SSブログ

ターミネーター [アメリカ映画(80s)]


The Terminator (1984)

ハリウッド映画史を塗り替えることになる低予算SFアクション。

監督のジェームス・キャメロンは、映画監督を目指してはいたものの、ロジャー・コーマンの下でSXFスタッフとして働いていました。ロジャー・コーマンは、アメリカB級映画の名プロデューサーで、低予算で確実に儲かる色物映画を沢山作り続けてきました。その中にはチープな怪獣が登場するホラーも多数あり、キャメロンは、これら作品で怪獣やミニチュアの宇宙船などを作っていたのです。

そんな彼に転機が訪れます。それはコーマンによって作られた「ピラニア」が大ヒットしたところからはじまります。「ピラニア」は「ジョーズ」のサメがピラニアに変わっただけのB級パニックホラーでしたが、監督のジョー・ダンテが見事にスリルのあるホラー映画に仕上げました。映画はスピルバーグも認める秀作となったのです。コーマンはすぐに続編の制作にとりかかります。しかしジョー・ダンテは、この企画に乗ってきませんでした。そこで、急遽、コーマンのスタッフから監督が起用されることになったのです。そう、ジェームス・キャメロンです。

キャメロンは「ピラニア2」を完成させますが、結果は散々だったようです。現在、彼は自分のフィルモグラフィーからこの作品を削除してほしいと関係者に漏らしている程です。しかし、この機会を与えられ、キャメロンは、自分ならば、もっと面白い低予算映画が作れるはずだと思いました。そこで小さな映画スタジオに自分の企画を持ち込みます。これが「ターミネーター」です。

ヘムデールという映画界社、そして新興のオライオン・ピクチャーズ配給というかなり小規模の映画製作が決定し、キャメロンは映画作りに打ち込みます。ここで、コーマンの下で働いてきた様々なノウハウが活きてきます。ロボットのターミネーターは時間はかかりますが費用がかからないストップモーションで処理しています。合成は安価なオプチカル合成ですが、粗が見えないようなライティングでごまかしています。

キャストは、当時あまり有名ではなかったリンダ・ハミルトンとマイケル・ビーン。ターミネーター役はボディビル出身のアーノルド・シュワルツッエネッガー。アーノルドは鍛え上げた肉体をマシーンに見せることに成功しました。

ストーリーはキャメロン自身が書き上げたSF物語ですが、とてもよくできていて、当時、無名俳優、無名監督、無名配給会社なのにも関わらず世界中でヒットしました。

そして続編です。ちょうど84年当時はビデオが普及した頃です。「ターミネーター」はVHSでもLDでも爆発的に売れ、レンタルビデオでも回転率が非常に良かったのです。よって、映画館で見逃した人たちのおおくは、家庭で「ターミネーター」を楽しんだことになります。こうしてファンが増え、続編を希望する声がおおきくなってきました。当然、劇場だけでなくビデオで大金を手にしたスタジオエクゼクティブも続編に興味を示しました。

キャメロンは「ターミネーター」以降、メジャースタジオに監督として起用され、「エイリアン2」「アビス」で大監督としてシュセします。そんな中、いよいよ続編にとりかかります。彼は、安易な続編を嫌い、自ら綿密なプロットを用意します。「ターミネーター」以降シュワルツッエネッガーはハリウッドスターとなり、「コマンドー」「トータルリコール」などに出演していました。よって、出演料が急騰し続編に参加するかどうか危ぶまれました。
そしてオリジナルのキャスト&スタッフが再び集まり、パート2の撮影が開始されたのです。

当然、人気者シュワルツッエネッガーは、主人公級の扱いにしなければならずプロット作りは難航したようですが、アビスで開発した新しい技術を取り入れ、新しいターミネーターを用意し、ファンならずとも誰もが楽しめるエンターテイメント作品として「ターミネーター2」は完成しました。

映画は大ヒットします。そして、シュワルツッエネッガーは、さらに人気者になります。キャメロンとリンダ・ハミルトンは、これを機に結婚しました。パート1で主役級だったマイケル・ビーンは、1シーンだけ出演していましたが、公開版ではカットされてしまいました(後にディレクターズ版で復活)。「ターミネーター2」は、今でもビデオセールス、DVDセールスが好調で、テレビで放送すると相変わらず高い視聴率を取るおバケ映画となりました。

キャメロンとシュワルツッエネッガーは、「ターミネーター2」直後、「トゥルーライズ」で再びタッグを組みます。この作品は、キャメロンの作った制作会社ライトストームのオリジナル作品という位置付けでしたが、「ターミネーター」人気の影響で大ヒットします。そしてキャメロンとシュワルツッエネッガーは、約束されたスター街道を走り続けるのです。

パート2のスタッフ&キャストは、映画の大ヒット後、再び集められました。パート3の制作かと思いきや、与えられた仕事は遊園地のライド制作でした。キャメロンは、全く新しいタイプのライドを開発していたのです。ストーリーはパート2の後のお話。再び登場する新ターミネーターとT-1000(シュワルツッエネッガー)の戦いを3−Dとライブアクションで表現しています。このライドはとても素晴らしいので是非ユニバーサルスタジオで体験してください。

そして、パート3です。キャメロンは、3作目のイニシアティブを取る権利を有していませんでした。契約上、続編を制作する権利を持っていたインターメディアがキャメロンの意志に反し制作してしまいました。当然、あの素晴らしいストーリーと演出はなく、シュワルツッエネッガーが出演したのにも関わらず平凡な作品となってしまいました。個人的には危機を「ターミネート」する話だったはずのこのシリーズが、結局ターミネートできないというオチには大変失望しました。

その後のお話です。キャメロンは「タイタニック」で映画界の最高峰に昇りつめました。シュワルツッエネッガーは、人気を利用しカリフォルニア州知事になりました。ハミルトンは、キャメロンと離婚し女優を続けていますが、パッとしません。マイケル・ビーンは今も名脇役として沢山の映画に出演しています。特に「ロック」での演技は印象的でした。

<ターミネーター シリーズを購入>
ターミネーター アルティメット・エディション

ターミネーター2 スペシャルコレクション 特別編

ターミネーター2 特別編

ターミネーター 3 プレミアム・エディション

<ジェームス・キャメロン作品を購入>
ターミネーター アルティメット・エディション
エイリアン2 完全版 アルティメット・エディション
アビス 完全版 スペシャル・エディション
ターミネーター2 特別編
トゥルーライズ タイタニック アルティメット・エディション


nice!(4)  コメント(11)  トラックバック(3) 
共通テーマ:映画

nice! 4

コメント 11

クロロ

「ターミネーター3」で何が一番許せなかったかといいますと、“ジョン”です
  エドワード・ファーロング君が大人になって、“あの顔”は無いだろっ!(笑)
タイムスリップ物は大変興味のある題材ですので、当時映画館で見ました
最初は頼り無さ気にしか見えなかったカイルが、だんだんカッコよく思えてきたのを思い出します
「アビス」の社長が「ターミネーター2」のT1000を見て、
「お前、“アビス”で実験したんだろ!」と、キャメロンに言った…やに聞きますが
本当ですか?(笑)
by クロロ (2005-11-27 22:17) 

DSilberling

エドワード・ファーロングは、薬の問題で演技が出来る状態ではなく、代役を立てました。確かに顔が違いすぎてがっかりでしたね。「アビス」の水の技術は確かに「ターミネーター2」で使われていますが、このソフトウエアを開発したのはデジタルドメインという会社で、社長はジェームス・キャメロンです。だから、誰も文句は言わないでしょう。
by DSilberling (2005-11-27 22:38) 

gillman

シリーズの最初と言うのは低予算というのが結構ありますよね
低予算を思い入れと、工夫で補った結果のヒットというのが好きですね
往々にしてお金が使えるようになるとエネルギーが下がるものもあるみたいですね
by gillman (2005-11-29 22:19) 

jedioki

それでも好きですけどね、「3」(笑)

「T2」は、すっかり過去のメディアと化した
レーザーディスクのソフトの売り上げ歴代1位という
輝かしい記録を持っていたりもします。

シネマスコープ版、日本語吹替え版、テレビサイズ版、
コレクターズ版、スクイーズ版、ハイビジョンテレシネ版、
特別編シネマスコープ版、特別編テレビサイズ版・・・

いったい何バージョンがLD発売されたことかわかりませんが
それでも出すたびに確実に売れる、まさにお化けソフトだったのが
LDの営業マン経験時代の強烈な思い出ですね。
by jedioki (2005-11-30 02:29) 

coco030705

おはようございます。
「ターミネーター」が低予算で創られた映画とは、知りませんでした。
すごくおもしろかったです。シュワルツッエネッガーも最初は無名だったんですね。ケネディーの姪と結婚しましたね。やはり、末は政治家になることを見込んでの結婚だったのかしら・・・。
映画って、ほんとに予測のつかないところがやはり「水もの」なのですね。
今回も面白く読ませていただきました。ありがとうございました。
by coco030705 (2005-12-04 08:51) 

DSilberling

gillmanさん、jediokiさん、cocoさん、こんにちは。

映画って、やっぱりストーリーが大事なんだなあとつくづく思います。
最近はストーリーをおざなりにしている大作がおおいですが、そういう映画はあまりヒットしませんし、何年も人の心に残りません。しっかりした物語を作り、スタッフが魂を込めた映画。こういう映画作りを目指さないといけないんだなあと思います。
by DSilberling (2005-12-04 17:19) 

かおり

こんばんは♪
シュワちゃんの作品けっこう好きでDVDも何枚かありますよ^^
このシリーズは・・・持ってますね
持っていないけど大好きなのは「トゥルーライズ」
TVでも何度も放映されるせいもありますが一番好きかなぁ
「イレイザー」も好きです
理屈抜きで楽しんじゃう感じですね!シュワちゃんは(笑)
by かおり (2006-07-05 00:02) 

DSilberling

「トゥルーライズ」は、名作ですね。キャメロン*シュワのアクションコメディ。続編の噂もありました。
by DSilberling (2006-07-05 08:35) 

oasis

はじめまして。ブログの文章と内容のレベルの高さに驚きました。
とても参考になります。ターミネーター1と2はとても好きな作品です。
あの1が低予算映画だなんてとても思えません驚きです。映画って本当に大金をかけただけでは成功しない物なんですね。3でエドワードファーロングが薬の影響で演技が出来ないというのはとても残念です。T2やアメリカンヒストリーXの彼は結構印象に残っていたので。
子役で成功した役者が多くの確率でそうなってしまうというのは残念です。
by oasis (2006-07-10 14:30) 

DSilberling

oasisさん、こんにちは。
子役は皆苦労しますね。「E.T.」のドリュー・バリモアなどは、若くして苦労しましたが、今は復活しています。エドワード・ファーロングも立ち直ってほしいものです。

今後も宜しくお願いします。
by DSilberling (2006-07-10 20:12) 

토토마진

What a great article, this is the most useful idea for me. However, there is something missing, but fortunatley, I have it, and you should find here. https://jinnen.com

by 토토마진 (2023-07-22 14:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 3

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。