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第82回アカデミー賞 授賞式 3/3 [映画賞・映画祭]

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The 82nd Annual Academy Awards

1回2回に続き、09年度アカデミー賞を詳しくお伝えしていきます。
今回が最終回、いよいよメインの賞が発表されます。

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編集賞:Editing
プレゼンターは、タイラー・ペリーです。「編集者は、撮影されたカットを選びます。役者にとってクローズアップの撮影は怖い感じがします。(役者を綺麗に見えせるため)300,000万ドルもする照明機材やレンズ、「アバター」のようなCG技術が必要かも。冗談です。では、ミディアム・ショット。これは見栄えが良く、アラも目立ちません。ワイド・ショットもあるけれど、私はミディアムがいいです。では、客席の皆さんをワイド・ショットで。」すると、画面が会場のワイド・ショットになりました。「そして、司会者の今の様子」すると、カウチで毛布にくるまりテレビを見ているさえない司会者2人が映りました。会場は大爆笑です。「これで、映画の編集の仕事がわかったと思います。」
これでは、映画の編集はわかりにくいので、補足します。編集者は膨大な量の撮影済みフィルムからOKカットを選び、地道に編集していきます。米国映画の場合は、まずマスターショットを撮影し、クローズアップ、ミディアム、ワイドなどの撮影を行っていきます。編集者は台本通りにただフィルムを繋げるのではなく、シーンによってクローズアップを選んだり、ワイド・ショットを選んだりして、映画にメリハリを付けていきます。勿論、カットによって観客は感じ方が大きく変わるので、編集で映画は良くも悪くもなります。
ノミネートは、『アバター』、『第9地区』、『ハート・ロッカー』、『イングロリアス・バスターズ』、『プレシャス』でした。
受賞は、『ハート・ロッカー』のボブ・ムラウスキーとクリス・イニスでした。二人は初ノミネート、初受賞です。この二人は夫婦でもあります。ムラウスキーは舞台に上がるといきなり「ホラー映画にはロジャー・コーマン!今夜は良い夜だね。」と発言。イニスは、「初めて仕事をくれたサム・ライミに感謝します。そしてスタッフに。」「スタジオの意見に左右されず自由に作った映画です。ありがとう。」
ロジャー・コーマンはじめ、サム・ライミも『ハート・ロッカー』に関わったスタッフも、スタジオに抵抗してきた人々です。こういうクリエイティブ・オリエンテッドなスタッフが受賞するのはとても素晴らしいことです。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
キアヌ・リーブスが、『ハート・ロッカー』を紹介しました。

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外国語映画賞:Foreign Language Film
ペドロ・アルモドバルとクエンティン・タランティーノの登場です。タランティーノは「貴方に会えて嬉しいです。長い間貴方のファンでしたよ。」アルモドバルは「私は君の映画は大好きだ。セリフの意味がわからないけど・・。」外国語映画賞のプレゼンターにはぴったりな二人です。
ノミネートは、『Ajami』(イスラエル)、『The Milk of Sorrow』(ペルー)、『Un Prophete』(フランス)、『瞳の奥の秘密』(アルゼンチン)、『白いリボン』(ドイツ)でした。
受賞は、『瞳の奥の秘密』のファン・ホセ・カンパネラ監督です。監督は「アバターのナヴィ語が外国語映画賞の対象でなくて良かった。」と発言しました。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
キャシー・ベイツが、『アバター』を紹介しました。

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主演男優賞:An Actor in a Leading Role
主演男優賞候補の映像が編集され上映されました。
上映が終わると、舞台には蒼々たる顔ぶれが登場します。ミシェル・ファイファー、ヴェラ・ファミーガ、ジュリアン・ムーア、ティム・ロビンス、コリン・ファレル。彼らは賞のプレゼンターではなく、ノミネートされた俳優のプレゼンターです。
ミシェル・ファイファーがジェフ・ブリッジスを紹介しました。「『ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』の撮影初日、ジェフ・ブリッジスと私はメイク担当が同じでした。2時間をかけて私の顔から欠点を取り除いた後、彼女は、私から取り除いた欠点を彼に植え付けたのです。ジェフはそれほどリアリティを追求します。彼こそが真の俳優です。」「私は撮影の間に、3人の娘さんと遊んでいるのを見ました。仕事とプライベートの両立ができると教えてくれたのもジェフです。」「さらに、ジェフは毎年のように素晴らしい演技を披露します。『Crazy Heart』もそのうちの1本です。
ヴェラ・ファミーガがジョージ・クルーニーを紹介しました。「ジョージ・クルーニーの恋人を演じる前に、ちょっと怖じ気づいたと思いますか?そう、その通り。でも彼にあってホッとしました。輝いた瞳、いたずらっぽい笑顔で、暖かく包み込んでくれます。共演者を立て、最高の芝居をさせることを考えてくれます。その優しいさは、スクリーンの上でもそれ以外でも同様です。人柄が良く幅広い役を演じ、監督としても一流です。そしてファンタスティックな色男。ある人が言ってました。「夢の男だね!」と。ジョージ、おめでとう。」
ジュリアン・ムーアがコリン・ファーズを紹介しました。「『シングルマン』で、コリンと私が演じたのは20年間親友だった男女です。でも撮影時は初対面でした。共演したのは3日だけ。彼の評判は聞いていたので楽しみにしていました。しかし彼はその期待を大きく超えていました。気さくで、チャーミング、ユーモアがあり親切。本当に長年の親友だと錯覚するほどでした。コリンの素晴らしさを知り尽くすには3日では足りません。」
ティム・ロビンスがモーガン・フリーマンを紹介しました。「モーガン、貴方とは『ショーシャンクの空に』で共演しました。そしてオスカー候補になりました。親友同士を演じた私たちにも現実世界で友情が生まれました。クランクアップの日に貴方が言った言葉が忘れられないです。「友達になると言うことは相手のためにコーヒーを炒れることだ、できるか?テッド」私はテッドじゃない」会場は失笑。「それほど仲良くなっていきました。モーガンは誰より心の広い人です。そしてマスターです。共演者は誰でも例外なく大きな刺激を受けます。仕事に対して真面目な人ですからマンデラ役でのノミネートは不思議ではありません。」「モーガン、貴方の才能に経緯を表します。」
コリン・ファレルがジェレミー・レナーを紹介しました。「ジェレミーとは『S.W.A.T.』で共演し撮影以外でも一緒に遊びました。メキシコに行ったよね。殆ど記憶がないけど。でも一つのベッドで寝たことは忘れていないよ。言っておきますが何もなかった。」会場は大爆笑です。「単純なアクション映画でもジェレミーは輝いていました。そしてジェレミーは誰とでも同じように接していました。『ハート・ロッカー』ので友人の芝居を見るのもとても嬉しい経験でした。20年の俳優人生で遂に才能を発揮できる役に出会えましたね。政治的なことを追い求めた映画ではない。だからひとりの男の姿が真に迫ってきます。ノミネートされて当然です。グッドラック、ジェレミー。」

プレゼンターは、昨年主演女優賞受賞したケイト・ウィンスレット。
ノミネートは、『Crazy Heart』のジェフ・ブリッジス、『マイレージ、マイライフ』のジョージ・クルーニー、『A Single Man』のコリン・ファース、『インビクタス/負けざる者たち』のモーガン・フリーマン、『ハート・ロッカー』のジェレミー・レナーでした。ちなみにabcの事前アンケートでは、ジェフ・ブリッジス、35%。ジョージ・クルーニー、20%。コリン・ファース、8%。モーガン・フリーマン、26%。ジェレミー・レナー、11%でした。
受賞は一般視聴者も支持したジェフ・ブリッジスでした。会場全員がスタンディングオベーションをおくりました。

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主演女優賞:An Actress in a Leading Role
主演女優賞候補の映像が編集され上映されました。
上映が終わると、男優賞と同様、舞台には蒼々たる顔ぶれが登場します。フォレスト・ウィテカー、マイケル・シーン、ピーター・サースガード、オプラ・ウィンフリー、スタンリー・トゥッチ。

フォレスト・ウィテカーがサンドラ・ブロックを紹介しました。ウィティカーは、『ラストキング・オブ・スコットランド』でオスカーを手にした俳優です。『しあわせの隠れる場所』で、サンドラ・ブロックが演じるのはタフな女性です。感情を出しません。彼女は引き取った若い男に自分専用ベッドは初めてだと言われます。そのときサンドラは目で感情を表現していました。私は監督として『微笑みをもう一度』で彼女と仕事をしました。なにげなく演じているようでしたが実はデリケートで複雑な芝居をしていました。とてもきめやかで魔法のような演技。それが女優・サンドラ・ブロックです。」
マイケル・シーンがヘレン・ミレンを紹介しました。「全ての英国首相は、ヘレンのような女王と良い関係になるべきです。私はヘレンが女王に扮しオスカーを受賞した『クイーン』で共演しました。」シーンは、英国首相役でしたね。「撮影中にいつも思うことがありました。こんなに女王に惹かれて良いのだろうか、と。エリザベス女王ですからね。」会場は笑いに包まれました。「しかし女王のメイクが落ちてくると見ヘレンの手に蜘蛛の巣のタトゥーが出現します。才能と勇気とタトゥーを持ったヘレン・ミレン。女王も伯爵夫人も演じられるのです。オスカー・ノミネートおめでとう。」
ピーター・サースガードがキャリー・マリガンを紹介しました。「キャリー・マリガンと私は2回恋に落ちています。演技上のお話しです。1回目は舞台、2回目は『17歳の肖像』です。酷い仕打ちをしました。結婚していると黙っていて申し訳ない。優雅で知的な人物の複雑な演技を見事に演じました。幸いに私たちはまだ若いので、今後も素晴らしい演技を見ることができるでしょう。こうやって賞されるのはどんな感じですか?きっとこれからも讃えられることがおおいので慣れたほうがいいですよ。」
オプラ・ウィンフリーがガボリー・シディベを紹介しました。「彼女は、大学に行くつもりでした。しかし月曜日に学校をサボって『プレシャス』のオーディションへ行きました。火曜日に電話があり、リー・ダニエルズ監督と会うことになりました。水曜日に主演が決定します。そして今夜、同じ部門でメリル・ストリープと同じオスカー候補者です。これぞハリウッドのおとぎ話です。」シディベは、涙を流していました。「『プレシャス』で厳しい現実におかれた主人公。あの演技はどこから来たの?楽しくて前向きで輝いているあなたが人々の心に訴える絶望的な少女に変身しました。どややればあんなお芝居ができるの?あなたはまるでアメリカ版シンデレラです。女優として今新しいキャリアを歩こうとしています。これからも沢山の賞賛を浴びることにになるでしょう。おめでとう、ガボリー・シディベ。」
スタンリー・トゥッチがメリル・ストリープを紹介しました。「メリル、何かかお話ししましょうか。世界中の人と同様、私も貴方を愛しています。貴方と共演した2作品は私の代表作です。演技はいつも素晴らしい、その上、有名女優なのにいつも優雅で謙虚。これはすでに誰もが知っていることですね。誰も知らないこと、貴方はユーモアがあって優しく協調性がある。そんな理想的な共演者ですばらしい友人です。しかし賞や栄誉と言った分野ではあなたはどうも独り占めする傾向にあるようですね。そこで私はアカデミーにある提案をしました。俳優のノミネートは16回までと。そうなればこれが最後になるんです。好きか嫌いかは別として誰もがメリル・ストリープは最高の役者だということを認めています。

プレゼンターは、昨年主演男優賞受賞したショーン・ペン。「ボクは正式なアカデミー会員ではないです。アカデミーもボクも昨年は優れた女優への感謝を怠っていたように思います。今日は気持ちをリフレッシュして素晴らしい女優を讃えたいです。というコメントをしました。
ノミネートは、『しあわせの隠れ場所』のサンドラ・ブロック、『The Last Station』のヘレン・ミレン、『17歳の肖像』のキャリー・マリガン、『プレシャス』のガボリー・シディベ、『ジュリー&ジュリア』のメリル・ストリープでした。
ちなみにabcの事前アンケートでは、サンドラ・ブロック、55%。ヘレン・ミレン、4%
。キャリー・マリガン、5%。ガボリー・シディベ、17%。メリル・ストリープ,19%でした。
受賞は、『しあわせの隠れ場所』のサンドラ・ブロックでした。数日前に行われたラジー賞では、最低女優賞を受賞し、ちゃんと授賞式に出席したブロックが、今度はアカデミー主演女優賞を受賞です。
舞台に上がり、オスカー像を受け取った彼女は「私の実力?それとも皆さんが諦めたの?」と発言。会場は失笑でした。「アカデミー賞のおかげで、この1ヶ月間は様々な人たちと時間を共有できました。将来仕事をしたい方々です。皆さんは私の憧れです。この賞は4人の女優さんと共有したいです。ギャビー、言葉にならないほど素晴らしい。キャリー、あなたの優雅さと美貌は嫌みです(笑)。ヘレン、私は貴方を家族と思っています。メリル、貴方は本当に期すが上手ですね。」『スピード』で有名になった彼女はここまで立派になりました。彼女は、映画関係者への謝辞を述べました。そのなかでジョージ・クルーニーに対して「私をプールに突き落としたことを今でも恨んでいます」というコメントは会場で受けていました。そして母親への感謝の言葉。このあたりからブロックは涙を見せます。
サンドラ・ブロックのスピーチは誰もが心を奪われ、彼女自身がとても魅力のある女性だということがわかるものでした。

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監督賞:Directing
プレゼンターはバーブラ・ストライサンドです。「今夜、5人の優れたノミネートから誰が選ばれるのでしょうか?女性だったら史上初です。もしかしたら史上初のアフリカン・アメリカンかもしれません。自ら脚本も手がけた3人の内の誰かかもしれません。1人は史上最高の興行成績を記録した人物です。皆さんにおめでとうと言いたい。」
ノミネートは、ジェームズ・キャメロン(『アバター』)、キャスリン・ビグロー(『ハート・ロッカー』)、クエンティン・タランティーノ(『イングロリアス・バスターズ』)、リー・ダニエルズ(『プレシャス』)、ジェイソン・ライトマン(『マイレージ、マイライフ』)。
ちなみにabcの事前アンケートでは、ジェームズ・キャメロン、49%。キャスリン・ビグロー、27%。クエンティン・タランティーノ、14%。リー・ダニエルズ、5%。ジェイソン・ライトマン、4%でした。
受賞は、キャスリン・ビグローでした。ストライサンドは、名前を読み上げる前に「ついにやった!」と発言、これにビグローはハッとします。ビグローの1列後ろにはかつての旦那であり、今回監督賞を争ったジェームス・キャメロンがいました。キャメロンも直ぐに立ち上がり拍手を送りました。会場にいる全員がスタンディングオベーションをおくりました。ビグローは声を震わせながら「人生最高の瞬間です。」とコメント。「とても力のある監督達、影響され崇拝してきた方々と一緒にノミネートされたことが信じられなかったです。アカデミー会員の皆さん、ありがとうございます。この賞をイラクやアフガニスタンや世界で毎日命をかけて頑張っている彼らに!Come Home Safe.」

私はビグローと仕事をしたことがあります。とても背が高く美しかった。そして凛とした信念がある人でした。それはいまから10年以上も前の話です。驚いたのは、その当時と見かけがほとんど変わっていないことです。彼女は1951年生まれです。現在58才。そんな才能と美しさを持つ人物が史上初の女性の最優秀監督賞を受賞しました。ちなみに現在も元夫のジェームス・キャメロンとは仲がいいそうです。

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作品賞:Best Motion Picture
トム・ハンクスの登場です。「作品候補が10作品というのは1943年以来、当時は戦争中で作品賞は『カサブランカ』でした。簿ガードとバーグマンが出演した名作と同じ栄誉に輝く作品の発表です。受賞は『ハート・ロッカー』。」
ノミネートは、すでに各賞の合間で行っていたので、ここでは紹介されませんでした。ちなみにabcの事前アンケートでは、『アバター』、54%。『しあわせの隠れ場所』、8%。『第9地区』、2%。『17歳の肖像』、1%。『ハート・ロッカー』、18%。『イングロリアス・バスターズ』、6%。『プレシャス』、3%。『A Serious Man』、1%。『カールじいさんの空飛ぶ家』、5%。『マイレージ、マイライフ』、2%。でした。

『ハート・ロッカー』は、9部門でノミネートされ、6賞でオスカーを獲得しました。スピーチは、とても素晴らしいものでした。「自分たちは自分たちのやりかたでここに集う才能を使い映画を作ると決めたのです。うまくいけば配給会社が見つかり気に入ってもらえるかもしれないと作業をしました。だからここに立てるとは思ってもみませんでした。サミットに感謝します。」「世界中の制服を着て仕事をしている人にこの賞を捧げます。」
『ハート・ロッカー』は、スタジオや企業の論理に左右されず、信頼できる少数のスタッフたちが作り上げた小作品です。先導が少ないので、自分たちのカラーが色濃く出ます。もし、ここに企業が入っていたら「恋愛を入れろ!」とか「もっと爆発シーンを増やせ」とか「有名な役者をキャスティングしろ」と口を挟んだはずです。このような介入をしないで配給をしたサミットは、確かに素晴らしいです。ご存じの通り、近年サミットは急速に成長している企業です。ヒット作がたくさんあります。きっとサミットは、大企業病に陥っていない唯一の映画配給会社なのではないでしょうか。

そして、フィナーレ。司会のスティーブ・マーティンは、「授賞式が長すぎるから『アバター』でさえ古く感じるよ。」「アレック、君は俳優、コメディアン、そして人間としても最高だよ。」アレックは「良い締め言葉だ!」

アカデミー賞は、世相を反映します。もし、現在アメリカが兵士を中東に派遣していなかったら、こういう結果になったでしょうか?戦争は、エンターテイメント業界にも大きく影響したのです。といいつつ、アメリカ人のインディアン侵略を模したような作品には肯定的になれないという側面もあります。また別次元で見ると、大手スタジオの勢力を減らしたいと思うスタッフの気持ちも働いています。
実は、アカデミー賞にノミネートされた作品や人々はすでに十分素晴らしいのです。ノミネート作品は全て見るべきですし、見て満足できます。最優秀賞は、外的環境、内的環境によるところが大きいです。

皆さん、是非ここに記された作品を見て、ご自身で最優秀賞を選んでみてください。映画に関する認識がきっと変わるはずです。



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第82回アカデミー賞 授賞式 2/3 [映画賞・映画祭]

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The 82nd Annual Academy Awards

前回に続き、09年度アカデミー賞を詳しくお伝えしていきます。

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ガバナーズ・アワード
クイーン・ラティファの登場です。
彼女は、11月14日に行われた史上初のアカデミー協会賞のイベントについて説明しました。
このイベントで映画界に貢献した3人の映画人にガバナーズ・アワード(名誉賞)が授与され讃えられたそうです。そして、そのときのハイライトが上映されました。

1人目は、プロデューサー、ディレクターであるロジャー・コーマン氏。ご存じの通り、彼はジェームス・キャメロンはじめおおくの映画人にとって師であり親代わりであり、友達でもあります。イベントでは、タランティーノ、スピルバーグ、ロン・ハワードが祝辞を述べていました。
2人目は、撮影監督のゴードン・ウィルスが。彼はゴッドファーザー・シリーズやウッディ・アレンの映画で有名です。
3人目は、ローレン・バコール。「三つ数えろ」などで名声を博し、ハンフリー・ボガードと結婚。私世代では「オリエント急行殺人事件」「ミザリー」でとても美しかった女優さんです。

最後にアーヴィング・G・タルバーグ賞は「エクソシスト」「スーパーマン」などのプロデューサー、ジョン・キャリーに授与されました。彼は、現場のプロデューサーではなく、メジャー・スタジオの役員という立場で企画にグリーンライトを灯す仕事をしてきた人物です。

アカデミー賞の会場にはロジャー・コーマンとローレン・バコールが来ていました。
ロジャー・コーマンは、容姿がこの20年全く変わっていないように見えました。低予算映画を山のように作り、赤字を作らない映画人です。彼のB級映画で現在ハリウッドのトップで活躍する映画人が教育を受けました。この賞に十分値する人物です。
ローレン・バコールは、かつて映画におおく出演していた頃の面影はあまりなく、かなりのお婆さんでした。
二人が紹介されると、会場は拍手拍手です。先輩に対し深い尊敬の念を抱き、全員がスタンディングオベーションをおくりました。

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助演女優賞:Actress In a Supporting Role
プレセンターはロビン・ウィリアムズです。
ウィリアムズは、「素晴らしい女優が候補になったこの賞を授与できるのはとても光栄です。」とスピーチしました。
ノミネートは、『ナイン』のペネロペ・クルス、『マイレージ、マイライフ』のベラ・ファーミガ、『Crazy Heart』のマギー・ギレンホール、『マイレージ、マイライフ』のアナ・ケンドリック、『プレシャス』のモニークです。
abcの事前アンケートでは、50%もの視聴者がモニークを支持していました。受賞は、予想通り『プレシャス』のモニークでした。モニークの名前が呼ばれると、会場にいるおおくの俳優がスタンディングオベーションをおくりました。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
コリン・ファースが、『17歳の肖像』を紹介しました。

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美術賞:Art Direction
シガニー・ウィーバーが赤いドレスを着てプレゼンターとして登場しました。「初めてエイリアンのセットを見たとき、その美しさに驚きました。セットを歩き回り感動しました。エイリアンが破壊してしまったけど・・・」
ノミネートは、『アバター』、『 Dr.パルナサスの鏡』、『 NINE 』、『シャーロック・ホームズ』、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』でした。
ノミネート作品の紹介には、素晴らしいビデオが用意されていました。各作品の美術が描いたイメージスケッチが紹介され、その絵と同じ映画のセットにオーバーラップしていきます。美術は撮影前にほぼ映画と同じ構図のスケッチ画を制作していることがわかります。そしてその絵は、セットデザインだけでなく映画のテイストまで加味されているんですね。
abcの事前アンケートでは77%が『アバター』を支持していました。受賞は、『アバター』のR・カーターとR・ストロムバーグ、装置のK・シンクレアでした。これは納得のいく結果です。世の中に存在しない世界を一から作り上げた彼らの仕事は偉大でした。『アバター』に出演したウィバーからオスカーを受け取る受賞者は、とても嬉しそうでした。

司会のスティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンが登場です。「次のプレゼンターはファッション界の人気者です。「シングル・マン」の監督トム・フォードとシングル・パウンド(軽い)サラ・ジェシカ・パーカーです!」

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衣裳デザイン賞:Costume Design
トム・フォードは、グッチのデザイナーとしてグッチを蘇らせた男、そしてイヴ・サン・ローランを蘇らせたデザイナーです。そんな彼はNYU出身で映画にも興味があったようです。09年には「シングル・マン」という映画の監督をしました。サラ・ジェシカ・パーカーは、「セックス・アンド・ザ・シティ」で有名ですね。10年には同作2本目の映画が公開されます。ファッション界の業界人から見るとアカデミー賞らしい二人のカップリングです。アカデミー賞は、このような素晴らしいプレゼンターを用意することでいっそう素晴らしいショーになっているのですね。
ノミネートは、『 Bright Star』、『ココ・アヴァン・シャネル』、『 Dr.パルナサスの鏡』、『NINE』、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』でした。abcのアンケートでは41%が『NINE』を支持していましたが、受賞は19%支持の『ヴィクトリア女王 世紀の愛』でした。やはり、この部門は歴史映画が強いですね。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
シャーリーズ・セロンが、『プレシャス』を紹介しました。

続いて司会のスティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンが登場です。ここでアカデミー賞で音楽を担当するマーク・シェイマンと指揮者のハロルド・ウィーラーが紹介されました。

パラノーマル・ビット
ホラー映画についての特別映像が上映されました。上映の前に、スティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンが体験した不思議な一夜の映像が流されました。これは「パラノーマル・アクティビティー」のパロディです。アカデミー賞のために二人が出演したコメディ仕立てのホラー映像でした。

特集:ホラー映画
プレゼンターはクリスティン・ステュワートとテイラー・ロートナーです。「『エクソシスト』がアカデミー賞を受賞してから37年が経ちました。今夜はホラー映画に敬意を表したいと思います。」というスピーチをしました。
そして、アカデミー賞のために編集されたホラー映画の映像が上映されました。
オープニングは、『ジョーズ』です。スピルバーグの傑作ですね。次は『エルム街の悪夢』、今年リメイクされます。まずはフレディーのシルエット。そしてチャッキー(『チャイルド・プレイ』)のシルエット。『エクソシスト』の有名なシルエット、『サイコ』のシャワーシーンで、シャワーカーテンに写るシルエット・・・ホラー映画に使われたシルエットの映像が繋げられていきます。ここまでは『ジョーズ』の音楽で包まれていました。
『サイコ』でシャワーカーテンが開けられ、ベイツがナイフを振り上げると、今度はナイフ・シーンで映像を繋いでいきます。『ハロウィーン』のブギーマンの手元、『13日の金曜日』のナイフ。
『ポルターガイスト』のキャロル、『エルム街の悪夢』のジョニー・デップ(彼のデビュー作ですね)が「あいつがきたぞ!」と叫ぶと、音楽は『サイコ』になり、一気にホラー映画の名シーンがスクリーンに映し出されました。
悪魔の住む家』『シャイニング』『スクリーム』『ヘルレイザー』『13日の金曜日』『ソウ』『羊たちの沈黙』『ハロウィーン』『エイリアン』『チャイルド・プレイ』『悪魔のいけにえ』。ここまでは、映画に登場する犯人(悪者、敵)が登場しました。フレディー、ジェイソン、ジグソー、レクター・・ホラー映画を見ない人でも誰もが知っているキャラクターたちです。
続いて逃げる映像集。『死霊のはらわた』『シャイニング』『エルム街の悪夢』と繋がり、今度は事件の犯人が登場するシーンが!『サイコ』『リング』・・・
そしてクラシック・ホラーの登場です。『ノスフェラトゥ』『ドラキュラ』『オペラ座の怪人』『狼男』『フランケンシュタイン』『フランケンシュタインの花嫁』デ・ニーロ版『フランケンシュタイン』『ビートルジュース』『フロム・ダスク・ティル・ドーン』『スリーピー・ホロウの伝説』『鳥』コッポラ版『ドラキュラ』『生ける屍の夜』・・・
今度は、女性の悲鳴を集めています。『サイコ』『ポルターガイスト』『リング』『スクリーム』・・・
次は何故か『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』など歯医者のシーンを集めました。
一転『エクソシスト』の音楽になり、名作ホラーの美男美女たちの美しい映像が繋がれて映写されました。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のトム・クルーズとブラッド・ピット、『エイリアン2』のシガニー・ウィーバー、『シザーハンズ』のジョニー・デップ、『13日の金曜日』のケビン・ベーコン・・・
最後に『シャイニング』の廊下のシークエンス、『シックス・センス』の名シーン『エイリアン』『エクソシスト』『キャリー』『エルム街の悪夢』『ブロブ』『ブレア・ウイッチ・プロジェクト』・・・たたみかけるようにホラー映画の名シーンが映写されました。
カメラが会場を写すと、クイティーン・タランティーノが嬉しそうに拍手していました。

特集:サウンド
ザック・エフロンとアナ・ケンドリックの登場です。
「次は映画に素晴らしい音を加える方々への賞です。今日は素晴らしい声の持ち主に手伝って貰います」
サウンドに関する映像が上映されました。ナレーションはモーガン・フリーマンです。フリーマンは音響編集とミックスに関し映画『ダークナイト』の映像を使いながら解説していきました。
このビデオは、映画学校の教材として使えるほどわかりやすく興味が持てるものでした。映画を撮影したときは音が不十分です。映像を編集した後、音響チームは、現場で録音された音を整音し、足りない音を新たに録音します。タイヤのきしむ音、壊れる金属の音、爆発音などです。これらの音を編集したあと、ミキサーが登場します。ミキサーは沢山の音を丁寧に調整していきます。ここでセリフと音響効果のバランスが整い、お客さんが聞きやすくなるのです。

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音響効果賞:Sound Effect
引き続きザック・エフロンとアナ・ケンドリックがプレゼンターです。
ノミネートは、『アバター』、『ハート・ロッカー』、『イングロリアス・バスターズ』、『スター・トレック』、『カールじいさんの空飛ぶ家』。今年はどの作品も素晴らしい音響でした。アバターは、この世ではありえない音を創造しハート・ロッカーは、戦争の激しい音響を見事に作り上げました。無音のシーンも素晴らしかったです。「イングロリアス・バスターズ」は、タランティーノらしい激しい音響が印象的でした。「カールおじさん」は、スカイウォーカーサウンドらしい品のある仕上がりでした。
受賞は、『ハート・ロッカー』のポール・N・J・オットソンでした。

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録音賞:Sound Mixing
引き続きザック・エフロンとアナ・ケンドリックがプレゼンターです。
ノミネートは、『アバター』、『ハート・ロッカー』、『イングロリアス・バスターズ』、『スター・トレック』、『トランスフォーマー リベンジ』。音響効果賞とほぼ同じ作品が並びました。どの作品もいったい何トラック使ったのかという厚みのある音でした。邦画では32トラック程度ですが、ここに並んだ作品は100を超えるトラックを調整していると思います。劇場でのサラウンド感も見事でした。
受賞は、『ハート・ロッカー』のポール・N・J・オットソンとR・ベケットでした。オットソンは、今回だけで2つもオスカーを得ました。

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科学技術賞:Scientific Technical Awards
『ブッシュ』で好演したエリザベス・バンクスの登場です。彼女は、科学技術賞を発表しました。
15部門で43人が受賞しました。とても簡単に紹介されましたが、実は受賞者は映画界にとってとても重要な仕事をしたのです。皆さんが何気なく行っている映画館や見ている映画には新しい技術が満載されています。例えば、映画を撮影するフィルムは毎年新しいものが開発されています。劇場のスピーカーは、どんどん音質が良くなっています。最近ではデジタルシネマの技術開発が盛んです。このように観客が直接目にはしない映画技術を支えている人たちが受賞しました。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
ジョン・トラボルタが、『イングロリアス・バスターズ』を紹介しました。

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撮影賞:Cinematography
サンドラ・ブロックがプレゼンターです。「私はどの撮影現場でもまずDP(撮影監督)と親しくなります。そして綺麗に撮ってとお願いします。ホントです。芸術とかはどうでもいいので綺麗にね、と」これは女優の本音ですね。
ノミネートは、『アバター』、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』、『ハート・ロッカー』、『イングロリアス・バスターズ』、『白いリボン』です。
abcの事前アンケートでは、『アバター』60%、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』13%、『ハート・ロッカー』12%、『イングロリアス・バスターズ』13%、『白いリボン』2%でした。
受賞は、一般視聴者の期待通り『アバター』のマウロ・フィオーレでした。フィオーレは、アカデミー初受賞です。彼のスピーチが感動的だったのでここに記しておきます。「私の両親はスーツケース4個に夢を詰めて米国に来ました。シカゴとオマハの住民に感謝します。そしてニュージーランドのクルー、(そしてイタリア語で)イタリア万歳!心から愛しています!」
3Dの撮影はとても大変だったはずです。2D映画はフォーカスを決めるのが比較的簡単です。しかし3Dの場合、フォーカス以外に、起点となるポイントを決めなくてはいけません。このポイントから手前が飛び出して見え、ポイントの後ろが奥行きとなります。ポイントを間違うと、人間の目と脳に障害が残る可能性があるので、1カット毎に綿密な画面設計が求められます。そして、激しい動きや短いカットも人体に影響を与える可能性があるので、慎重に撮影する必要があるのです。ただでさえ大変な3D撮影を『アバター』というSFアクションで取り入れたのは、当初誰もが無謀だと思いました。しかしマウロ・フィオーレは、スローモーションやズームを上手く使って3D映像の問題点を克服しています。さらにシネマスコープ版とIMAX版という2種類の映像を作り上げています。要は映画2本分の作業をしたのです。これはアカデミー賞を受賞するのは当たり前です。さらにいうと、映画撮影の歴史を変えた程の人物です。

追悼2009: In Memoriam
デミー・ムーアの登場です。
追悼演奏はジェームズ・テイラーでした。彼は"In My Life"をギター1本で歌いました。

パトリック・スウェイジ(俳優)、モーリス・ジャール(作曲家)、モンテ・ヘイル(俳優)、ジーン・シモンズ(俳優)、トゥリオ・ピネッリ(脚本家)、エリック・ロメール(監督)、ケン・アナキン(監督)、デビッド・キャラダイン(俳優)、ギャレス・ウィガン(スタジオ・エクゼクティブ)、ダニエル・メルニック(プロデューサー)、ハワード・ジーフ(監督)、ドム・デルイーズ(俳優)、アーミー・アーチャード(ジャーナリスト)、ロン・シルヴァー(俳優)、ブリタニー・マフィー(俳優)、ルー・ジャコビ(俳優)、サイモン・チャニングーウィリアムズ(プロデューサー)、ベッツィ・ブレア(俳優)、ジョセフ・ワイズマン(俳優)、ジャック・カーディフ(撮影)、キャスリン・グレイソン(俳優)、アーサー・カントン(PR担当)、ナット・ボクサー(音響)、ミラード・カウフマン(脚本家)、ロイ・E・ディズニー(スタジオ・エクゼクティブ)、ラリー・ゲルハート(脚本家)、ホートン・フート(脚本家)、ロバート・ウッドラフ・アンダーソン(脚本家)、バド・シュールバーグ(脚本家)、マイケル・ジャクソン、ナターシャ・リチャードソン(俳優)、ジェニファー・ジョーンズ(俳優)、デビッド・ブラウン(プロデューサー)、カール・マルデン(俳優)

今年度もおおくの映画人が他界しました。パトリック・スウェイジの死は、私たち世代にとってはショックでした。個人的にはディズニーを長い戦いの後立て直したロイ・E・ディズニーと素晴らしい映画をプロデュースしたデビッド・ブラウン(プロデューサー)に敬意を表したいと思います。

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音楽賞:Music (Original Score)
プレゼンターはジェニファー・ロペスとサム・ワシントンです。
今年は世界のダンサー達が、ノミネート作品の楽曲に会わせパフォーマンスを披露しました。ノミネートは、『アバター』、『 Fantastic Mr. Fox』、『ハート・ロッカー』、『シャーロック・ホームズ』、『カールじいさんの空飛ぶ家』でした。どの楽曲もメロディーラインがしっかりしていて誰もが心に記憶するものです。
abcのアンケートでは、『アバター』43%、『 Fantastic Mr. Fox』5%、『ハート・ロッカー』4%、『シャーロック・ホームズ』18%、『カールじいさんの空飛ぶ家』31%という予想でした。受賞は、『カールじいさんの空飛ぶ家』のマイケル・ジアッキーノでした。ジェームス・ホーナー残念!

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視覚効果賞:Visual Effects
ジェラルド・バトラーとブラッドリー・クーパーがプレゼンターです。
ノミネートは、『アバター』、『第9地区』、『スター・トレック』の3作品でした。受賞は当たり前ですが『アバター』のJ・レッテリ、S・ローゼンバウム、R・ベネハム、A・R・ジョーンズでした。受賞者は、監督、プロデューサー、ライトストーム、WETAに感謝していました。
今年のアカデミー賞が後世に語り継がれるとしたらこの『アバター』です。受賞数は少なかったのですが、『アバター』で映画の視覚効果の概念が変わってしまいました。新しい映像表現を『アバター』チームは完成させたのです。今まではILMが視覚効果の中心だったのですが、遂にニュージーランドのWETAの時代がやってきました。今後のWETAがどんな魔法を使うのか、今から楽しみです。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
ジェイソン・ベイトマンが、『マイレージ、マイライフ』を紹介しました。

アレック・ボールドウィン「次のプレゼンターは、27才でアカデミー脚本賞を受賞、その後アクションスターに転向しました。ハリウッドの歴史でも脚本家がアクションスターになった例は大変珍しいですよね。」
マット・デイモンが登場です!デイモンはドキュメンタリー賞のプレゼンターです。

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長編ドキュメンタリー賞:Documentaru Feature
ノミネートは、『ビルマVJ 消された革命 』、『 The Cove 』、『 Food, Inc. 』、『 The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers 』、『 Which Way Home 』でした。受賞は『 The Cove 』。受賞達は政治的な発言をせず謝辞を述べました。


第82回アカデミー賞授賞式を途中までお伝えしました。今年は、『アバター』VS『ハート・ロッカー』という話題に終始しましたが、実際にアカデミー賞を見てみると、映画愛に溢れた演出でした。映画に関わる人たちを讃えるのがアカデミー賞の理念です。そしてノミネートされた作品やスタッフ、キャストが、温かい目でこれを見ている光景が素晴らしかったです。

さて、次回はいよいよメイン賞をお伝えします。結果は皆さんご存じでしょうが、ここでは、受賞作だけでなく映画愛に溢れた授賞式自体の雰囲気をお伝えできれば、と思っています。

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第82回アカデミー賞 授賞式 1/3 [映画賞・映画祭]

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The 82nd Annual Academy Awards

今年もアカデミー賞を詳しく解説していきましょう。テレビで中継を見た方、結果だけ知っている方もおおいと思いますが、ここではテレビや結果だけでは分からないアカデミー賞の魅力や裏側を紹介していきます。
今年は、1944年以来、最優秀作品賞のノミネートが10作品になったことが話題となりました。10作品になることで票がバラけ、どの作品が受賞するかわからなくなります。もしかしたら今までのように5作品ノミネートだったら受賞していたはずの作品が賞を逃すかもしれないという可能性があり、発表前からかなり予想がヒートアップしていました。
そして、今年のもうひとつの目玉は「アバター」VS「ハート・ロッカー」の対決です。映画歴史上の興行収入記録を破った「アバター」、その監督ジェームス・キャメロンの元妻キャサリン・ビグローが監督した「ハート・ロッカー」が多数ノミネートされており、この結果にも興味が集まりました。

さあ、ロサンゼルスのコダックシアターで第82回アカデミー賞授賞式が始まります!

オープニング
今年の舞台は、全体的に色を抑えた品のあるものでした。舞台上には大きなモニターが6つ。真ん中のモニター2つは上下左右に可動式で、プレゼンターの登場時は扉として機能し、長めの映像を映すときは2つが繋がり1つのモニターとして機能します。そして、センターにモニターが必要ないときは左右に移動したり、時には舞台上にはけてしまうのです。左右の4枚のパネルは通常2個のモニターとしておいてあり、時々4枚になります。この6枚のパネルが効果的に動き、アカデミー賞全体をショーアップしていました。舞台の上部と左右袖には、キラキラした幕が設置され優雅さを演出しています。

大きなモニターが動き出すと、そこには複数の人影が。主演男優賞と主演女優賞にノミネートされている面々であることがわかります。左からジェフ・ブリッジス(『Crazy Heart』)、サンドラ・ブロック(『しあわせの隠れ場所』)、ジョージ・クルーニー(『マイレージ、マイライフ』)、ヘレン・ミレン(『The Last Station』)、コリン・ファース(『A Single Man』)、キャリー・マリガン(『17歳の肖像』)、モーガン・フリーマン(『インビクタス/負けざる者たち』)、ガボレイ・シディベ(『プレシャス』)、ジェレミー・レナー(『ハート・ロッカー』)。メリル・ストリープ(『ジュリー&ジュリア』)。蒼々たる顔ぶれです。
会場に「第82回アカデミー賞 授賞式が始まります!」というナレーションが流れると、客席からそれぞれのパートナーが舞台にあがり、二人で客席に座るという演出で幕を開けました。

左右のモニターには、ハリウッドで活躍してきたコメディアンの白黒写真が写されました。舞台上にはニール・P・ハリスが登場します。いつも通りのオープニングの歌は彼が歌いました。ハリウッドの歴史や今年の話題を取り入れた素敵なショーでした。

今回の司会は、スティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンです。マーティンは、今年で3回目の司会となります。ボールドウィンは、暫く映画界から離れていましたが今はNBCのテレビドラマで大活躍中の俳優です。

二人の司会者は、なんと舞台の天井からキラキラ光る乗り物に乗り、派手に登場しました。
マーティンは、ちょっと年を取った印象です。ボールドウィンは、ちょっと太った感じがします。今年はこのコメディアンとテレビ俳優(!)がアカデミー賞を進行していきます。
ご存じの通り、スティーブ・マーティンは、コメディアンであると同時に監督、プロデューサー、脚本家でもあります。とても才能があり、人をハッピーにさせる天才です。アレック・ボールドウィンは、ボールドウィン・ファミリーの中心的存在で、子供の頃からハリウッドの俳優やスタッフにおおくの友人を持つ人物です。一見、なんでこの2人が司会なの?と思うかもしれませんが、実は納得のいくキャスティングなのです。

二人はアカデミー賞の仕組みを説明しました。まず、6000人の会員が投票します。それをプライス・ウォーターハウスという管理会社が集計し、結果は当日まで金庫に保管されるのです。
このシステムについては、皆さんもご存じだと思います。この公平性があってのアカデミー賞です。何故世界中の映画ファンがアカデミー賞を見るのかというと、きちんとした資格のある人々が投票し、不正なく票が集計されているからなのです。どこかの国とは大違いですね。

そして、二人はメリル・ストリープに話題を移します。彼女は史上最もおおくノミネートされた俳優であると同時に、最もおおく最優秀賞を取れなかった俳優でもある、と。これには会場も大爆笑でした。

ここからは、例年通りのノミネート作品や俳優の紹介です。二人はユーモアを交えて紹介していきます。かなり際どい内容ですが、それを笑いに変えてしまう話術には感心させられました。ここでいくつか紹介しましょう。
「あれは、『アバター』のジェームス・キャメロン監督じゃないか?」といって赤青の3Dメガネを取り出す2人。「あの切り貼り映画が大ヒットしたなんて!」という会話の後、テレビ画面には、『アバター』にでてきた森の精霊が合成されました。2人の周りを飛び回る精霊、するとマーティンが殺虫剤を取り出し、それらを殺してしまいました。
『ハート・ロッカー』の監督・キャサリン・ビグローを紹介するときは、元夫である『アバター』のジェームス・キャメロン監督に時限爆弾付きのバスケットを送ったというエピソード(勿論ウソ)を披露。キャメロンはお返しにTOYOTA車を送ったとか...
イングロリアス・バスターズ』で助演男優賞にノミネートされているクリストフ・ヴァルツを紹介するとき、映画の中ではユダヤ人捜しに必死だった彼に向かって「ここにはユダヤ人が沢山いるよ!」という表現。「好きなだけ連れて行け!」で大爆笑。

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助演男優賞:Actor in a Supporting Role
プレゼンターは昨年助演女優賞を受賞したペネロペ・クルス。深紅のドレスに身を包み優雅に登場した彼女はスペイン語アクセントでノミネート作品を紹介しました。
マット・デイモン(『インビクタス/負けざる者たち』)、ウディ・ハレルソン(『The Messenger』)、クリストファー・プラマー(『The Last Station』)、スタンリー・トゥッチ(『ラブリーボーン』)、クリストフ・ヴァルツ(『イングロリアス・バスターズ』)。
受賞は、予想通りクリストフ・ヴァルツでした。彼はアカデミー賞に初ノミネートで初受賞です。ご存じの通り、彼はドイツ人です。俳優として成功するためには海を渡って米国に来ないといけないと思っていたときに、この作品に出会い、タランティーノ達と一緒に冒険をして来た。そしてこの新天地で暖かい歓迎を受けて嬉しいと、流暢な英語でスピーチしました。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
ライアン・レイノルズがプレゼンターで、『しあわせの隠れ場所』を紹介しました。

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長編アニメ映画賞:Best animated feature film of the year
プレゼンターは、キャメロン・ディアスとスティーブ・カレルです。奇妙な取り合わせに思えますが、この二人はコメディ映画の俳優でもあります。
キャメロンは、スピーチをカンでしまいました。そして、カレルのことをジュードと呼んでしまいます。「どうもプロンプターの調子がおかしくて・・・」と困るキャメロンに、「本当は、ここには私ではなくジュード・ローが来るはずだったんだけど、急遽私が出ることになったんだ」とカレルが切り返しました。これは、芝居なのか、本当にプロンプターが壊れたアクシデントだったのかわかりませんでした。
このあと、アカデミー賞のために作られたアニメが上映されました。アニメーション賞にノミネートされている作品の主人公達がノミネートされたことにコメントしていきます。各アニメーションスタジオがオリジナルでアニメを制作し、声優さんがきちんとアフレコしています。これはかなり貴重な映像でした。
ノミネートは、『コララインとボタンの魔女 3D』、『Fantastic Mr. Fox(原題)』、『プリンセスと魔法のキス』、『ブレンダンとケルズの秘密』、『カールじいさんの空飛ぶ家』でした。
受賞は『カールじいさんの空飛ぶ家』。ピクサーのピート・ドクターは6度目の受賞です。会場にはジョン・ラセターとスティーブ・ジョブスの喜ぶ姿がありました。

ここで司会のスティーブ・マーティンとアレック・ボールドウィンの登場です。
「次のプレゼンターは、私たちのことを知らないほど若い、アマンダ・サイフライドとマイリー・サイラスです」

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歌曲賞:Original Song
今までは、歌曲賞は後半に発表されていましたが、今年は2番目でした。
ノミネートは、「Almost There」(『プリンセスと魔法のキス』)のランディ・ニューマン、「Down in New Orleans」(『プリンセスと魔法のキス』)の同じくランディ・ニューマン、「Loin de Paname」(『幸せはシャンソニア劇場から』)のラインハルト・ワーグナー(作曲)とフランク・トマ(作詞)、「Take It All」(『NINE』)のモーリー・イェストン、「The Weary Kind」(『 Crazy Heart』)のライアン・ビンガムとT・ボーン・バーネットでした。
受賞は、ライアン・ビンガムとT・ボーン・バーネット。今年は熾烈な戦いとなりましたが、渋い選択でした。アメリカ人ならではの、ハリウッド人ならではの受賞ですね。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
クリス・パインが、『第9地区』を紹介しました。

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オリジナル脚本賞:Original screenplay
ティナ・フェイとロバート・ダウニー・Jr.の登場です。
二人は脚本家の本音を代弁しました。我が儘なキャストやプロデューサーとの共同作業で疲れる脚本家の考えを面白おかしく話す二人はとても好感が持てました。
ノミネートは、『ハート・ロッカー』、『イングロリアス・バスターズ』、『 The Messenger』、『 A Serious Man』、『カールじいさんの空飛ぶ家』。受賞は、『ハート・ロッカー』のマーク・ボールでした。彼はアカデミー賞初受賞です。
戦争を取材してこのストーリーを思いつき、映画化を期待してそれが実現した。スタッフ、キャストに感謝すると共に、イラク駐在15000人の兵士とアフガンにいる12万人の兵士、負傷した3万人、殉職した4000人、そして先月なくなった父親に感謝するといった立派なスピーチでした。

追悼 ジョン・ヒューズ
プレゼンターは、マシュー・ブロデリックとモリー・リングウォルドです。今年、心臓発作によって突然亡くなった脚本家、監督、プロデューサーのジョン・ヒューズを追悼しました。ジョン・ヒューズは、「プリティ・イン・ピンク」「恋しくて」「ホーム・アローン」などの脚本で有名です。10代の青春を瑞々しく描く天才でした。
ブロデリックは、「フェリスはある朝、突然に」でフェリスを演じてから25年、「フェリス、今日もサボるの?」と聞かれるというエピソードを披露し、会場は笑いに包まれました。
そして、ヒューズが手がけた作品が見事に編集された映像が会場で流されました。そこには、マシュー・ブロデリック、モリー・リングウォルド、スティーブ・マーティン、エリック・ストルツ、メアリー・ステュアート・マスターソン、リー・トンプソン、ケビン・ベーコン、マコーレ・カルキンなど80年代の映画スターが映し出されました。当時青春時代を過ごした人々にとっては、自分の過去をのぞき見て懐かしめる素晴らしい映像です。それだけ皆が映画館で楽しんだ名作をヒューズは作ってきたんだと実感することもできました。
上映が終わり、モニターが左右に分割されると7人が登場しました。マシュー・ブロデリックとモリー・リングウォルドに加え、ジョン・ヒューズ映画の常連達です。ジョン・クライヤー、アンソニー・マイケル・ホール、ジャド・ネルソン、アリー・シーディ、マコーレ・カルキンがヒューズの思い出を語りました。皆、映画に出演していた頃より明らかに年をとっていますが、素晴らしいスピーチでした。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
サミュエル・L・ジャクソンが、『カールじいさんの空飛ぶ家』を紹介しました。

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短編アニメーション賞:Animated Short Film
プレゼンターは『17歳の肖像』のキャリー・マリガンと『アバター』のゾーイ・サルダナです。二人とも豪華な衣裳での登場です。サルダナは、『アバター』で自分の顔の登場シーンはなかったので、一致しない方もおおかったようですが、あのネイティリを演じた女優です。
会場には、映画製作者への第一歩というテーマの映像が流れました。様々な映画関係者がどうやって今の地位に辿り着いたのかを話しました。かなり貴重なコメントが含まれていて、これから映像業界に入りたい若者にはかなり強いインパクトがあったのではないでしょうか。ここで共通するのは、短編を作ることが重要だということでした。
ノミネートは、『 French Roast』、『 Granny O'Grimm's Sleeping Beauty』、『 The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)』、『 Logorama』『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』。アニメ界は激変し、『ウォレスとグルミット』以外は全てCGによる作品でした。既にセルアニメは存在していません。
受賞は、『 Logorama』のニコラス・シュメルキンでした。シュメルキンは、フランス人です。フレンチ・アクセントを謝罪しつつ、映画に登場した3000の企業ロゴを提供してくれた方々に感謝していました。16分の作品を作るのに6年もかかったそうです。だから次回は長編映画を作って36年後に戻ってきたいというかわいいスピーチでした。

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短編ドキュメンタリー賞:Short Documentary
キャリー・マリガンとゾーイ・サルダナが続けてプレゼンターを務めます。
ノミネートは、『 China's Unnatural Disaster: The Tears of Sichuan Province』、『 The Last Campaign of Governor Booth Gardner』、『 The Last Truck: Closing of a GM Plant』、『 Music by Prudence』、『 Rabbit à la Berlin』。
受賞は、『 Music by Prudence』のロジャー・ロス・ウィリアムズとエリノア・バーケットでした。残念ながらこれら作品は、日本で見ることができません。こおような一見地味ですが見るに値する作品をなんとか日本でも配給して欲しいですね。

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短編実写映画賞:Short Live Action
引き続き、キャリー・マリガンとゾーイ・サルダナがプレゼンターを務めます。
ノミネートは、『 The Door』、『 Instead of Abracadabra』、『 Kavi』、『 Miracle Fish』、『 The New Tenants』。
受賞は、『 The New Tenants』のヨアヒム・バックとティヴィ・マグナソン。これら短編はiTUNESや別所哲也氏が主催するショートショート・ムービー・フェスティバルなどで見ることができます。

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メイクアップ賞:Makeup
ベン・スティラーの登場ですというアナウンスと共に舞台に出てきたのは青い顔の生物です。なんだ!と思ったらベン・スティラーが「アバター」のパンドラ人のメイクをしています。これには大爆笑です。
結構長い間わけのわからないパンドラ語を話し、「リハーサルの時は良いアイデアだと言われたのに」と言ったんだ、とベン。「ナチスの軍服も考えたけど他の人とかぶるから」「アバターはこの賞にはノミネートされていません。ノミネートされているスタートレックのスポックの耳を付ければ良かったんだ。ボクの持っている耳にはレナード・ニモイ(オリジナル版のスポック役)のサインが入っているんだ」など映画ファンは、腹を抱えて笑ってしまう面白ネタを連発しました。
そして、舞台の近くに座っているジェームス・キャメロンに向かって「I See You !」これは「アバター」の中のセリフですね。「ボクの三つ編みとあなたのドラゴンを結合させたい」これはパンドラ人の仕草をぱろっています。
ノミネートは、『イル・ディーヴォ』、『スター・トレック』、『ヴィクトリア女王 世紀の愛』の3作です。ちなみに「アバター」がノミネートされていないのは、パンドラ人はメイクではなくCGIだからです。
受賞は、『スター・トレック』のバーニー・バーマン、ミンディ・ホール、ジョエル・ハーロウ。毎年、この賞を受賞するのはコスチュームものです。歴史物がおおいのです。今年は是非「スタートレック」に受賞して欲しかったので嬉しいです。スピーチは、JJ・エイブラムスのしっかりとしたビジョンとエネルギー、完璧主義のおかげだというものでした。

◆◆◆最優秀作品賞ノミネート作品紹介◆◆◆
ジェフ・ブリッジスが、『A Serious Man』を紹介しました。

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脚色賞:Adapted Screenplay
プレゼンターはジェイク・ギレンホールとレイチェル・マクアダムスです。脚色賞とは、原作があるものの脚本を作った人に与えられる賞です。ベースに作品があるので、それをどのようにして映画の脚本として成立させるのかが腕の見せ所になります。
ノミネートは、『第9地区』、『 17歳の肖像』、『 In the Loop』、『プレシャス』、『マイレージ、マイライフ』。各作品を丁寧に紹介しました。これを見ると脚色がどのように行われているのかがわかりました。
受賞は、『プレシャス』のジェフリー・フレッチャーでした。彼はアカデミー賞初ノミネート、初受賞です。フレッチャーは、感極まって泣きそうでした。一生懸命お礼をいう彼の姿はおおくの視聴者の心を打ちました。

司会のスティーブ・マーティンが登場し「今のスピーチは私が書いたんですよ」といいました。なんて気の利いたコメントでしょう。

今年のアカデミー賞は、昨年同様前半は淡々と進んでいきました。ベン・スティラーくらいしか面白いことは起こらずちょっと地味に見えますが、むしろアカデミー賞の重厚さを感じることができました。
この後、82回アカデミー賞がどう盛り上がっていくのかは、皆さんもニュースなどでご存じだと思います。
次回も、ニュースでは報じられなかったアカデミー賞をお伝えしていこうと思います。
お楽しみに。

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第82回アカデミー賞ノミネート発表 [映画賞・映画祭]

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◆◆作品賞・Best motion picture of the year◆◆
『アバター』
『しあわせの隠れ場所』
『第9地区』
『17歳の肖像』
『ハート・ロッカー』
『イングロリアス・バスターズ』
『プレシャス』
『A Serious Man(原題)』
『カールじいさんの空飛ぶ家』
『マイレージ、マイライフ』
今年はノミネートが10作品です。普通なら入らないであろう作品がノミネートされているのが面白いです。毎年10作品ノミネートされると、結構予想外の結果となりますね。予想は「アバター」か「ハート・ロッカー」です。かつて夫婦だったキャメロンとビグローが争うのは面白いですね。

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◆◆監督賞・Achievement in directing◆◆
ジェームズ・キャメロン『アバター』
キャスリン・ビグロー『ハート・ロッカー』
クエンティン・タランティーノ『イングロリアス・バスターズ』
リー・ダニエルズ『プレシャス』
ジェイソン・ライトマン『マイレージ、マイライフ』
監督賞は、誰がとってもおかしくないです。それぞれが非常にレベルの高い演出をしました。ここでもキャメロン vs ビグローの対決が気になります。二人は仲がよいそうなので、どちらかが取ると、何かハプニングがありそうですね。

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◆◆主演男優賞・Performance by an actor in a leading role◆◆
ジェフ・ブリッジス『Crazy Heart(原題)』
ジョージ・クルーニー『マイレージ、マイライフ』
コリン・ファース『A Single Man』
モーガン・フリーマン『インビクタス/負けざる者たち』
ジェレミー・レナー『ハート・ロッカー』
マンデラ役を見事に演じたフリーマンに取って欲しいですが、ジェレミー・レナーあたりが有力なのではないでしょうか。世の女性はクルーニーを応援しているようです。

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◆◆主演女優賞・Performance by an actress in a leading role◆◆
サンドラ・ブロック『しあわせの隠れ場所』
ヘレン・ミレン『The Last Station(原題)』
キャリー・マリガン『17歳の肖像』
ガボリー・シディベ『プレシャス』
メリル・ストリープ『ジュリー&ジュリア』
ゴールデン・グローブ賞を受賞したサンドラ・ブロックが取るか、メリル・ストリープがまたまた受賞となるのか?とても興味がある賞です。

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◆◆助演男優賞・Performance by an actor in a supporting role◆◆
マット・デイモン『インビクタス/負けざる者たち』
ウディ・ハレルソン『The Messenger(原題)』
クリストファー・プラマー『The Last Station(原題)』
スタンリー・トゥッチ『ラブリーボーン』
クリストフ・ヴァルツ『イングロリアス・バスターズ』
マット・デイモンも良かったですが、やはりクリストフ・ヴァルツでしょう。詳しくは私のブログで!

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◆◆助演女優賞・Performance by an actress in a supporting role◆◆
ペネロペ・クルス『ナイン』
ベラ・ファーミガ『マイレージ、マイライフ』
マギー・ギレンホール『Crazy Heart(原題)』
アナ・ケンドリック『マイレージ、マイライフ』
モニーク『プレシャス』
誰がとってもいいですね。個人的にはマギー・ギレンホールに取って欲しいです。

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◆◆優秀アニメ作品・Best animated feature film of the year◆◆
『コララインとボタンの魔女 3D』
『Fantastic Mr. Fox(原題)』
『プリンセスと魔法のキス』
『ブレンダンとケルズの秘密』(フランス)
『カールじいさんの空飛ぶ家』
今回はどれも微妙です。日本人にはどの作品もしっくりきませんが、「Up」が最有力でしょう。

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◆◆最優秀外国語映画賞・Best foreign language film of the year◆◆
『Ajami(原題)』(イスラエル)
『The Milk of Sorrow(原題)』(ペルー)
『Un Prophete(原題)』(フランス)
『瞳の奥の秘密』(アルゼンチン)
『白いリボン』(ドイツ)
ゴールデン・グローブ賞は、「白いリボン」でした。昨年のように日本では盛り上がらない作品群です。

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◆◆長編ドキュメンタリー賞◆◆
『ビルマVJ 消された革命
『 The Cove (原題)』
『 Food, Inc. (原題)』
『 The Most Dangerous Man in America: Daniel Ellsberg and the Pentagon Papers (原題)』
『 Which Way Home (原題)』

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◆◆オリジナル脚本賞・Original screenplay◆◆
『ハート・ロッカー』
『イングロリアス・バスターズ』
『 The Messenger(原題)』
『 A Serious Man(原題)』
『カールじいさんの空飛ぶ家』
最有力は「ハート・ロッカー」ですが、タランティーノの「イングロリアス・バスターズ」が素晴らしかったです。さて、オスカーは誰の手に?

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◆◆脚本賞(原作あり)・Adapted screenplay◆◆
『第9地区』
『 17歳の肖像』
『 In the Loop(原題)』
『プレシャス』
『マイレージ、マイライフ』
「District 9」は、かなり面白くアメリカでは大ヒットでした。私は「Up in the Air」の脚本が好きです。こういう大人の脚本は日本ではなかなか見かけませんね。

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◆◆美術賞◆◆
『アバター』
『 Dr.パルナサスの鏡』
『 NINE 』
『シャーロック・ホームズ』
『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
私は「NINE」に1票!ただ「アバター」は、生物のDNAレベルまで考えた設定でした。客が目にする美術表現を超えたレベルでの美術設定が受賞するべきなのでしょう。

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◆◆撮影賞◆◆
『アバター』
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』
『ハート・ロッカー』
『イングロリアス・バスターズ』
『白いリボン』
「アバター」は、シネスコサイズとIMAXサイズの2バージョンで見ましたが、両方共に素晴らしい撮影でした。撮影と言っても2/3はアニメですね(笑)。個人的にはアモレンズで撮影された「スタートレック」に受賞して欲しかったです。

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◆◆衣装デザイン賞◆◆
『 Bright Star(原題)』
『ココ・アヴァン・シャネル』
『 Dr.パルナサスの鏡』
『NINE』
『ヴィクトリア女王 世紀の愛』
衣裳は、現代劇でもかなり頑張っているのですが、ちょっとわかりやすい作品が並んでしまいました。「アバター」の衣裳など素晴らしかったのですが残念ながらノミネートされませんでしたね。

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◆◆編集賞◆◆
『アバター』
『第9地区』
『ハート・ロッカー』
『イングロリアス・バスターズ』
『プレシャス』
「アバター」の細かな編集は、見事でした。長尺の中でも短いシークエンスの丁寧な編集が観客の心を掴んだのだと思います。「イングロリアス・バスターズ」は、逆にダイナミックな編集で気持ちが良かったです。タランティーノらしい構成で見せる映画でした。

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◆◆メイクアップ賞◆◆
『イル・ディーヴォ』
『スター・トレック』
『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

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◆◆音楽賞◆◆
『アバター』
『 Fantastic Mr. Fox(原題)』
『ハート・ロッカー』
『シャーロック・ホームズ』
『カールじいさんの空飛ぶ家』
ジェームス・ホーナーのおさえた音楽が素晴らしかったです。是非「アバター」に!

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◆◆歌曲賞◆◆
「Almost There」(『プリンセスと魔法のキス』)
「Down in New Orleans」(『プリンセスと魔法のキス』)
「Loin de Paname」(『幸せはシャンソニア劇場から』)
「Take It All」(『NINE』)
「The Weary Kind」(『 Crazy Heart(原題)』)

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◆◆視覚効果賞◆◆
『アバター』
『第9地区』
『スター・トレック』
どれも素晴らしかったですが、やはり「アバター」でしょう。新しい3D撮影方式とIMAX映像、圧倒的なコンポジットは他作品をおおきく引き離しています。

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◆◆音響効果賞◆◆
『アバター』
『ハート・ロッカー』
『イングロリアス・バスターズ』
『スター・トレック』
『カールじいさんの空飛ぶ家』
この賞でオスカーがどの作品に渡るのかは、誰もわかりません。それほどレベルは同じです。日本映画もこれら作品を勉強して音響のクオリティを上げて欲しいですね。個人的には友人のトム(「Up」)に受賞してもらいたいです。

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◆◆録音賞◆◆
『アバター』
『ハート・ロッカー』
『イングロリアス・バスターズ』
『スター・トレック』
『トランスフォーマー リベンジ』
厳しいスケジュールの中、がんばった「イングロリアス・バスターズ」のスタッフが現場で一番苦労したんだと思います。受賞は「アバター」か「ハート・ロッカー」でしょう。

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◆◆短編実写賞◆◆
『 The Door(原題)』
『 Instead of Abracadabra(原題)』
『 Kavi(原題)』
『 Miracle Fish(原題)』
『 The New Tenants(原題)』

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◆◆短編ドキュメンタリー賞◆◆
『 China's Unnatural Disaster: The Tears of Sichuan Province(原題)』
『 The Last Campaign of Governor Booth Gardner(原題)』
『 The Last Truck: Closing of a GM Plant(原題)』
『 Music by Prudence(原題)』
『 Rabbit à la Berlin(原題)』

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◆◆短編アニメーション賞◆◆
『 French Roast(原題)』
『 Granny O'Grimm's Sleeping Beauty(原題)』
『 The Lady and the Reaper (La Dama y la Muerte)(原題)』
『 Logorama(原題)』
『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』

今年の注目は、やはり「アバター」が何部門受賞するかでしょう。しかしジェームス・キャメロンの元妻であるキャサリン・ビグローの「ハート・ロッカー」のほうが下馬評は高いです。さて結果はどうなるのか?
私はビグローに会ったことがあるのですが、背が高く美しい女性でした。この人が素晴らしい作品を次々に生み出しているというのがどうしてもイメージできませんでした。キャメロンは彼女の外観だけではなくきっと彼女のクリエイティブと仕事に対する真摯な姿に惚れたのではないでしょうか。現在もキャメロンとビグローは仲が良いそうです。そういう友人とアカデミー賞を闘うなんて、不思議な運命ですね。

アカデミー賞は、2010年3月7日(日)8時からロサンゼルスのコダックシアターで開催されます。アメリカではabcが中継し、日本ではWOWOWが、中継します。

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第67回 ゴールデン・グローブ賞 発表 [映画賞・映画祭]

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The 67th Annual Golden Globe Awards

ゴールデン・グローブ賞が発表になりました。
結果をお伝えします。
★が受賞です。

◆最優秀映画作品賞(ドラマ)
★『アバター』

 『ハート・ロッカー』
 『イングロリアス・バスターズ』

 『プレシャス』

 『マイレージ、マイライフ』
 予想通りの受賞でしょう。

◆最優秀主演女優賞(ドラマ)

 エミリー・ブラント 『ヴィクトリア女王 世紀の愛』

★サンドラ・ブロック 『ザ・ブラインド・サイド』(原題)
 ヘレン・ミレン 『ザ・ラスト・ステイション』(原題)

 キャリー・マリガン 『17歳の肖像』(原題)

 ガボレイ・シディビー  『プレシャス』
 接戦でしたがサンドラ・ブロックの受賞です。復活なるか?

◆最優秀主演男優賞(ドラマ)
★ジェフ・ブリッジス 『クレイジー・ハート』(原題)

 ジョージ・クルーニー 『マイレージ、マイライフ』

 コリン・ファース 『ア・シングル・マン』(原題)

 モーガン・フリーマン 『インビクタス/負けざる者たち』

 トビー・マグワイア『マイ・ブラザー』
 個人的にはモーガン・フリーマンに取って欲しかったです。

◆最優秀映画作品賞(ミュージカル・コメディー部門)
 『(500)日のサマー』

★『ハングオーバー』

 『恋するベーカリー』

 『ジュリー&ジュリア』

 『NINE』
 「ナイン」かと思っていましたが...

◆最優秀主演女優賞(ミュージカル・コメディー部門)
 サンドラ・ブロック 『あなたは私の婿になる』
 マリオン・コティヤール 『NINE』

 ジュリア・ロバーツ 『デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~』

 メリル・ストリープ 『恋するベーカリー』

★メリル・ストリープ 『ジュリー&ジュリア』
 2つノミネートしていたメリル・ストリープが受賞しました。納得です。

◆最優秀主演男優賞(ミュージカル・コメディー部門)
 マット・デイモン 『インフォーマント!』

 ダニエル・デイ=ルイス 『NINE』

★ロバート・ダウニー・Jr 『シャーロック・ホームズ』

 ジョセフ・ゴードン=レヴィット 『(500)日のサマー』

 マイケル・スタールバーグ 『ア・シリアス・マン』(原題)
 今までのイメージと全く違うホームズを作り出したダウニー、驚きの受賞です。

◆最優秀アニメーション賞
 『くもりときどきミートボール』

 『コララインとボタンの魔女 3D』

 『ファンタスティック・ミスター・フォックス』(原題)

 『プリンセスと魔法のキス』

★『カールじいさんの空飛ぶ家』
 予想通りでした。

◆最優秀外国語作品賞
 『BAARIA』(原題)イタリア

 『抱擁のかけら』スペイン

 『THE MAID』(原題)チリ
『ア・プロフェット』(原題)フランス

★『ザ・ホワイト・リボン』(原題)ドイツ

◆最優秀助演女優賞
 ペネロペ・クルス 『NINE』

 ヴェラ・ファーミガ 『マイレージ、マイライフ』

 アナ・ケンドリック 『マイレージ、マイライフ』

★モニーク 『プレシャス』

 ジュリアン・ムーア 『ア・シングル・マン』(原題)

◆最優秀助演男優賞

 マット・デイモン 『インビクタス/負けざる者たち』

 ウディ・ハレルソン 『ザ・メッセンジャー』(原題)

 クリストファー・プラマー 『ザ・ラスト・ステイション』(原題)

 スタンリー・トゥッチ 『ラブリーボーン』

★クリストフ・ヴァルツ 『イングロリアス・バスターズ』
 ブログでも書いたとおり、当然の受賞ですね。個人的には今回一番嬉しかったです。

◆最優秀監督賞
 キャスリン・ビグロー 『ハート・ロッカー』

★ジェームズ・キャメロン 『アバター』

 クリント・イーストウッド 『インビクタス/負けざる者たち』

 ジェイソン・ライトマン 『マイレージ、マイライフ』

 クエンティン・タランティーノ 『イングロリアス・バスターズ』
 激戦でしたがキャメロンに落ち着きました。さて、オスカーは?

◆最優秀脚本賞
 ニール・ブロンカンプ 『第9地区』

 マーク・ボール 『ハート・ロッカー』

 ナンシー・マイヤーズ 『恋するベーカリー』

★ジェイソン・ライトマン、シェルダン・ターナー 『マイレージ、マイライフ』

 クエンティン・タランティーノ 『イングロリアス・バスターズ』
 タランティーノかと思っていたらライトマン&ターナーでした。確かに素晴らしい本でした。

◆最優秀作曲賞

★マイケル・ジアッキノ 『カールじいさんの空飛ぶ家』

 マーヴィン・ハムリッシュ 『インフォーマント!』

 ジェームズ・ホーナー 『アバター』

 アベエル・コジェニオウスキ 『ア・シングル・マン』(原題)

 カレン・O、カーター・バーウェル 『かいじゅうたちのいるところ』

◆最優秀歌曲賞
 「シネマ・イタリアーノ」 『NINE』

 「アイ・ウォント・トウ・カム・ホーム」 『エブリボディズ・ファイン』(原題)

 「アイ・シー・ユー」 『アバター』

★「ザ・ウェアリー・カインド」 『クレイジー・ハート』(原題)

 「ウィンター」 『マイ・ブラザー』

日本ではあまり話題にならないですが、ゴールデン・グローブ賞は、アメリカの映画・テレビ業界では大変重要な賞です。最優秀賞を受賞していなくても、ここにノミネートされている作品は、劇場で見て
損しない名作ばかりです。殆どの作品が日本ではこれから上映されますので、是非劇場に足を運んでみてください。

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第81回アカデミー賞 授賞式 3/3 [映画賞・映画祭]

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The 81st Annual Academy Awards

1回2回に続き、81回を迎えたアカデミー賞の3回目レポートです。いよいよ主要賞の発表です。受賞作だけにフォーカスすることなく、アカデミー賞の本当の面白さ、素晴らしさが伝わると嬉しいです。

ヒュー・ジャックマンの登場です。ここからは映画音楽に関わる賞の発表となります。指揮者マイケル・ジアッキーノを紹介すると音楽が始まりました。
この音楽は、実際にオーケストラによって舞台上で演奏されました。印象的なメロディーの『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。静かな“Defiance”。心に訴えかける 『ミルク』は、Danny Elfmanによる作曲です。『ウォーリー』は、ピクサー映画らしい音楽でした。『スラムドッグ$ミリオネア』はインドっぽい音楽です。

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<作曲賞:Original Score>
アリシア・キーズとザック・エフロンの登場です。音楽賞はこの二人がプレゼンターです。ノミネートは、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のアレクサンドル・デプラ、“Defiance”のジェームス・ニュートン・ハワード、 『ミルク』のダニー・エルフマン、『スラムドッグ$ミリオネア』のA.R. ラーマン、『ウォーリー』のトーマス・ニューマンです。
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』のA.R. ラーマンでした。これも、作品に対する賞です。音楽的には他のノミネート者のほうがクオリティは上です。

●●●歌曲賞メドレー●●●
歌曲賞にノミネートされている音楽が舞台上で披露されました。今年は3曲で、そのうち2曲が『スラムドッグ$ミリオネア』からのものだったのでインド色が強い華やかなショーとなりました。

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<歌曲賞:Original Song>
引き続きアリシア・キーズとザック・エフロンが発表を続けます。
ノミネートは、“Down to Earth”(『ウォーリー』)、“Jai Ho”(『スラムドッグ$ミリオネア』) 、“O Saya”(『スラムドッグ$ミリオネア』) です。
受賞は、“Jai Ho”でした。マサラ・ムービーっぽい音楽がアカデミー賞を受賞するとは、面白い時代になりました。

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<外国語映画賞:Foreign Language Film of the year>
プレゼンターは、リーアム・ニーソンと『スラムドッグ$ミリオネア』のフリーダ・ピントです。イギリス人とインド人が登場し、第一声は「ボン・ソワー」(笑)。そう、外国語映画賞にふさわしい二人なのです。
今年は、ドイツ語、フランス語、ヘブライ語、日本語、オーストリア語の映画がノミネートされました。どれもアメリカではなかなか作られないタイプの映画です。“The Baader Meinhof Complex”(ドイツ)は、テロリストがどうしてできあがっていくのかを描く作品です。日本では「テロリスト」という"悪"というくくりで話される彼らも、実は人間であることを知らされる素晴らしい映画です。日本での公開を強く望みます。“The Class”(フランス)は、学校の教師が様々な文化からやってきた生徒の多様性に苦しめられる映画です。排他的な日本では、このような多様性のある学校がなかなか存在しません。これらからの時代を見事に描いた作品です。下馬評ではこの作品が受賞するという話題でした。『おくりびと』は、日本の葬儀を取り上げました。この作品の英語タイトルが素晴らしいです" Departures"。タイトルだけで投票した人もいるのではないでしょうか。“Revanche”(オーストリア)は、強盗事件がきっかけで起こる報復事件を描いた作品です。『バシールとワルツを』(イスラエル)は、イスラエルがパレスチナで行った軍事作戦の酷さをイスラエル人が描いた作品です。授賞式までは、この作品が受賞すると思われていました。
受賞は『おくりびと』でした。外国語映画賞は、非常に限られた人々により投票されます。今年は“The Class”と『バシールとワルツを』の票が割れ、結果3番手に付けていた『おくりびと』が受賞したわけです。日本人としては嬉しい誤算でした。

●●●追悼●●●
クイーン・ラティファの登場です。彼女は「I'll Be Seeing You」を唄います。今年亡くなられた映画人の映像がスクリーンに映し出されました。Cyd Charisse、Bernie Mac、Bud Stone(スタジオ・エクゼクティブ)、Ollie Johnston(アニメーター)、Van Johnson、J. Paul Huntsman(音響)、Michael Crichton(プロデューサー、脚本、原作、監督、「ジュラシック・パーク」の原作者としても有名)、Nina Foch、Pat Hingle、Harold Pinter(作家)、Charles H. Joffe(「アニー・ホール」などのプロデューサー)、市川昆(写真が違っていたのが残念です)、Charles H. Schneer(SF名作映画のプロデューサー)、Abby Mann(脚本家)、Roy Schider(名優がまたひとり亡くなりました)、David Watkin(撮影監督)、Robert Mulligan(監督)、Evelyn Keyes、Richard Widmark、Claude Berri(監督)、Maila Nurmi(ヴァンパイラ、あー!)、Isaac Hayes、Leonard Rosenman(作曲家)、Ricardo Montalban、Manny Farber(評論家)、Robert Doqui、Jules Dassin(監督)、Paul Scofield、John Michael Hayes(「裏窓」などの脚本家)、Warren Cowan(パブリシスト)、Joseph M. Caracciolo(プロデューサー)、Stan Winston(特殊効果、彼がいなかったら今のハリウッド映画はなかったでしょう「エイリアン」「ターミネーター」どれも彼がいたからできたのです)、Ned Tanen(プロデューサー)、James Whitmore、Charlton Heston(「ベン・ハー」「猿の惑星」最後は全米ライフル協会会長と常に話題の人でした)、Anthony Minghella(監督)、Sydney Pollack(監督、プロデューサー、俳優、ハリウッド映画を築いた功労者)、Paul Newman(アメリカン・ニューシネマの牽引者、素晴らしい俳優、そして父親でした)。

司会のヒュー・ジャックマンの登場です。「アメリカでは、4年間務めた大統領が任期を終えました。そしてアカデミーでも4年間会長を務めたシド・ガニスが任期を満了します。」シド・ガニスが客席で立ち上がり挨拶をしました。

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<監督賞:Best Director>
プレゼンターはリース・ウィザー・スプーンです。「監督は、映画のCEOでもあり、現場ではセラピストにもなります。時にはトレーラーに閉じこもった俳優を説得する交渉人にもなります。私のことではありません。ベン・スティラーのことです(笑)。監督は映画を制作する上であるベクトルを示します。大きい意味で言うと作品のテイストを決めるのです。しかし目の前には解決しなければならない問題が山積しています。これらをひとつひとつこなしながら遠い先にある完成作品を目指すのです。とても大変な作業です。脚本に書かれていることを具現化し、カメラマンにはどんな映像がほしいか適切に説明します。全ての俳優が役の内面に入れるように尽力します。きちんと物語が伝えられるよう、全てのシーンをつなぎ合わせます。」
ノミネートは、ダニー・ボイル(『スラムドッグ$ミリオネア』)、デヴィッド・フィンチャー(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)、ガス・ヴァン・サント(『ミルク』)、ロン・ハワード(『フロスト×ニクソン』)、スティーヴン・ダルドリー(『愛を読むひと』)。誰が受賞しても納得のいくノミネートです。
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』のダニー・ボイルでした。アメリカでは公開されない可能性が高かったこの企画を見事に映画化した彼の手腕は受賞に十分匹敵します。ボイルのスピーチは長く、沢山の関係者に感謝の意を述べていました。

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<主演女優賞:An Actress in a Leading Role>
過去の主演女優賞の受賞場面が一気に上映されました。どの年も印象的でその時を思い出させられました。
今年の恒例、スクリーンが5つに別れ、過去に主演女優賞を受賞した5人の女優が受賞したときの発表シーンがスチルで上映されました。「受賞は、ソフィア・ローレン、シャーリー・マクレーン、ハリー・ベリー、ニコール・コッドマン、マリオン・コティアール!」スクリーンが上がると、それぞれの写真から5人のアカデミー女優が登場です!会場は当然スタンディング・オベーションとなりました。なんと豪華なんでしょう。凄すぎます。目の前にハリウッド映画の歴史が佇んでいるのです。スタンディング・オベーションは鳴りやみませんでした。
この5人が5人のノミネートを発表していきます:
シャーリー・マクレーンがアン・ハサウェイについて語り始めます。は差ウェイは目に涙を溜め、手を胸に当て聞き入っていました。「あなたは若い女優さんのお手本だと思います。明るさだけでなく自分の闇の部分を表に出す勇気がありますね。候補になったのは初めてですが、これから何度も名前があがるでしょう。貴方はとても素敵な声を持っているんですね。歌い続けてください。」ハサウェイは投げキッスで返しました。
マリオン・コティアールは、ケイト・ウィンスレットを紹介しました。「貴方は新しい作品で役の幅を広げました。『愛を読むひと』では情熱、愛情、奥深さを演じ分け、愛を経験すると変化する感情を見事に演じていました。貴方は、インスピレーションを与え素晴らしい女優です。」
ハリー・ベリーは、メリッサ・レオを紹介しました。「私は幸運にもインディー映画に出演して女優としての成功の道を歩むことが出来ました。今年、私と同じ事がまた起こりました。メリッサ・レオです。」
ソフィア・ローレンが、メリル・ストリープについて語り始めます。「この人についてはどこから話し始めればいいのか分かりません。名前を聞くだけで素晴らしい女優であることは誰もが分かります。ですからここでお伝えしましょう・メリル・ストリープ。今回は15回目のノミネーションです。」
ニコール・コッドマンは、アンジェリーナ・ジョリーです。「『チェンジリング』で、ジョリーは我々に母親の愛の深さを教えてくれました。」
豪華です。この部分だけで十分視聴率がとれるでしょう。こういう長い年月をかけて築いてきた映画文化があるのが羨ましいです。
受賞は、ケイト・ウィンスレット(『愛を読むひと』)でした。スタンディング・オベーションです。ウィンスレットは舞台で5人の受賞者と抱き合いました。「スピーチを用意していないというとウソになります。家でシャンプーボトルを持ち練習しました。今、それが本物になりました。」とオスカー像を握りしめるウィンスレットは、とても美しかったです。

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<主演男優賞:An Actor in a Leading Role>
過去の主演男優賞の受賞場面が一気に上映されました。この映像も贅沢なものです。出てくる俳優は誰もが知っているわけで、彼らの笑顔が次々に出てくるのです。そして5人の受賞者の登場です。「プリーズ・ウェルカム!ロバート・デ・ニーロ、ベン・キングスレー、アンソニー・ホプキンス、エイドリアン・ブロディ、マイケル・ダグラス」よくぞ、ここまで名俳優を集めたものです。アカデミーは凄いですね。会場は勿論スタンディング・オベーションです。
マイケル・ダグラスはフランク・ランジェラ(『フロスト×ニクソン』)を紹介しました。「ランジェラは、新しいアプローチでニクソンを演じました。映画が始まると実際のニクソンとの比較をすることを忘れてしまいます。落ちぶれた指導者がなんとか自分を歴史に残そうともがく姿に引き込まれていくのです。貴方の演技は他に類のないものです。敬意を表したいと思います。」
ロバート・デ・ニーロが続きます。「ショーン・ペンの成功の鍵は何でしょう?貴方は真の演技派です。そしてプライベートでも彼は献身的です。人権問題、パパラッチ問題でも活躍しています(笑)。これが私の友、ション・ペンです。」
エイドリアン・ブロディは、リチャード・ジェンキンスを紹介します。「私はグーグルで自分の名前を検索するのは好きではないのですが、リチャード・ジェンキンスを検索すると過去20年間に60本の映画に出演していたことがわかります。“The Visitor”では、経験に裏打ちされた見事な演技で作品に魅力を与えています。」
アンソニー・ホプキンスは語り出します。「みんなの好きなブラッド・ピット。彼は『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』で2/3が過ぎた頃登場します。そこまでいつもと違う演技で観客を魅了してくれます。ノミネートおめでとう!」
ベン・キングスレーは、ミッキー・ロークを紹介しました。「『ザ・レスラー』で、主人公は、人生における第2回目のチャンスが与えられます。人はこの話に魅了されます。それはミッキー・ロークのおかげです。帰ってきたチャンピオンです。」
受賞は、ショーン・ペンでした。スタンディング・オベーションです。誰も着席せずペンに拍手を送りました。「共産主義の同性愛者です(笑)。」勿論違いますが、こういうユーモアで応えるのがペン流なのでしょう。「私を支えてくれた人、サト・マツザワ、ブライアン・ベリー・・・」授賞式後、アメリカのネット上ではマツザワとは誰なのか話題騒然となりました。どのサイトでのこの話題持ちきりでした。結果マツザワさんは、ショーン・ペンのマネージャーであることがわかりました。
最後に「同性愛者結婚に反対した人たちは反省すべきです。全ての人が平等な権利を持っているはずです。」と堂々と言ったショーン・ペンに拍手です。
もうひとつ「アメリカで、エレガントな男を大統領に選んだことを誇りに思っています。」という歴史に残る名スピーチをしました。

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<作品賞・Best Motion Picture of the year>
プレゼンターはスティーブン・スピルバーグです。「今年のノミネート作品を振り返りながら過去の作品賞作品を見ていきましょう。」と始まった映像は、今年の映像集の中で最も秀逸でした。普通だったら使用するための許諾すら降りない名作品から名シーンを切り出し、今年のノミネート作品に重ね合わせていく編集は、非常に巧みでセンスがありました。この映像集は2度と公に出てこない貴重なものです。この映像を見ることができてとても幸せでした。
ノミネートは:
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 『フロスト×ニクソン』 『ミルク』 『愛を読むひと』 『スラムドッグ$ミリオネア』
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』でした。

いかがでしたか?終わってみると『スラムドッグ$ミリオネア』の圧勝でしたが、実はノミネート作品どれもが第一級作品であること、必ずしも一番優れた作品やスタッフが受賞するものではないことを理解できたと思います。是非、受賞作だけでなく、ノミネートされた作品を見てください。自分の映画を見る目が肥えるだけでなく、様々なことを感じるはずです。

<関連リンク>
第81回アカデミー賞授賞式 1/3
第81回アカデミー賞授賞式 2/3

第80回アカデミー賞授賞式 3/3
第80回アカデミー賞授賞式 2/3
第80回アカデミー賞授賞式 1/3

第79回アカデミー賞授賞式 2/2
第79回アカデミー賞授賞式 1/2




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第81回アカデミー賞 授賞式 2/3 [映画賞・映画祭]

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The 81st Annual Academy Awards

前回に続き、81回を迎えたアカデミー賞のレポートです。受賞作だけにフォーカスすることなく、アカデミー賞の本当の面白さ、素晴らしさが伝わると嬉しいです。

●●●特集:ロマンス 2008●●●
「トワイライト」のロバート・パティンソンとアマンダ・セイフライドの登場です。この二人はアメリカでとても人気のある若手俳優です。二人は「愛」について話し始めました。といっても映画の中で描かれるロマンスについてです。そして2008年度に公開されたロマンス映画のダイジェストが上映されました。『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』、『ウォーリー』、『スラムドッグ$ミリオネア』、『レスラー』、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、『オーストラリア』、『アイアンマン』、『トワイライト』、『セックス・アンド・ザ・シティ』・・・。それぞれの映画のロマンスに関するシーンが抜き出されU2の音楽に乗って表現されました。そして、最後は各映画のキスシーンを繋いだ見事な映像です。「ニュー・シネマ・パラダイス」のエンディングのような素晴らしい編集に感動でした。
一見、ロマンス映画には見えなくても、実はどんな映画にもロマンスという要素が入っているんだということがよく分かる映像でした。

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<撮影賞:Best Cinematography>
アメリカでは、撮影するスタッフを「ディレクター・オブ・フォトグラフィー (通称DP)」と呼びます。彼らは、レンズ、カメラ、照明を司り、素晴らしい映像を作り出すのです。日本では、撮影と照明はわかれていることがおおいですが、この違いは映像におおきく影響していると思います。そんなDP、機材を選ぶ力も必要ですが一番の要は自身の「目」です。DPは、脚本やロケ場所を熟知し映画らしい映像、ストーリーを伝える映像を目だけで構築していきます。
プレゼンターは、ベン・スティラーとナタリー・ポートマンです。ベン・スティラーは、サングラスをかけ、付け髭をつけての登場です。
ナタリー「撮影監督は、映像を司り、光と影を操ります・・・ちょっと、ガム咬んでいない?」
ベン「ごめん」とガムを口からだし、テーブルにおきました。
ナタリー「素晴らしい映像を作る映画の素晴らしい裏方達、彼らは巨大なアイマックス・カメラや小さなデジタルカメラを駆使して映像を撮影しています。貴方の番ですよ。」
ベン「えー、スラムドッグは携帯のカメラで撮影されたと聞いています・・・」
ナタリー「貴方、何をしたいの?どうしたの?」
ベン「別に・・・、DPにでもなろうかな・・・」
このシークエンスは、日本の視聴者にどう映ったのでしょう?ベンは日本であまり人気がないので、こういう変人だと思ってしまう人もいると思いますが、実は、ベンはホワキン・フェニックスの物まねをしていたんですね。会場の観客やアメリカの視聴者は大爆笑でした。
ノミネートは、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のクライディオ・ミランダ。この映画では全編ヴァイパーというデジタルカメラで撮影されました。このカメラは、撮影時にフィルムと同等のデータをハードディスクに取り込み、後でデジタル現像処理を施します。これによりフィルムに迫る高解像度の映像を狙い通りに現像することが可能です。今回は、そこに複雑な合成処理が施され、フィルムのインプットによる映像劣化なしにとても美しい絵を作っています。『スラムドッグ$ミリオネア』のアンソニー・ドッド・マントルは、インドでフィルム撮影を行い、この映画らしい映像を作り出しています。『ダークナイト』のウォーリー・フィスターは、監督の希望通り殆どのショットをIMAXで撮影しています。アイマックスのフィルムは巨大で、カメラも大きく、映画撮影には不向きでしたが、これを長編映画で初めて成し遂げたのです。この功績は映画史に残る偉業です。『チェンジリング』のトム・スターンは、小さな光と大きな影を操ります。基本ノーライトでの撮影は、太陽光におおきく影響されます。その気ままな太陽光をコントロールしての敏速な撮影技法は評価されるべきものです。『愛を読むひと』のクリス・メンゲスロジャー・ディーキンスは、ハリウッド映画らしいビビッドな撮影が素晴らしかったです。
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』のアンソニー・ドッド・マントルでした。この受賞は作品に対する評価でしょう。実際は、『ダークナイト』のウォーリー・フィスターや『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のクライディオ・ミランダのほうが、評価に値する仕事をしていたのです。

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<ゴードン・E・ソーヤ賞>
ジェシカ・ビールがプレゼンターです。この賞は、映画技術賞で映画の撮影技術や上映技術など、映画をとりまく技術に貢献した人に与えられる賞です。こういう裏方さんがきちんと表彰されるのもアカデミー賞の特徴です。しかし、技術賞はあまりに地味なためテレビ放送には向きません。よって、毎回アカデミー賞よりも前に別会場で表彰式が行われます。今年は、ジェシカ・ビールがその会場で授賞式に参加し、アカデミー賞では、簡単に報告をしました。
今年の受賞者は、エド・キャットムルです。ジェシカ・ビールも「エド・キャットムルって誰?と思っている方がおおいのではないでしょうか」とスピーチしていましたが、彼はCG界ではとても有名な人物です。今までアカデミー賞を受賞していなかったことが不思議なくらいです。彼はCGアニメやCGIを使った実写のCG合成を開発した人です。みなさんにわかりやすく説明すると、現在彼はピクサーの社長です。「トイ・ストーリー」「ウォーリー」などピクサーのアニメは彼の開発した技術により作られているんです。彼は、現在ディズニーの社長も兼務しています。今後のピクサーとディズニーの新作CGアニメにも彼の技術が使われていきます。

●●●特集:コメディ 2008●●●
スクリーンが降りてきて、コメディに関する映像が上映されました。
セス・ローゲンとジェームス・フランコがどこにでもありそうなアメリカの家のリビングでビデオを見ています。
2人が見ているテレビ画面には「スラムドッグ$ミリオネア」「アイ・ラブ・グル」「トロピック・サンダー」など08年度に公開されたコメディ映画が次々に映し出されます。それを茶化す二人。勿論コメディ映画だけでなく真面目な映画までを取り上げ笑うハリウッドの懐の深さには感心させられました。沢山の映画を見ているとオスカー像を持ったカメラマンが登場します。フランコが「こっちにきなよ」と呼びかけるとそのカメラマンがリビングにやってきて2人と一緒に映像を見るのです。オスカーを持ってリビングにやってきたカメラマンはヤヌス・カミンスキーです!

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<短編実写映画賞:Live Action Short Film>
上映が終わり、スクリーンがあがると、プレゼンターが登場しました。映像に出演していたセス・ローゲン、ジェームス・フランコ、そしてヤヌス・カミンスキーの3人です。3人が登場すると客席にいるスピルバーグが映し出されました。スピルバーグ映画のDPは、カミンスキーです。こういう映画ファンが喜ぶ放送、気が利いていますね。
ノミネートは、“Auf der Strecke (On the Line)”“Manon on the Asphalt" 『新入生』“The Pig”“Spielzeugland (Toyland)” でした。
受賞は、“Spielzeugland (Toyland)” のヨハン・アレクサンダー・フライダンクでした。フライダンクは、東ドイツ出身だそうで、そこから西ドイツを経由してハリウッドまで来るのはとても遠かったとスピーチしました。これは、実際に遠いということだけでなく、彼が地味に4年をかけて14分の短編を作り上げ、この晴れ舞台に上がることが出来た時間が長かったということでもあります。

●●●パフォーマンス: Musical is BACK ! ●●●
ジャックマンが登場。「皆さん、ミュージカルの復活です!イギリスでは『マンマ・ミア!』のチケットセールスが『タイタニック』を抜きました。そして、ジャックマンは唄い出しました。まるでブロードウェイ、いやウエストエンドのミュージカルを見ているような歌い出しです。『雨に唄えば』のメロディを歌い出したところで「何か足りないなあ」とつぶやきます。すると、舞台の奥に女性のシルエットが映し出されます。スポットライトが当たると赤い衣装を着たビヨンセでした。ここからは、見事なパフォーマンスでした。今まで作られてきたミュージカル映画の音楽のオンパレードでした。文字で感動がお伝えできないのが残念です。

後で、このパフォーマンスが口パクだったと報道されましたが、これはあたりまえです。あれほど動き回り踊る場合、2つの要因から実際は歌を唄えません。まず、大きな舞台を動き回るのですから、演奏がちゃんと聞き取れないのです。コンサートなどでは「かえし」と呼ばれるスピーカーが歌手の側に置かれているので、演奏を聴きながら音楽に合わせ唄うことが出来ます。しかし、アカデミーの舞台に「かえし」を置くスペースはありませんでした。次にビヨンセほど激しく踊る場合は、息継ぎができずうまく唄うことが出来ないのです。ミュージカル舞台の場合、オーケストラピットに指揮者がいて、舞台役者は唄う場合、指揮者の指揮棒を見てタイミングを合わせています。コンサートの場合は、必ず「かえし」が置かれています。アカデミー賞のように沢山の賞を発表するように設計されている舞台では、派手なパフォーマンスを行うことが想定されていないので、必然的に口パクになるのです。
ですから、今後、「かえし」がない、あるいは指揮者がいない派手なパフォーマンスの場合は、口パクと考えてほぼ間違いないです。日本の某人気グループやパフォーマンス集団もコンサートや音楽番組では口パクなんです。

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<助演男優賞:An Actor in a Supporting Role>
スクリーンに過去の受賞シーンが映し出されました。味のある役者が受賞していたんだなあと改めて感じました。スクリーンが5分割され1つに1人つづ受賞シーンが映し出されます。クリストファー・ウォーケン、ケビン・クライン、キューバ・グッディング・Jr.、アラン・アーキン、ジョエル・グレイです。5つのスクリーンが上がると、そこから本人が登場しました。なんと豪華な顔ぶれでしょう。
5人がノミネートの5人を紹介していきます。ケビン・クラインは、寡黙だが緻密な芝居をすることにより映画に力を与えているフィリップ・シーモア・ホフマンを紹介しました。アラン・アーキンは、『ミルク』で難しい芝居をこなしたジョシュ・ブローリンを紹介しました。キューバ・グッディング・Jr.は、『トロピック・サンダー』のロバート・ダウニーJr.を紹介しました。この受賞は、アカデミー史上かなり奇妙な選出です。ダウニー・Jr.は、『アイアンマン』『トロピック・サンダー』で最も大胆な役者に返り咲きました。白人なのに黒人を演じるオーストラリア人という変人を演じきった彼に「黒人の仕事を奪ったと怒るグッディング・Jr.に会場は大爆笑となりました。クリストファー・ウォーケンは、マイケル・シャノンを紹介、地味な芝居ですがシャノンのような役者はとても重要です。ジョエル・グレイは、『ダークナイト』のヒース・レジャーを紹介しました。ご存じのように彼は『ダークナイト』の撮影後急死してしまったので、会場には家族が代理で参加していました。
受賞は、予想通りヒース・レジャーでした。両親と姉の3人が舞台に上がると、観客席は総立ちで拍手を送りました。ヒース・レジャーの父親がスピーチを始めると、多くの役者が目に涙を溜めているのが映し出されました。今回のアカデミー賞で一番印象に残る受賞シーンでした。

●●●特集:ドキュメンタリー 2008●●●
08年に公開されたドキュメンタリー映画についての映像が上映されました。ドキュメンタリー映画がただ上映されるのではなく、この映像自体がドキュメンタリーとなっており、ドキュメンタリー作家に「ドキュメンタリー」についてインタビューしていくというものでした。作家の話は一言一言に重みがあり、考えさせられる映像となりました。

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<長編ドキュメンタリー賞:Best Documentary>
プレゼンターは、ビル・マーです。ノミネートは、“The Betrayal (Nerakhoon)”『世界の果ての出会い』“The Garden”“Man on Wire”“Trouble the Water”でした。
受賞は、“Man on Wire” のジェームス・マーシュとサイモン・チンでした。

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<短編ドキュメンタリー賞: Documentary Short Subject>
引き続きビル・マーがプレゼンターです。ノミネートは、“The Conscience of Nhem En”“The Final Inch”“Smile Pinki”“The Witness - From the Balcony of Room 306”でした。
受賞は、“Smile Pinki”のミーガン・マイランでした。 “The Conscience of Nhem En”のスティーブン・オカザキは受賞を逃しました。

ヒュー・ジャックマンが話します。「映画製作というのは旅行のようなものです。始めた楽しいのだけれど、最後は目的地に着くことだけで一杯一杯になるのです。映画は撮影が終わり編集段階にはいると、なんとか良い映画にしないといけないという恐怖観念から必死に音響効果を付けたり加工を施して閑静に向かいます」これは映画制作の過程をよく表している比喩です。映画は、脚本が素晴らしくても撮影して編集するととても酷い映画になっていたりします。それを挽回するのがポストプロダクションなのです。ここからは暫くポストプロダクションの授賞式となります。

●●●特集:アクション 2008●●●
08年に公開された映画の中からアクションシーンを集めた特別映像が上映されました。『007 慰めの報酬』『ダークナイト』『アイアンマン』『インクレディブル・ハルク』『ハンコック』『インディ・ジョーンズ』・・・今回の特別映像は、Appleの映像を作っているチームによるものです。なんだか、Appe TVのデモ映像を見ているような心地よさを感じました。

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<視覚効果賞:Visual Effects>
ウィル・スミスの登場です。アクション映画が大好きなのでプレゼンターに立候補したそうです。「アクション映画は過小評価されがちです。でもアクション映画は面白く、完成までには特殊効果の技術が必要です。今年の視覚効果賞のノミネート作品でスタッフは素晴らしい作業をしてくれました。」
ノミネートは、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 のE.バーバ、S.プリーグ、B.ダルトン、C.バロン。このチームは、ブラッド・ピットの顔をCGIで合成しています。ブルーバックの撮影はほとんどなかったはずで、実際にヴァイパーで撮影された映像をマスキングし、まるで人間が演じているような表情を作り出しています。この技術は今まで不可能とされてきました。
『ダークナイト』のN.デービス、C.コーボールド、T.ウェバー、P.フランクリンは、IMAXという巨大なフィルムで撮影した映像に合成を施しました。35mmフィルムの7倍近くある大きな映像に合成作業を行うには、コンピュータのパワーが7倍以上必要になります。この膨大な作業をコツコツ行った努力には感心させられます。
『アイアンマン』のJ.ネルソン、B.スノー、D.サディック、S.マハンは、アイアンマンという主人公を3Dモデル化し、まるでそこにいるかのような映像を作り上げました。アイアンマンは金属でできているという設定なので、周囲の景色を映しこんでしまいます。このリフレクションをきちんと完成させるのはとても面倒だったでしょう。
受賞は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』 のE.バーバ、S.プリーグ、B.ダルトン、C.バロンでした。納得の受賞です。代表してスピーチしたのはE.バーバです。デジタル・ドメインがこの複雑な処理を行ったそうで、同社に対して感謝の意を述べていました。

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<音響効果賞: Sound Editing>
続いてウィル・スミスがプレゼンターです。日本では録音技師が、音響効果、音響編集まで行います。これは、トーキー映画の頃の名残です。要はとても古いシステムなのです。欧米の映画制作では、音響は録音、編集、ミックスと作業が細分化され、それぞれにプロが存在します。アカデミー賞では、音に関する賞はSound Editing とMixingの2つのパートにわけて賞を授与します。
音響効果賞のノミネートは、『ダークナイト』のリチャード・キング、『アイアンマン』のフランク・ユルナー、『スラムドッグ$ミリオネア』のトム・セイヤーズ、『ウォーリー』のベン・バートマシュー・ウッド、『ウォンテッド』のウェリー・ステートマンです。
受賞は、『ダークナイト』のリチャード・キングでした。キングは、低音を効かせた素晴らしい音響を作り上げました。音響効果部門を作るきっかけになったベン・バートが受賞できなかったのは残念でした。

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<録音賞: Sound Mixing >
引き続きウィル・スミスがプレゼンターです。ノミネートは、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のD.パーカー、M.セマニック、R.グライス、M.ウェインガーデン、『ダークナイト』のL.ハーシュバーグ、G.リゾ、E.ノビック、『スラムドッグ$ミリオネア』のI.タップ、R.プライク、R.プークテイ、『ウォーリー』のT.マイヤーズ、M.シマニック、B.バート、『ウォンテッド』のC.ジェンキンス、P.フォレ、F.A.モンダーニョでした。
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』のI.タップ、R.プライク、R.プークテイでした。この受賞も作品に対するものです。純粋な仕事に対する評価と異なってしまい残念です。「スラムドッグ」以外の作品ならどの作品が受賞してもおかしくないノミネートでした。

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<編集賞: Film Editing >
スミス「まだまだ僕の番です。ポストプロダクションには、もうひとつ重要な仕事があります。それが編集です。編集マンはこんな技を使います。」スクリーンでは、編集によく使われる編集効果を実際の映像を使って説明しました。
ノミネートは、『フロスト×ニクソン』のマイク・ヒルダン・ハンレー、『ダークナイト』のリー・スミス、『ミルク』のエリオット・グレハム、『スラムドッグ$ミリオネア』のクリス・ディケンズ、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のカーク・バクスターアンガス・ウォールでした。
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』のクリス・ディケンズでした。巧みな編集が光った作品だったので受賞の理由は十分に理解できます。この映画が成功した要素のひとつは、編集なのです。

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<ジェーン・ハーシェルト友愛賞>
プレゼンターは『ナッティ・プロフェッサー』のエディ・マーフィーです。今年の受賞はオリジナル『ナッティ・プロフェッサー』のジュリー・ルイスです。彼は、長年ハリウッド映画で人気を博したコメディアンです。ルイスは、コメディアンとしてトップを走ってきましたが、実は難病の患者を支援するためにおおくのお金を寄付していました。そして基金を設立しこれまで20億ドルものお金を集め、患者や病院を支えていたのです。
久しぶりに姿を見せたジェリー・ルイスは、全く変わらない姿でした。会場はスタンディング・オベーションで彼を迎え入れました。拍手が鳴りやみません。ジェリーは、スピーチをはじめました。「私は人のために何かをしても、それが評価されるとは思っていませんでした。なので、今回の受賞は私を感動させました。アカデミーに感謝します。」

第2回、どうでしたか?今年は全体的に質素ですが、見応えは十分です。次回はいよいよ主要賞の発表となります。お楽しみに!


<関連リンク>
第81回アカデミー賞授賞式 1/3
第81回アカデミー賞授賞式 3/3

第80回アカデミー賞授賞式 3/3
第80回アカデミー賞授賞式 2/3
第80回アカデミー賞授賞式 1/3

第79回アカデミー賞授賞式 2/2
第79回アカデミー賞授賞式 1/2


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第81回アカデミー賞 授賞式 1/3 [映画賞・映画祭]

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The 81st Annual Academy Awards

今年もロサンゼルスのコダックシアターで映画の祭典アカデミー賞が行われました。アカデミー賞の素晴らしさは舞台の演出にあります。報道ではどうしても受賞作品にフォーカスしてしまいますが、実は授賞式自体が素晴らしいエンターテイメントとなっています。昨年の第80回アカデミー賞授賞式に続き、今年も授賞式の模様を時間軸通りにレポートしアカデミー賞の面白さを再発見します。

<オープニング>
今回の司会は、なんと俳優のヒュー・ジャックマンです。勿論彼にとって、アカデミーの司会は初めてです。ここ数年は、ずっとコメディアンが司会だったので、今年はかなり真面目な授賞式になるような感じがしました。
いつもは、オープニングと共に派手なショーが行われるか派手な映像が上映されるのですが、今年は予算削減と言うことでジャックマンが舞台で歌を唄いました。ブロードウェイの舞台にも立つジャックマンらしく、今回のノミネート作品を楽しく紹介していきました。
このオープニングパートは、確かに費用はかかっていませんがとても見事でした。いきなり客席からアン・ハサウェイを引っ張り上げ二人でデュエット(勿論仕込み)したのは、今までにない演出です。
ジャックマンが歌い終わると、客席はスタンディング・オベーション!
地味ながら印象に残るオープニングでした。

いよいよ第81回アカデミー賞授賞式のはじまりです!

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<助演女優賞:Best Supporting Actress>
15回ノミネートされているメリル・ストリープを引き合いに出し、過去の助演女優賞のスピーチが映像で紹介されました。どの年も心に残る女優さん達が受賞してきたんだなとわかる見事な編集でした。そして映像が終わると、画面が5つに分割され、過去に受賞した女優の顔が映し出されました。エヴァ・マリー・セイント、アンジェリカ・ヒューストン、ウーピー・ゴールドバーグ、ゴールディ・ホーン、チルダ・スウィントンです。するとスクリーンがスルスルと上がり、スクリーンの裏から本人が登場しました。この演出にはかなり驚かされました。まさか歴代の有名女優が揃って舞台に並ぶとは!当然客席はスタンディング・オベーションとなりました。実はこの5人が今年の助演女優賞のプレゼンターです。
出演時間が少ない中で見事に役を演じきる、そして作品に厚みを持たせる。この難しい役回りをこなしたノミニーは、エイミー・アダムス(『ダウト -あるカトリック学校で-』)、マリサ・トメイ(『ザ・レスラー(原題)』)、ペネロペ・クルス(『それでも恋するバルセロナ』)、タラジ・P・ヘンソン(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)、ヴァイオラ・デイヴィス(『ダウト -あるカトリック学校で-』)の5名です。
エヴァ・マリー・セイントがヴァイオラ・デイヴィスを紹介、アンジェリカ・ヒューストンがペネロペ・クルスを紹介、ウーピー・ゴールドバーグは、コメディアンらしく修道女を演じることの難しさを面白くそして真面目にエイミー・アダムスを紹介しました。ゴールディ・ホーンは、タラジ・P・ヘンソンを紹介、チルダ・スウィントンは、マリサ・トメイを紹介しました。
個人的には、デビュー以来応援しているマリサ・トメイが数年ぶりにアカデミー賞に戻ってきたことに感銘を受けました。とても難しい役をこの年で見事に演じきったトメイは、デビューの頃のブルックリンなまりのヤンキーではなくしっとりとした大人の女優に変貌していました。
受賞は、ペネロペ・クルスでした。彼女は、舞台の上で45秒では足りないといいつつ、感謝したい人の名を一気に読み上げていました。そして最後にはスペイン語で挨拶をしていました。

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<オリジナル脚本賞:Original screenplay>
ジャックマンが、映画を作るときの一番始めについて話し始めます。「そこにはセットもなければ役者さんもいません。画面に向かって文字を打つところから映画が始まるのです。」
プレゼンターはスティーブ・マーチンとティナ・フェイ。二人は脚本について掛け合い漫才を始めました。
ノミネートは、“Frozen River”のコートニー・ハント、 “Happy-Go-Lucky”のマイク・リー、“In Bruges”のマーティン・マクドナー、『ミルク』のダスティン・ランス・ブラック、『ウォーリー』のアンドリュー・スタントンジム・リードンです。
ここで、各作品ごとに、映像を一部上映し実際の脚本をその映像にあてました。こういう行為は普段見ることができないので新鮮でした。映画は、セリフのない部分でもきちんと脚本に書かれていることが分かりました。そうです、脚本家というのは、ストーリーを構築して、かなり細かな部分まで脚本にト書きとして書き込んでいるのです。監督が勝手に決めていると思われる部分まできちんと脚本家が決めていることがよくわかる紹介の仕方でした。
受賞は、『ミルク』のダスティン・ランス・ブラックでした。見事な脚本を作り上げたブラックは納得の受賞です。
スピーチでは、同姓愛者のことを率直に語り、観客から盛大な拍手を受けました。これが中西部や南部アメリカで行われていたらこうはいかなかったでしょう。進歩的なハリウッドらしい気持ちの良い時間でした。

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<脚色賞:Adapted screenplay>
引き続きプレゼンターはスティーブ・マーチンとティナ・フェイです。脚色賞とは、原作のある脚本賞です。原作があるかないかで、その労力はおおきく異なります。よって、アカデミーではこれら2つを分けて評価しています。
ノミネートは、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のエリック・ロス、『ダウト –あるカトリック学校で-』のジョン・パトリック・シャンレイ、『フロスト×ニクソン』のピーター・モーガン、『愛を読むひと』のデイヴィッド・ヘアー、『スラムドッグ$ミリオネア』のサイモン・ボフォイです。オリジナル脚本賞と同じく、実際の映像に脚本を読み上げる方式でノミネート作品が紹介されました。どれも見事な脚本です。
受賞は、『スラムドッグ$ミリオネア』のサイモン・ボフォイでした。ボフォイは、まず原作者に感謝し、その後家族やエージェント、スタッフ、キャストに感謝しました。

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<長編アニメ映画賞:Best animated feature film of the year>
プレゼンターはジェニファー・アニストンとジャック・ブラックです。08年のアニメに関する映像が上映されました。

ウォーリーがビデオテープをテレビにセットすると映像が流れました。「カンフー・パンダ」「スターウォーズ:クローン・ウォーズ」「ホートン」「マダガスカル2」"Space Chimps" "Tales of Despereaux" 「ボルト」のダイジェストがテレビに映り、それをウォーリーが楽しげに見ています。最後に、ウォーリーが振り返ると、そこには、見ていたアニメのキャラが結集していました。

この映像、結構凄いです。ウォーリーを新たに動かしているのに驚きですが、最後にはクオリティの異なるキャラがきちんと1つのフレームに収まっているのです。アカデミー賞で1回だけ上映されるために作られた映像なのですが、制作会社もスタジオも異なる作品を1つに融合させるスタッフの努力に拍手です。いったいどこの制作会社が作ったのでしょう?
ノミネートは、『ボルト』『カンフー・パンダ』『ウォーリー』の3本です。
受賞は『ウォーリー』のアンドリュー・スタントン。納得の受賞です。圧倒的なクオリティ、素晴らしいストーリーライン、音楽、キャラクター、どれをとっても歴史に残る映画です。ピクサーは、常に保守的にならず名作を新しい技術と共に提供してくれる素晴らしい制作会社です。スタントンは、スティーブ・ジョブスに感謝の意を伝えていました。ジョブスは、ご存じの通りAppleを立ち上げ、同時にピクサーを作り上げた人です。現在闘病中のジョブスはきっとテレビでこの受賞を喜んだことでしょう。

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<短編アニメ映画賞:Best animated short film>
引き続きプレゼンターはジェニファー・アニストンとジャック・ブラックです。「短編は短いから作るのが簡単だと思ったら大間違いです。短いながらきちんと情報を視聴者に伝えないと行けないのだから・・・」というわかりやすい説明がありました。
ノミネートされているのは、日本から『つみきのいえ』“Lavatory – Lovestory” “Oktapodi”“Presto” “This Way Up”
受賞は、唯一CG作品ではない『つみきのいえ』の加藤久仁生でした。加藤さんはROBOTの社員で、ひとりでコツコツとこのアニメを作ってきました。一枚一枚手で絵を描いて15分の映像にしたのです。とても素晴らしく暖かみのある作品です。受賞の瞬間、加藤さんを見守ってきたROBOT阿部社長の嬉しそうな表情が印象的でした。儲からないのに、才能を見いだし給料を払い続けるという行為を最近の日本人の経営者は出来なくなってしまいました。会社の収入が減ると、悪くない社員をカットする無能経営者がおおいなか、阿部さんは、長い期間加藤さんを支えてここまできました。実は「おくりびと」よりも「つみきのいえ」の受賞のほうが、素晴らしいことだと私は思います。
加藤さんは、とても緊張していました。日本人訛りのスピーチの最後は「どうもありがと、MR. ROBOT」でした。

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<美術賞:Art Direction>
他の映画賞ではあまり見かけない美術賞です。プレゼンターは、サラ・ジェシカ・パーカーとダニエル・グレイグです。「Sex and the City」と「007」の共演とはなんとも豪華です。
ハリウッド映画では、美術はプロダクション・デザインという部門が統括します。かつてはセットをデザインしていたのですが、近年は、ロケ場所を飾り付けたり、実際にあるものとCGを合成したり多岐にわたる作業を行います。これらは全て映画のイメージに基づき計算され生み出されます。ゴッザム・シティは、シカゴの町にCGを足して表現しています。この大規模な部門を司るスタッフに与えられるのが美術賞なのです。
ノミネートは、『チェンジリング』の美術監督ジェームス・J・ムラカミと装置ゲイリー・フェティス、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の美術監督ドナルド・グレアム・バートと装置のビクター・J・ゾルフォ、『ダークナイト』の美術監督ネイサン・クローリーと装置ピーター・ランドー、『ある公爵夫人の生涯』の美術監督マイケル・カーリンと装置レベッカ・アルウェイ、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』の美術監督クリスティー・ズィーと装置デブラ・シャット
受賞は『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でした。このプロデューサーはフランク・マーシャルとキャサリン・ケネディという名プロデューサーです。そして世界一細かいデビッド・フィンチャー監督と一緒に美術の仕事をするのはとても大変なはずです。厳しく監理された予算の中、妥協を許さない監督の要望に応え、さらに気の遠くなるような合成を頭に描きながらセットをデザインしたチームは、本当に素晴らしいと思います。

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<衣装デザイン賞:Costume Design>
サラ・ジェシカ・パーカーとダニエル・グレイグが引き続きプレゼンターです。ハリウッド映画では、既製服を使うことはあまりありません。ほとんどの衣装は映画のイメージに合わせオリジナルで制作されるのです。毎年この部門ではコスチュームものと呼ばれる歴史映画がおおくノミネートされてきました。今年のノミネートは、『オーストラリア』のキャサリン・マーチン、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のジャクリーン・ウエスト、『ある公爵夫人の生涯』のマイケル・オコナー、『ミルク』のダニ・グリッカー、『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』のアルバート・ウォルスキーです。
受賞は『ある公爵夫人の生涯』のマイケル・オコナー。やはり今年も歴史物が受賞です。

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<メイクアップ賞: Make Up>
サラ・ジェシカ・パーカーとダニエル・グレイグが、まだプレゼンターを続けます。メイクアップは、かつては化粧を意味していましたが、現在ではかなり加工を施すメイクになってしまいました。よってノミネート作品も奇妙なキャラクターが登場する作品に偏ってしまいました。ノミネートは、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のグレッグ・キャノン、ブラッド・ピットの老けメイクはメイクとCGで見事に表現されていました。今までの映画技術ではできなかった領域まで研究開発したキャノンは歴史に名を残す偉業を成し遂げています。『ダークナイト』のジョン・ギャグリオーネコナー・オサリバンは、漫画っぽくなるバットマンの世界をリアリティあるイメージに変更し、見事に成功しています。『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』のマイク・エリザルトトム・フロウツは、漫画の世界をうまくデフォルメして監督の意向を具現化しています。
受賞は、『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のグレッグ・キャノンでした。

今年のアカデミー賞は、特に華やかなショーもなく淡々と進んでいきました。こういう授賞式も好感が持てます。序盤が終了し、ほぼ予想通りの受賞となっています。さて、この後どうなっていくのでしょうか。
次回も引き続き受賞作にフォーカスするのではなく、授賞式の中身に注目してレポートしようと思います。

<関連リンク>
第80回アカデミー賞授賞式 3/3
第80回アカデミー賞授賞式 2/3
第80回アカデミー賞授賞式 1/3

第79回アカデミー賞授賞式 2/2
第79回アカデミー賞授賞式 1/2


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第81回アカデミー賞ノミネート発表 [映画賞・映画祭]

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アカデミー賞のノミネートが発表されました。
とりあえず速報です。

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◆◆作品賞・Best motion picture of the year◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『フロスト×ニクソン』
『ミルク』
『愛を読むひと』
『スラムドッグ$ミリオネア』
ゴールデン・グローブ賞と同じラインナップです。「スラムドッグ$ミリオネア」が今年の賞を制するのでしょうか?

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◆◆監督賞・Achievement in directing◆◆
ダニー・ボイル(『スラムドッグ$ミリオネア』)
デヴィッド・フィンチャー(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)
ガス・ヴァン・サント(『ミルク』)
ロン・ハワード(『フロスト×ニクソン』)
スティーヴン・ダルドリー(『愛を読むひと』)
なかなかのエントリーです。予想通りダニー・ボイルとなるのか?拘り派のフィンチャーに頑張って欲しいです。

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◆◆主演男優賞・Performance by an actor in a leading role◆◆
ブラッド・ピット(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)
フランク・ランジェラ(『フロスト×ニクソン』)
ミッキー・ローク(『ザ・レスラー(原題)』)
リチャード・ジェンキンス(“The Visitor”)
ショーン・ペン(『ミルク』)
復活のミッキー・ロークのノミネートは嬉しいですが、ショーン・ペンが賞に一番近いようです。

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◆◆主演女優賞・Performance by an actress in a leading role◆◆
アンジェリーナ・ジョリー(『チェンジリング』)
アン・ハサウェイ(『レイチェルの結婚』)
ケイト・ウィンスレット(『愛を読むひと』)
メリッサ・レオ(“Frozen River”)
メリル・ストリープ(『ダウト -あるカトリック学校で-』)
今回は、有名人が揃いました。アン・ハサウェイも賞に絡む女優さんになったのですね。

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◆◆助演男優賞・Performance by an actor in a supporting role◆◆
ヒース・レジャー(『ダークナイト』)
ジョシュ・ブローリン(『ミルク』)
マイケル・シャノン(『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』)
フィリップ・シーモア・ホフマン(『ダウト -あるカトリック学校で-』)
ロバート・ダウニーJr.(『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』)
故人ヒース・レジャーが強そうです。ロバート・ダウニーが、「アイアンマン」ではなく「トロピック・サンダー」でノミネートというのが笑いました。確かに名演技でした。

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◆◆助演女優賞・Performance by an actress in a supporting role◆◆
エイミー・アダムス(『ダウト -あるカトリック学校で-』)
マリサ・トメイ(『ザ・レスラー(原題)』)
ペネロペ・クルス(『それでも恋するバルセロナ』)
タラジ・P・ヘンソン(『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』)
ヴァイオラ・デイヴィス(『ダウト -あるカトリック学校で-』)
デビュー当時から応援してきたマリサ・トメイがエントリー。今回の演技はファンにとって複雑でしたが、受賞して欲しいものです。

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◆◆優秀アニメ作品・Best animated feature film of the year◆◆
『ボルト』
『カンフー・パンダ』
『ウォーリー』
ピクサーVSディズニー。今は同じ会社ですが・・

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◆◆最優秀外国語映画賞・Best foreign language film of the year◆◆
『おくりびと』(監督:滝田洋二郎/日本)
“The Baader Meinhof Complex”(監督:ウリ・エデル/ドイツ)
“The Class”(監督:ローラン・カンテ/フランス)
“Revanche”(監督:Gotz Spielmann/オーストリア)
『バシールとワルツを』(監督:アリ・フォルマン/イスラエル)
この賞は、選者の数が少ないので、もしかしたら邦画の可能性もあります。

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◆◆長編ドキュメンタリー賞◆◆
“The Betrayal (Nerakhoon)”
“Encounters at the End of the World”
“The Garden”
“Man on Wire”
“Trouble the Water”

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◆◆オリジナル脚本賞・Original screenplay◆◆
“Frozen River”(コートニー・ハント)
“Happy-Go-Lucky”(マイク・リー)
“In Bruges”(マーティン・マクドナー)
『ミルク』(ダスティン・ランス・ブラック)
『ウォーリー』(アンドリュー・スタントン、ジム・リードン)

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◆◆脚本賞(原作あり)・Adapted screenplay◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(エリック・ロス)
『ダウト –あるカトリック学校で-』(ジョン・パトリック・シャンレイ)
『フロスト×ニクソン』(ピーター・モーガン)
『愛を読むひと』(デイヴィッド・ヘアー)
『スラムドッグ$ミリオネア』(サイモン・ボフォイ)
どれも名作ですね。「スラムドッグ$ミリオネア」に原作があったとは知りませんでした。

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◆◆美術賞◆◆
『チェンジリング』
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『ダークナイト』
“The Duchess”
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』
ダークナイトの美術はとても美しかったです。実写と合成に会わせた美術監督の力量が光っていました。

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◆◆撮影賞◆◆
『チェンジリング』
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『ダークナイト』
『愛を読むひと』
『スラムドッグ$ミリオネア』
「ベンジャミン・バトン」の合成を考えた撮影は、バイパーでのデジタル撮影です。一方「ダークナイト」は、なんとIMAXでのフィルム撮影でした。両方とんでもない後処理をしています。個人的にはこのどちらかに賞をあげたいです。

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◆◆衣装デザイン賞◆◆
『オーストラリア』
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
“The Duchess”
『ミルク』
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』

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◆◆編集賞◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『ダークナイト』
『フロスト×ニクソン』
『ミルク』
『スラムドッグ$ミリオネア』

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◆◆メイクアップ賞◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『ダークナイト』
『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』
「ベンジャミン・バトン」のメイクアップは見事でしたが、CGとの融合です。「ヘルボーイ」も見事なメイクでしたね。

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◆◆音楽賞◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(Alexandre Desplat)
“Defiance”(James Newton Howard)
『ミルク』(Danny Elfman)
『スラムドッグ$ミリオネア』(A.R. Rahman)
『ウォーリー』(Thomas Newman)

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◆◆歌曲賞◆◆
“Down to Earth”(『ウォーリー』)
“Jai Ho”(『スラムドッグ$ミリオネア』)
“O Saya”(『スラムドッグ$ミリオネア』)

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◆◆視覚効果賞◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『ダークナイト』
『アイアンマン』
3作品共に新しい映像を我々に見せてくれました。ソフトからの開発、そして撮影、合成まで素晴らしい視覚効果でした。

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◆◆音響効果賞◆◆
『ダークナイト』
『アイアンマン』
『スラムドッグ$ミリオネア』
『ウォーリー』
『ウォンテッド』
個人的には、尊敬するベン・バート氏に賞を渡したいです。ベンは、「スターウォーズ」の音響を作り上げ、この部門を作った方です。

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◆◆録音賞◆◆
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
『ダークナイト』
『スラムドッグ$ミリオネア』
『ウォーリー』
『ウォンテッド』

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◆◆短編実写賞◆◆
“Auf der Strecke (On the Line)”
“Manon on the Asphalt"
“New Boy”
“The Pig”
“Spielzeugland (Toyland)”

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◆◆短編ドキュメンタリー賞◆◆
“The Conscience of Nhem En”
“The Final Inch”
“Smile Pinki”
“The Witness - From the Balcony of Room 306”
スティーブン・オカザキの“The Conscience of Nhem En”が受賞できるでしょうか?

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◆◆短編アニメーション賞◆◆
『つみきのいえ』
“Lavatory – Lovestory”
“Oktapodi”
“Presto”
“This Way Up”
日本員監督の『つみきのいえ』が受賞できるといいですね。

ノミネート作品の殆どの予告編とiPODダウンロードが以下のサイトで可能です。
http://www.apple.com/trailers/awards/

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第66回 ゴールデングローブ賞 発表 [映画賞・映画祭]

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The 66th Annual Golden Globe Awards

ゴールデン・グローブ賞が発表になりました。
とりあえず、速報をお伝えします。
★が受賞です。

◆最優秀作品賞(ドラマ)
★ 「スラムドッグ$ミリオネア」
  「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
  「フロスト×ニクソン」
  「愛を読むひと」
  「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」
ダニー・ボイルが作ったインド映画が受賞です。素晴らしいストーリー・テリング。誰もが納得です。

◆最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ)
★ 「それでも恋するバルセロナ」
  「バーン・アフター・リーディング」
  「Happy-Go-Lucky 」
  「In Bruges 」
  「マンマ・ミーア!」

◆最優秀主演男優賞(ドラマ)
★ ミッキー・ローク for 「レスラー」
  レオナルド・ディカプリオ for 「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」
  フランク・ランジェラ for 「Frost/Nixon」
  ショーン・ペン for 「ミルク」
  ブラット・ピット for 「ベンジャミン・バトン」
ミッキー・ロークが甦りました。彼の素晴らしい演技は賞を貰えるに十分値します。

◆最優秀主演女優賞(ドラマ)
★ ケイト・ウィンスレット for「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」
  アン・ハサウェイ for 「Rachel Getting Married」
  アンジェリーナ・ジョリー for 「Changeling」
  メリル・ストリープ for 「ダウト-あるカトリック学校で-」
  クリスティン・スコット・トーマス for 「Il y a longtemps que je t'aime」
受賞は「タイタニック」以来のディカプリオとの競演で話題になった作品です。

◆最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ)
★ コリン・ファレル for 「In Bruges」
  ハビエル・バルデム for 「それでも恋するバルセロナ」
  ジェームス・フランコ for 「Pineapple Express」
  ブレンダン・グリーソン for 「In Bruges」
  ダスティン・ホフマン for 「Last Chance Harvey」

◆最優秀主演女優賞(ミュージカル/コメディ)
★ サリー・ホーキンス for 「Happy-Go-Lucky」
  レベッカ・ホール for 「それでも恋するバルセロナ」
  フランシス・マクドーマンド for 「バーン・アフター・リーディング」
  メリル・ストリープ for 「マンマ・ミア」
  エマ・トンプソン for 「Last Chance Harvey」

◆最優秀助演男優賞
★ ヒース・レジャー for 「ダークナイト」
  トム・クルーズ for 「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」
  ロバート・ダウニー Jr. for 「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」
  レイフ・ファインズ for 「The Duchess」
  フィリップ・シーモア・ホフマン for 「ダウト-あるカトリック学校で-」
予想通りの受賞です。素晴らしい役者を若くして亡くしてしまい残念です。

◆最優秀助演女優賞
★ ケイト・ウィンスレット for 「愛を読むひと」
  エイミー・アダムス for 「ダウト-あるカトリック学校で-」
  ペネロペ・クルス for 「それでも恋するバルセロナ」
  バイオラ・デイビス for 「ダウト-あるカトリック学校で-」
  マリッサ・トメイ for 「レスラー」
マリッサ・トメイが受賞できず、残念!

◆最優秀監督賞
★ ダニー・ボイル for 「スラムドッグ$ミリオネア」
  ステェファン・ダドリー for 「愛を読むひと」
  デビッド・フィンチャーr for 「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
  ロン・ハワード for 「フロスト×ニクソン 」
  サム・メンデス for 「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」
リスキーな企画を素晴らしい作品に仕上げたボイル監督に拍手!フィンチャー残念。

◆最優秀脚本賞
★ 「スラムドッグ$ミリオネア」 : Simon Beaufoy
  「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 : Eric Roth, Robin Swicord
  「Doubt」 : John Patrick Shanley
  「フロスト×ニクソン 」 : Peter Morgan
  「愛を読むひと」 : David Hare
当然の受賞でしょう。こういうノンキャストの作品がきちんと評価されることは素晴らしいことですね。日本ではこんな受賞はないでしょう。

◆最優秀オリジナル・ソング
★ 「ザ・レスラー」("The Wrestler")
  「ボルト」 ("I Thought I Lost You")
  「Cadillac Records」 ("Once in a Lifetime")
  「Gran Torino」 ("Gran Torino")
  「ウォーリー」 ("Down to Earth")

◆最優秀オリジナル・スコア
★ 「スラムドッグ$ミリオネア」 : A.R. ラーマン
  「Changeling」 : クリント・イーストウッド
  「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」 : アレキサンドレ・デスプラット
  「Defiance」 : ジェームス・ニュートン・ハワード
  「フロスト×ニクソン」 : ハンス・ジマー

◆最優秀アニメ賞
★ 「ウォーリー」
  「ボルト」
  「カン・フー・パンダ」
ピクサーとディズニー、似たメンバーの戦いは、はやりピクサーでした。

◆最優秀外国語映画賞
★ Vals Im Bashir
  Der Baader Meinhof Komplex
  Maria Larssons eviga ögonblick
  Gomorra
  Il y a longtemps que je t'aime

◆最優秀テレビ・シリーズ(ドラマ)
★ "Mad Men"
  "Dexter"
  "House M.D."
  "In Treatment"
  "True Blood"

◆最優秀テレビ・シリーズ(ミュージカル/コメディ)
★ "30 Rock"
  "Californication"
  "Entourage"
  "The Office"
  "Weeds"

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