告発のとき [アメリカ映画(00s)]
In the Valley of Elah (2007)
ポール・ハギス。彼は、脚本家としてテレビ業界に入りいくつかのテレビドラマや映画のプロットライターとして活躍していました。彼の企画は一貫したテーマ性の強いもので、興行的な大ヒットや高視聴率を獲得するといった派手な結果は残しませんでしたが、各作品ともにとても力強く見た人からは肯定的な意見がおおい作家でもありました。
ハギスが世界に注目されるようになったのは、2004年に公開された「ミリオンダラー・ベイビー」からです。ハギス脚本、クリント・イーストウッド監督の重いテーマの映画は最優秀作品賞を含む4つのアカデミー賞を受賞します。2005年には、ハギス自身が監督、脚本も担当した「クラッシュ」がアカデミー最優秀作品賞を受賞します。彼は2年連続でテーマ性の強い映画でオスカーを手にすることになりました。
その後も、イーストウッド作品「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」の脚本を担当したり、007シリーズのリニューアル版「カジノ・ロワイヤル」「慰めの報酬」の脚本に参加しました。
地味な作品ですが確実にテーマのある作品を自分なりに作り続けてきたハギスは、このように注目され次回作が待たれる人物になったのです。
そのハギスが次に考えた監督作が「告発のとき」です。
この映画は実際に起こった事件をもとに脚色しています。
2003年、イラク戦争から帰還したある若い軍人リチャード・デイビスが失踪します。そして帰国したジョージア州で彼の遺体が発見されました。元軍警察に勤務していた父親ラニー・デイビスは、自らジョージア州に赴き息子の死の真相をつきとめていきます。この事件を追った書籍は「Murder in Baker Company: How Four American Soldiers Killed One Of Their Own」というタイトルでアメリカで発売されています。CBSテレビの「48 hours」でも取り上げられました。
ハギスは2004年にこの事件に迫ったプレイボーイの記事で初めて事件をしりました。そして、丁寧に事件を検証し、映画のストーリーを構築していきました。
企画当初、主役のハンク・デアフィールド(ラニー・デイビスがモデル)には、クリント・イーストウッドがキャスティングされていました。クリント・イーストウッドが主役をやるということでこの企画にグリーンライトが灯り、サミットやワーナー・インディペンデントが出資を決めます。しかし、イーストウッドは役者としてキャリアを築くつもりがないという理由で降板してしまいます。そこで新たに主役探しが始まり最終的にトミー・リー・ジョーンズがキャスティングされました。一緒に事件を追う刑事役エミリーにはシャーリーズ・セロンが決まりました。彼女がこの映画を支えていると言っていいくらい素晴らしい演技を見せています。セロンのキャリアの中でも一番彼女が光っている作品です。妻役には、スーザン・サランドンがいい味で出演しています。
この映画、面白いのは、同時期に同じ撮影場所(アルバカーキ)で撮影された「ノーカントリー」とキャストやスタッフが被っているということです。撮影はロジャー・ディーケンズ、出演者ではトミー・リー・ジョーンズ、ジョッシュ・ブローリン、バリー・コルビン、キャシー・ラムキンが両作に出演しています。
映画は、ハギスらしい強いテーマ性を持ったすばらしい作品に仕上がっています。子供を亡くした父親の苦悩、元軍人らしいもの静かでしっかりした行動など細かな描写が見事で、地味なストーリーにも関わらず見始めるとグイグイとスクリーンに引き込まれてしまいます。
この作品、アカデミー賞主演男優賞を含む数々の映画賞にノミネートされましたが、ベニス映画祭以外は受賞を逃してしまいました。
ハギスの次回監督作は2011年公開予定の「The Next Three Days」です。主役はラッセル・クロウ。殺人事件の容疑者になってしまった新婚の妻を巡るサスペンスだそうです。
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オリジナル・サウンドトラック「告発のとき」
この映画スクリーンで観ました。
クリント・イーストウッドが最初にキャスティングされていたなんて面白いです。トミー・リー・ジョーンズも良かったけれど、イーストウッドであったならまた違った味が出ていたかもしれませんね。
映画は脚本がまず第一に良くないと役者の演技も光りませんね。
ポール・ハギス、これから注目していきたいです。
by naonao (2009-09-21 17:27)
良い作品ばかりですね!
ノーカントリーのトミーリージョーンズもすごく良かったです。
by duke (2009-09-21 21:28)
これは観たかった映画ですか、見逃したようですね。DVDでも借りることにします。
by SilverMac (2009-09-24 22:52)
この映画は観たいと思ってチェックしていたのですが、見逃したものです。DVDで観ようと思います。
by たいちさん (2009-09-24 23:24)
こんにちは。
クリント・イーストウッドの演技にも心を惹かれますけど、
トミー・リー・ジョーンズとシャーリーズ・セロンの演技もさすがでした。
事件の真相は本当に辛かったです。
見ごたえのある作品でした☆
by non_0101 (2009-09-25 12:43)
先日、偶然TVで観ました!
(かなり後半からでしたが)
やっぱり、「良い映画・ドラマ」はそのまま
引き込まれてしまいますね!!\(^o^)/
ニュースには決してならない、知ろうとしなければ
知ることもない、他国の戦場でおきる悲劇...
せつなさと、どうしようもない怒り(個人に対して
ではなく、戦争というもの、戦争を引き起こして
しまう組織といったどうしようもない現実に対して)
を感じた映画でした....(T_T)
by Kimball (2009-09-27 07:23)
見逃した映画です(;^_^A
by La_vbl_kok (2009-09-29 19:11)
タイトルはよく耳にしていましたが観てませんでした
ここで紹介していただくとどの作品もとても魅力的に感じます^^
トミー・リー・ジョーンズにはいろいろな味わいがあって
好きな俳優さんです♫ 缶コーヒーのCMシリーズも秀逸ですものね♥
スーザン・サランドンも出ているのなら要チェックです!
by かおり (2009-09-30 15:09)
naonaoさん、こんにちは。
ハギスは今後も注目の監督ですよ。
by DSilberling (2009-10-06 16:49)
dukeさん、こんにちは。
ジョーンズは日本だとCMのおじさんのイメージですが、実は名俳優ですね。
by DSilberling (2009-10-06 16:49)
SilverMacさん、こんにちは。
こういう地味な作品は、見逃してしまいがちですが、結構心うたれますよね。
by DSilberling (2009-10-06 16:50)
たいちさん、こんにちは。
是非見てください。
by DSilberling (2009-10-06 16:51)
nonさん、こんにちは。
こういう作品がきちんとヒットするようになるといいのですが、日本のマーケットはまだそこまで成熟していません。残念です。
by DSilberling (2009-10-06 16:51)
Kimballさん、こんにちは。
そうですよねー、日本人はこういう事実を知らずに生きているんです。もう少し今起きている事実を知るべきですね。
by DSilberling (2009-10-06 16:52)
La_vbl_kokさん、こんにちは。
レンタルでも良いので是非ご覧ください!
by DSilberling (2009-10-06 16:53)
かおりさん、こんにちは。
見る必要のない作品は批判はぜずここでは紹介しませんのでご安心を(笑)。
by DSilberling (2009-10-06 16:54)
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