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カンヌ映画祭 [映画賞・映画祭]

  今回は、カンヌ映画祭です。
  名前だけはご存知の方でも、いったいカンヌ映画祭とは何なのか、はっきりと認識している人はあまりいないのではないでしょうか。今回は「いまさら聞けないカンヌ」についてです。

  カンヌ映画祭は、1946年から続く歴史のある映画祭のひとつで、世界3大映画祭にあげられます(他の2つは説により異なりますが、カンヌは必ず含まれます)。おそらく世界で一番注目される映画祭です。

  開催場所は、フランス、コート・ダ・ジュールのほぼ中央に位置するカンヌ。よく熱海に例える人がいますが、街の大きさや地理は結構似ています。勿論雰囲気はまるで違います。
  カンヌは、昔から夏の観光地として栄えた街ですが、今ではすっかり映画の街というイメージが定着しています。しかし、映画祭のシーズンでも映画に関係なく観光客は押し寄せ、ホテルはどこも満杯です。映画祭シーズンのホテルレートは高騰し、しかも数日間のパックでしか部屋を予約できなくなるのです。それほど大量の人が街の外から押し寄せますし、この時期に1年分の商売をしてしまおうと思うホテルやレストランがかなりあります。

  映画祭は、街の南部、海岸とヨットハーバーに挟まれた"パレ"という建物で行われます。ここでは、毎年映画祭に選考された映画が数十本上映され、審査員がこの中から優秀作品を決めるのです。このコンペで、最も優秀な作品に送られるのが「パルム・ドール」です。これが「コンペ」と呼ばれるもので、選考された作品は毎晩7時頃に上映会が行われます。この上映会には映画に関わったキャストやスタッフが登場し、赤絨毯を歩くのです。そして、このレッドカーペットを歩く有名人を一目見ようとおおくの映画ファンが世界中から押し寄せます。皆さんがテレビなどで見るカンヌ映画祭は、この夜の上映会直前のレッドカーペットですね。
  誰もがレッドカーペットを歩けるわけではなく、映画祭に選考された作品お関係者という非常に限られた人のみが、世界が注目する赤い絨毯を踏む事が出来るのです。これは、とても華やかで、ヨーロッパ文化の香りがします。
  このレッド・カーペットのセレモニーは、登場回数を重ねると、ステータスが上がっていくのがわかります。何度も官映画祭に招聘される有名人は、特別扱いされ、複数人で歩く場合は、まるでサミットのように、自分がどこのポジションをとるのか、さりげない駆け引きが行われたりします。昨年、木村拓哉は、「2046」でこのレッドカーペットを歩きましたが、初めてだったので、センターのポジションは確保できず、終始端に追いやられていたのは印象的でした。
    ちなみに今年の審査員は、審査委員長にウォン・カーワィ、審査員は、ヘレナ・ボナム=カーター、チャン・ツィイー、モニカ・ベルッチ、サミュエル・L・ジャクソン、ティム・ロスなどです。

  映画祭は、この華やかなコンペとは別にいくつか部門が設定されています。例えば「Out of Competition」と呼ばれる部門では、コンペには入らなかったのですが、様々な理由で上映される作品群です。今年でいうとオープニング作品の「ダ・ヴィンチ・コード」はこれにあたります。話題作がおおいようです。

  その他、審査員特別賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、カメラドール(新人監督賞)、審査員賞、国際批評家賞などが、それぞれの作品の中から決定されます。

  毎年、カンヌ映画祭で上映される作品は30本程度です。この狭き門を目指し、世界中から沢山の映画がエントリーします。これを選考するのが映画祭ディレクターです。ディレクターは地域毎にいて、それぞれが毎年1月頃に地域をまわり映画を選考します。日本では、毎年2月頃にフランスから選考委員が訪れ、沢山の日本映画を見て、カンヌ映画祭にふさわしい作品を探すのです。よって、このディレクターの性格や嗜好が選考におおきく影響します。しかし、基本的には商業性の強い作品は排除される傾向にあります。逆にいうと「カンヌ映画祭」でパルム・ドールを受賞したからといって商業的にヒットする訳ではありません。このあたりは「アカデミー賞」とおおきく異なる点です。

  

  カンヌ映画祭と併設される形で実は、映画のマーケットも開かれています。こちら「カンヌ映画マーケット」も世界3大マーケットのひとつと呼ばれています。

  マーケットは、まさに市場で、世界中の映画製作者が、自分たちの作った映画を持ち寄り(セラー)、それを世界中の配給会社が買いにくる(バイヤー)のです。パレの1階には広大なスペースがあり、そこに数百のセラーがブースを構えます。これが市場です。そこにバイヤーが押し寄せ商談するのです。
  今年は、セラーとして日本からポニーキャニオン(最大)、TBS 、角川映画、日活、松竹、東映、東宝がブースを設けていました。ポニーキャニオンはフジテレビ作品を中心にかなりの作品数を扱っていました。TBSは、「日本沈没」を中心にいくつかの作品をがんばって売っていました。バイヤーとしては、相変わらず底引き網漁を行うGAGA、ポニーキャニオン、松竹。などかなりの日本人が押し寄せていました。

  ここで商いされているのは、完成された映画と映画の企画です。
  完成作品は、パレの中にある映画館やカンヌの街にある映画館で上映されます。その数は1日で50本程度、期間にすると数百作品が上映されている事になります。バイヤーは。上映リストを事前に入手し、お目当ての映画を探します。そして上映される日と映画館を見つけ、身に行くのです。見て面白いと思ったら、すぐにマーケット内のセラーブースに足を運び、料金交渉をはじめます。
  未完成作品は、ブースで企画書を見せてもらうか、ちょっとしたプロモーション映像をDVDで入手したりします。撮影中の作品は、未編集フィルムを10分程度、映画館で上映したりします。それを見て、購入するか見極めるのです。

  未完成作品は、映画の完成版を見る事が出来ないので、リスクがあります。しかし、良い作品は早く売れるので、最近は企画段階で売り買いされる作品が増えてきています。「ロード・オブ・ザ・リング」は、企画段階でセラーのニューラインから、バイヤーの松竹/日本へラルドが日本での権利を取得し、大成功しました。逆に、ここでの失敗例は沢山あり、映画興行がいかにリスキービジネスか毎年思い知らされます。

  ここ数年で、映画マーケットはおおきく様変わりしています。まず、マーケットに集まるセラーには、メジャースタジオが含まれません。要はユニバーサルやワーナーブラザースのように、世界中に自社の配給網を持つ会社は、マーケットを必要としないのです。ここ数年で、マーケットにブースを出すミニメジャー(ミラマックスやニューラインなど)が次々とメジャースタジオに買収されてしまい、面白い映画がマーケットに入ってこなくなってしまいました。これにより、折角カンヌまで来て、面白い企画を探しても、それほど良い作品は見当たらないのです。さらに、日本国内の事情でいうと、あまりにも沢山のバイヤーが参加しているので、日本人同士で作品の値段をつり上げてしまい、やっと権利を購入しても、購入価格が高すぎて、日本で大ヒットさせないと利益が上がらないという悪循環を作ってしまいました。これにより、最近ではおおくのバイヤーが倒産したり撤退を余儀なくされています。

  カンヌには、映画祭関係者、そしてそれより遥かにおおいマーケット関係者、そして映画祭には直接関係のない映画ファン(彼らは映画を見る事はできません)、そしてさらに映画には全く興味のない観光客が混ざり合い、さらにお祭りムードがヒートアップします。
  華やかな映画祭、そこに集まる華やかな人々。しかし、そこには激しい競争が見え隠れします。そしてメジャースタジオが参加せず盛り上がりに欠けるマーケット。今回はそんな、お祭の光と影をお伝えしました。


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第78回アカデミー賞授賞式 [映画賞・映画祭]


The 78th Annual Academy Awards

第78回アカデミー賞授賞式

アカデミー賞の素晴らしさ、それは舞台の演出にあります。報道ではどうしても受賞作品にフォーカスしてしまいますが、実は授賞式自体が素晴らしいエンターテイメントとなっています。今回は、授賞式の模様を中心にアカデミー賞を再発見します。

ハリウッドヒルズを走る車、それはデロリアン。デロリアンが飛び立つと、そこは映画の街ハリウッド。カメラが街に近づくと様々な映画のシーンが合成された街になります。そこにはジェームス・ディーン、フォレスト・ガンプなど様々な俳優や映画のシーンが出てきます。このために作られた素晴らしいオ−プニングムービーで、アカデミー賞の幕が開けました。

司会者が紹介されます。ビリー・クリスタル!スティーブ・マーティン!、ウーピー・ゴールドバーグ、デビッド・レターマン、メル・ギブソン。しかし皆が司会を断ってしまいます。そして、ジョン・スチュワートが登場。夢だと思っていた司会が舞い込むのです。ジョージクルーニー(3部門ノミネート)に後押しされジョンは司会者に。

単純な司会者紹介のビデオですが、ここには歴代の司会者やジョージ・クルーニーが登場し、とても豪華なものでした。これは今回が初司会となるジョンのための特別映像です。

そしてコダックシアターにジョン・スチュアートが登場します。「紳士淑女の皆さん、そしてその中間の皆さん、アカデミー賞が始まります!」ジョンのこのスピーチは勿論「ブロークバックマウンテン」を意識したものです。

今回のテーマ<華やかさへの回帰>。しかし受賞作はテーマに反し渋い作品ばかりとなってしまいました。ジョンは、ノミネートされている人々や作品を紹介していきます。さすがエンターテイナー、カメラに映し出される人々は絶妙なリアクションをしていきます。ジョンの話は、今年度の映画の総括に及びます。今年はリメイク作品やバイオグラフィー作品が多かった年となりました。締めは「ブロークバックマウンテン」。いままでの西部劇からホモっぽいシーンを抜き出した映像を上映します。ホモ映画と括られる作品ですが、今までにも西部劇にはホモっぽいシーンが沢山あったという趣旨です。この見方を変えた映像は、進歩的で偏見を嫌うハリウッドの精神を代弁していました。

●助演男優賞
プレゼンターは、ニコール・キッドマン。白のワンピースで登場です。
受賞者はジョージ・クルーニー。「クラッシュ」のマット・ディロンが逃しました。
クルーニーは「これで監督賞はもらえない」と語り笑いをとりました。彼は「同じ役を演じない限り比較はできない。皆素晴らしい演技をしている」という演説をしました。

その後、ビデオでトム・ハンクスが短いスピーチの例を紹介しました。ハンクスはサタデーナイトライブに出演していた頃のようなコメディを見事に演じていました。 

●視覚効果賞
プレゼンターは、ベンスティラー。グリーンのタイツ姿で登場します。クロマキーで自分の体が消えていると主張して会場を笑わせました。
ノミネート作品の紹介で流れる映像は、この授賞式のためにわざわざ作っています。短い時間で、映画の視覚効果がどうなっているのか説明してくれる優れものです。
受賞は「キングコング」のアンディーサーキス。WETAは、すっかりアカデミー賞の常連になってしまいました。デニス・ミューレンが受賞できなくて残念でした。

●長編アニメ映画賞
プレゼンターは、リースウィザースプーン。
受賞作は「ウォレスとグルミット」のニック・パークとスティーブ・ボックスでした。
「コープスブライド」のティム・バートンが残念そうでした。

ナオミ・ワッツが紹介するのは、ベストソングのパフォーマンスです。
「トランスアメリカ」の主題歌「トラヴェリンスルー」をドリー・パートンが熱唱しました。

●短編映画(実写)賞
オーウィン・ウィルソンとルーク・ウィルソンがプレゼンターで登場。短編映画賞はあまり注目されませんが、実は名作揃いです。
今年は、「Six Shooter」が受賞しました。

●短編映画(アニメ)賞
チキンリトルとアビーマラードが登場。勿論CGアニメです。このアニメもこの授賞式のために新たに制作しています。ノミネート作品は、CGで制作されている作品がおおかったです。短編にもコンピュータが使われている時代になりました。
受賞作は「The Moon and The Sun」。監督は製作のHBOとNYUの学生に感謝していました。

● 衣装デザイン賞
プレゼンターはジェニファーアニストン。
受賞者は、「SAYURI」のコリーン・アトウッド。日本人でないアトウッドの衣装デザインは確かに受賞に値します。アトウッドは「品位と知識を与えてくれた日本の方に感謝」という謝辞をしました。
「チャーリーとチョコレート工場」が受賞できなかったのが残念でした。

<特集:伝記映画>
ラッセル・クロウが伝記映画について紹介しました。これに続き、伝記映画に関するフィルムが上映されました。
チャリー・パーカー、チャンップリンヘレン・ケラー、アルフレッド・キンゼイ、エド・ウッド、エビータ、マルコムX、パットン、リンドバーグ、 ニクソン、ルーズベルト、ロートレック、ルー・ゲーリッグ、ガンジー..... 実在の人物の映像と映画で描かれた映像が対比され上映されました。

●メイクアップ賞
ウィル・フェレルとスティーブ・カレルがプレゼンターとして変なメイク登場。ノミネート作品の紹介では、わかりやすい映像を作っていました。
受賞は「ナルニア物語」のハワード・バーガー。「Star Wars」が受賞できず残念でした。

●助演女優賞
モーガンフリーマンがプレゼンターとして登場。
受賞者は「ナイロビの蜂」のレイチェル・ワイズでした。

<特集:フィルム・ノワール>
ローレンバコールが、フィルム・ノワールの解説をし、映画の名場面集を上映しました。編集が素晴らしく、名作のシーンが積み重ねられ、映画を見ている人にとってはたまらない時間でした。

続いて主演女優賞のロビー活動が熾烈だったというビデオを公開。各女優を応援するようにというロビー活動用CMが上映されました。これらは勿論アカデミー賞用に作られたビデオで、最近のロビー活動を笑いながら批判しているのは明らかです。

●短編ドキュメンタリー賞
テレンス・ハワードがプレゼンター。戦争を扱った4つの映画がノミネートされました。時代を反映した作品群です。アカデミーはこのあたり、きちんとおさえています。
受賞作は「A Note of Triumph」でした。

●長編ドキュメンタリー賞
プレゼンターは、シャーリーズ・セロン。
エンロン事件を扱った映画など、見応えのある作品群がノミネートされていました。
受賞作は、興行的にもヒットした「皇帝ペンギン」。受賞者はペンギンのぬいぐるみを持って登壇し、南極保護条約の話をしました。このように政治的な発言を行う受賞者もアカデミー賞の魅力のひとつです。

ジェニファー・ロペスが紹介するパフォーマンスは、歌曲賞にノミネートされている「In The Deep」。「クラッシュ」の主題歌です。キャサリーン バード・ヨークが歌いました。

●美術賞
サンドラ・ブロックとキアヌ・リーブスが「スピード」の音楽で登場しました。二人は美術賞のプレゼンターで、映画において美術がいかに重要かを語りました。
受賞者は「SAYURI」のジョン・マイヤーとグレッチェン・ラウ。あの美術は受賞に値します。映画を監督する予定だったスピルバーグが映しました。嬉しそうな表情が印象的でした。
ノミネートされていた「ハリー・ポッター」と「キングコング」が賞を逃したのは、残念でした。

<特集:社会派映画>
サミュエル・L・ジャクソンが紹介するのは社会派映画です。
「大統領の陰謀」「テルマ&ルイーズ」「波止場」「カッコーの巣の上で」「フィラデルフィア」などの名シーンが編集され上映されました。どれも上映時には社会に影響を与え、後に様々な波紋を与えました。このビデオも編集が見事!

ここで、シド・ギャニス(アカデミー協会会長)が登場。印象に残る以下のスピーチを残します。
  映画の根本は「物語を伝えること」
  グレゴリーペックは「我々は物語のセールスマン」だと語った逸話
  映画館で映画を見ることの素晴らしさ

サルマ・ハエックがプレゼンターとして登場し、イッアーク・パールマンを紹介します。
そして作曲賞ノミネート曲メドレーを演奏しました。今までだと、この作曲賞のノミネート楽曲はもっと派手にショーアップされるのですが、今年は弦だけで、渋い演出でした。しかし、ノミネート楽曲自体がテーマ性の強い作品群だったので、かえって気持ちよかったです。演奏直後、「SAYURI」「ミュンヘン」で2作品ノミネートののジョンウィリアムスが映りました。
受賞は、アルゼンチン人のグスターボ・サンタオラヤ。「ブロークバックマウンテン」の楽曲を作曲しました。

 <特集:スペクタクル映画>
ジェイク・ギレンホールが登場し、映画館で見ることの素晴らしさを語りました。続いて、以下の映画の名場面がテンポよく編集されたビデオが上映されました。
「ウエストサイド・ストーリー」「ベン・ハー」「十戒」「ブレイブハート」「アラビアのロレンス」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング」「未知との遭遇」「バック・トゥ・ザ・フユーチャー」」「地獄の黙示録」「スターウォーズ」「マトリクス」「アポロ13」「ジョーズ」「イッツ・シネラマ」「ジュラシックパーク」「キング・コング」「ET」「風と共に去りぬ」
このビデオは秀逸でした!

●録音賞
ジェシカ・アルバとエリック・バナが登場。
受賞者は「キングコング」のC・ボイズ、M ・セマニック、M ・ヘッジス、H ・ピーク。
受賞者はキングコングのまねをして喜びを表現しました。

●名誉賞
リリー・トムソンとメリル・ストリープがプレゼンターとして登場します。二人とも名女優です。貫禄十分でした。
今年は。ロバート・アルトマンが名誉賞を受賞しました。トムソンとストリープは、アルトマンの特殊な演出方法を面白く紹介しました。
登場したロバート・アルトマンに対し、長い長いスタンディングオベーションが起こり、拍手が鳴り止みませんでした。
アルトマンは以下の名言を残しました。
 エンディングがわからなくても人生はすべてが一度に起こっているということがわかる
 自分が取れると思う映画は制作しない
 映画作りは砂の城を造るような物。城はなくなっても記憶に残る
 40作ったが飽きない
 意思にそぐわぬ映画を作ったことはない
そして、10年前心臓移植手術を受け30代女性の心臓を入れたことを告白、だからまだ若いと強調しました。

続いてクリス・ブリッジスが歌曲賞のノミネート曲、「ハッスル&フロー」の主題歌「It's Hard Out Here for A Pimp」を紹介、パフォーマンスが行われました。

●歌曲賞
プレゼンターは、クイーン・ラティファ。
受賞曲は、「It's Hard Out Here for A Pimp」。J・ヒューストン、C・コールマン、P・ポーリガードは驚喜して会場を沸かせました。

●音響編集賞
ジェニファー・ガーナーがプレゼンターでした。
受賞は「キングコング」のマイク・ホプキンスとイーサン・ダーリンでした。

<メモリアルトリビュート>
ジョージ・クルーニーが登場し、昨年なくなった映画関係者を追悼しました。
印象に残ったのは以下の関係者です。
 ノリユキ・パット・モリタ ハリウッドで努力した日系人。「ベストキッド」での演技が懐かしいです。
 ロバートニューマイヤー 私の仕事関係者。何度か打ち合わせをしました。死の直前まで元気でした。
 ジョーランフト 声優 彼の事故死は衝撃でした。
 ムスタファアッカド プロデューサー テロに巻き込まれ亡くなってしまいました。
 ロバートワイズ 天才監督の死。名作を沢山残してくれました。

●外国語映画賞
ウィル・スミスが登壇しました。
受賞作は、南アフリカ映画「Tsotsi」でした。

●編集賞
プレゼンターは、チャン・ツィー。訛りのある英語で作品を紹介しました。
受賞者は、「クラッシュ」のヒュース・ウィンボーンでした。

●主演男優賞
昨年、主演女優賞を受賞したヒラリー・スワンクがプレゼンターでした。
受賞者は、「カポーティ」のフィルップ・シーモア・ホフマン。地味な役者さんでしたが、しっかりとした演技が評価されました。

●撮影賞
プレゼンターは、ジョン・トラボルタ。
受賞は「SAYURI」のウォーリー・フィスターでした。フィルターを使い、美しい日本を表現した彼は評価されて当然です。
「バットマン・ビギンズ」も撮影が素晴らしかったので賞を逃したのが残念でした。

●主演女優賞
プレゼンターは、昨年、主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックス。
受賞は、予想通り「ウォークザライン」のリーズ・ウィザースプーン。けっこうしっかりとスピーチしていたのが印象的でした。

●脚色賞
ダスティン・ホフマンが登場。ちょっと緊張しているようでした。原作を映画の脚本として脚色するのは大変なことだという趣旨のスピーチのあと、ノミネート作品の発表を忘れそうになるホフマン。
受賞は、「ブロークバックマウンテン」のラリー・マクマートリーとダイアナ・オサナでした。 短編を大幅に脚色した彼らは素晴らしい筆力です。

●脚本賞
ユマ・サーマン登場。ストーリーをオリジナルで考えだし、脚本にするという膨大な作業を成し遂げ、受賞したのは「クラッシュ」のポール・ハギス とボビー・モレスコ。

●監督賞
プレゼンターは、トム・ハンクスです。
親友スティーブン・スピルバーグもノミネートされていましたが、受賞は「ブロークバックマウンテン」のアン・リーでした。これは大方の予想通りです。

●作品賞
ジャック・ニコルソンが登場。下馬評では「ブロークバックマウンテン」が取ると言われていたので、会場は既にそのムードでした。しかし、ニコルソンが告げた受賞作は「クラッシュ」でした。これには会場全体が驚きました。受賞者であるポール・ハギスとキャシー・シュルマン自身も驚きを隠せないようでした。

今年は、FocusやLoins Gateのようなミニメジャーががんばった1年でした。大作主義は影を潜め、見応えのある映画が評価される時代です。来年は
、どんな作品がノミネートされるのでしょうか。今から楽しみです。


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第78回アカデミー賞 [映画賞・映画祭]


The 78th Annual Academy Awards

今年もアカデミー賞の季節となりました。
今回のノミネート作品は、今までと比べちょっと地味な感じがします。これは、昨年のアメリカ映画業界を反映しています。大金を投入して制作されたエンターテイメント作品がヒットするという常識は変化し、低予算でもしっかりとしたストーリーの映画がヒットするようになりました。この傾向にはいくつかの理由が考えられます。ひとつはアメリカの観客の目が肥えたこと。映像だけで驚かせていたエンターテイメントよりも、見応えのある作品を好むようになっています。そしてVFXばかりの映画が増え飽きられたことも影響しています。
映画スタッフも、特殊映像より、しっかりとしたストーリーや撮影方法、美術、衣装に磨きをかけクオリティの高い作品の制作に向かっているようです。
では、今回の主なノミネート作品をお伝えします。

主演男優賞<ACTORS IN A LEADING ROLE>
Philip Seymour Hoffman
CAPOTE
Terrence Howard
HUSTLE & FLOW
Heath Ledger
BROKEBACK MOUNTAIN
Joaquin Phoenix
WALK THE LINE
David Strathairn
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.

助演男優賞<ACTORS IN A SUPPORTING ROLE>
George Clooney
SYRIANA
Matt Dillon
CRASH
Paul Giamatti
CINDERELLA MAN
Jake Gyllenhaal
BROKEBACK MOUNTAIN
William Hurt
A HISTORY OF VIOLENCE

主演女優賞<ACTRESS IN A LEADING ROLE>
Judi Dench
MRS. HENDERSON PRESENTS
Felicity Huffman
TRANSAMERICA
Keira Knightley
PRIDE & PREJUDICE
Charlize Theron
NORTH COUNTRY
Reese Witherspoon
WALK THE LINE

助演女優賞<ACTRESS IN A SUPPORTING ROLE>
Amy Adams
JUNEBUG
Catherine Keener
CAPOTE
Frances McDormand
NORTH COUNTRY
Rachel Weisz
THE CONSTANT GARDENER
Michelle Williams
BROKEBACK MOUNTAIN

長編アニメ賞<ANIMATED FEATURE>
HOWL'S MOVING CASTLE
TIM BURTON'S CORPSE BRIDE
WALLACE & GROMIT IN THE CURSE OF THE WERE-RABBIT

美術賞<ART DIRECTION>
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.
HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE
KING KONG
MEMOIRS OF A GEISHA
PRIDE & PREJUDICE

撮影賞<CINEMATOGRAPHY>
BATMAN BEGINS
BROKEBACK MOUNTAIN
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.
MEMOIRS OF A GEISHA
THE NEW WORLD

衣装賞<COSTUME DESIGN>
CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY
MEMOIRS OF A GEISHA
MRS. HENDERSON PRESENTS
PRIDE & PREJUDICE
WALK THE LINE

監督賞<DIRECTING>
BROKEBACK MOUNTAIN
CAPOTE
CRASH
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.
MUNICH

編集賞<FILM EDITING>
CINDERELLA MAN
THE CONSTANT GARDENER
CRASH
MUNICH
WALK THE LINE

メイクアップ賞<MAKE UP>
THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND THE WARDROBE
CINDERELLA MAN
STAR WARS: EPISODE III REVENGE OF THE SITH

音楽賞(スコア)<MUSIC SCORE>
BROKEBACK MOUNTAIN
THE CONSTANT GARDENER
MEMOIRS OF A GEISHA
MUNICH
PRIDE & PREJUDICE

主題歌賞<MUSIC SONG>
"In the Deep" from CRASH
"It's Hard Out Here for a Pimp" from HUSTLE & FLOW
"Travelin' Thru" from TRANSAMERICA

作品賞<BEST PICTURE>
BROKEBACK MOUNTAIN
CAPOTE
CRASH
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.
MUNICH

音響賞<SOUND EDITING>
KING KONG
MEMOIRS OF A GEISHA
WAR OF THE WORLDS

音響効果賞<SOUND MIXING>
THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND THE WARDROBE
KING KONG
MEMOIRS OF A GEISHA
WALK THE LINE
WAR OF THE WORLDS

特殊効果賞<VISUAL EFFECTS>
THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND THE WARDROBE
KING KONG
WAR OF THE WORLDS

脚本賞(原作あり)<WRITING ADAPTED SCREENPLAY>
BROKEBACK MOUNTAIN
CAPOTE
THE CONSTANT GARDENER
A HISTORY OF VIOLENCE
MUNICH

脚本賞(オリジナル)<WRITING ORIGINAL SCREENPLAY>
CRASH
GOOD NIGHT, AND GOOD LUCK.
MATCH POINT
THE SQUID AND THE WHALE
SYRIANA

個人的には「スターウォーズ」がほとんどノミネートされていないのが残念ですが、賞を望まないジョージ・ルーカス作品だから仕方がないでしょう。日本人としては宮崎駿の「ハウルの動く城」がノミネートされ嬉しいですが受賞は難しそうです。ノミネート作品のおおくは、まだ日本で公開されていないものがおおいので皆さんも予測がしにくいと思います。さて、今年のアカデミー賞はどうなるのでしょう。授賞式は3月5日です。授賞式が終わったらまた結果について書こうと思います。


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