maggie Gyllenhaal ( Sherry Baby )
Helen Mirren ( The Queen )
Kate Winslet ( Little Children )
若手から大御所まで幅広いノミネートです。

◆最優秀助演男優賞 Best Performance by an Actor in a Supporting Role in a Motion Picture
Ben Affleck ( Hollywoodland )
Eddie Murphy ( Dreamgirls )
Jack Nicholson ( The Departed )
Brad Pitt ( Babel )
Mark Wahlberg ( The departed )
本来ならば、主演男優賞にノミネートされるような有名人が並んでいます。授賞式は、このパートが一番視聴率を稼ぐのではないでしょうか。

◆最優秀助演女優賞 Best Performance by an Actress in a Supporting Role in a Motion Picture
Adriana Barraza ( Babel )
Cate Blanchett ( Notes on a Scandal )
Emilly Blunt ( The Devil Wears Prada )
Jennifer Hudson ( Dreamgirls )
Rinko Kikuchi ( Babel )
菊池凛子は、日本では知名度が低いですが、現在アメリカではかなりの注目女優です。彼女は今回受賞は難しいですが、今後期待の日本人俳優です。

◆最優秀監督賞 Best Director ( Motion Picture )
Clint Eastwood ( Flags of Our Fathers )
Clint Eastwood ( Letters from Iwo Jima )
Stephen Frears ( The Queen )
Alejandro Gonzalez Inarritu ( Babel )
Marthin Scorsese ( The departed )
名監督が並びました。誰が受賞してもおかしくないです。個人的にはイーストウッドに期待、です。

◆最優秀音楽賞 Best Original Score ( Motion Picture )
Babel : Gustavo Santaolalla
The Da Vinci Code : Hans Zimmer
The Fountain : Clint Mansell
Nomad : Carlo Siliotto
The Painted Veil : Alexandre Desplat

◆最優秀アニメーション賞 Best Animated Film
Cars
Happy Feet
Monster House

◆最優秀テレビ・シリーズ Best Television Series ( Drama )
24
Big Love
Grey's Anatomy
Heroes
Lost



nice!(15)  コメント(19)  トラックバック(4) 
共通テーマ:映画
前の10件 | 次の10件 映画賞・映画祭 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。