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ホッタラケの島 遥と魔法の鏡 [アニメ]

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Oblivion Island Haruka and the Magic Mirror

今回は、日本で初めての本格的なCGアニメ「ホッタラケの島」の裏側に迫ります。
皆さんは、アニメを見ますか?子供の頃みたけど最近は見ない方、オタクっぽいアニメばかりでジブリ映画以外は見ない方がおおいのではないでしょうか。
私もそのひとりです。子供の頃はたくさんのアニメがテレビで放送され映画館でもオリジナルのアニメが公開されていました。そういうアニメを楽しみに見ていた記憶があります。しかし、最近はそういう誰もが楽しめるアニメーションが激減してしまいました。ターゲットが設定され、ほとんどが子供向けの「ポケモン」「プリキュア」みたいな作品か、オタク向けの「エヴァ」などかなりマーケットは小さくなってしまいました。そんななか唯一全ターゲットに向け受けているのがジブリアニメでしょう。

何故オールターゲット向けアニメが制作されなくなったのでしょうか。まずは、その問題から探っていきましょう。
答えは簡単です。四半期ごとの利益を出さねばならない会社の論理が横行しているからです。目の前に数万人の子供ターゲットがある場合、おもちゃメーカーはその子供たち向けにアニメを制作すれば言い訳です。どれだけヒットするかわからない制作費のかかるアニメを作るくらいだったら、確実におもちゃを買ってくれるターゲットに向け安価なアニメを作ればそれで利益が出ます。オタク向けアニメも一緒です。現在オタク向けアニメ市場は数億円と決まっています。そこに向けて低予算でアニメを作れば、確実に売れる本数が算出できるので、利益確保ができるのです。こうなると、ある一定のマーケットに向け、彼らが喜ぶ作品を作っていれば一定の利益が上がり、株主への報告が楽になるのです。こうして、アニメはどんどんニッチ化していったのです。もちろん、こういうニッチ化していったアニメ作品の中にはすばらしい作品がたくさんあります。埋もれているといっても過言ではありません。すばらしい作品でありながら、おおくの視聴者はそれに見向きもしなくなってしまいました。典型的な負のスパイラル現象です。

ちょっと暗い話になってしまいました。ではなぜジブリだけがオールターゲットのアニメを作れるのでしょう。そこにはわかりやすい理由があったのです。皆さんもよくご存知のプロデューサー鈴木氏は、ジブリを率い自分たちの作りたいアニメを作り続けているだけなのです。そう、そこにはマーケティングという言葉は存在せず、四半期毎の売り上げ目標も存在しないのです。ジブリにあるのは、自分たちの作りたい映画を作るというシンプルな考え方なのです。
そうはいっても、会社は維持しなければなりません。鈴木氏の苦労はそこにあるのです。宮崎氏をはじめ優秀なクリエイターが仕事をしやすい環境を作りながらきちんと利益を上げ、クリエイターに還元しなければなりません。鈴木氏は、出資各社の無理難題を抑えながら映画をヒットさせるという非常に難しいミッションを毎作品成功させているのです。ジブリ映画はなんでも当たると思っている方もおおいですが、裏側はそうではなく1作品毎が背水の陣なのです。

こう考えると、一般向けの映画をヒットさせることはとても難しいことだというのがわかってきます。これは実写も同じことです。特にオリジナルの作品をヒットに導くのはとても大変なことなのです。だから映画会社やテレビ局は、テレビドラマや有名原作の映画化という方向にシフトしてしまいました。
ここまでくると、いかにオリジナルのアニメ作品を作るのがビジネス的にリスキーなのかは理解していただけると思います。

さて、「ホッタラケの島 遥と魔法の鏡」です。
フジテレビとプロダクションI.Gは、このリスクの高いアニメ制作に乗り出しました。それは今から5年も前のお話です。フジテレビ上層部は、ジブリ映画のような安定したヒットアニメを作りたいという野望がありました。プロダクションI.Gは、オタクにしか受けないハイクオリティなアニメだけではなく、ファミリー層にも訴えかける作品作りを模索していました。そこでこの2社が共同でアニメ制作会社を設立し新しいアニメ制作に乗り出したのです。

この企画のはじめはひとりの監督とひとりのプロデューサーです。たった二人で始めたのは、まず面白いストーリーを作ることでした。自分たちが見て楽しめるアニメ映画を作ろうということで試行錯誤が続きます。そこに合流したのが有名作家、乙一氏でした。この3人が意見を交換して出来上がったのが「千の扉」というオリジナルストーリーです。このストーリーはダークファンタジーでどちらかというとティム・バートン作品のようでした。このプロジェクトにI.Gサイドから投入されたのがJINCO氏です。彼女は作品を一気に明るくしタイトルを「ホッタラケの島」にしたほうが良いと提案しました。こうして4人の共同作業で完成した脚本は、誰が見ても楽しめるエンターテイメント作品に仕上がったのです。

そして、いよいよ映像制作です。はじめはピクサーのようなルックにしようと動いたのですが、いくらがんばってもピクサーを超えることはできません。さらにプロデューサーは、日本アニメっぽさを残したいと譲りませんでした。そこでI.Gは、全く新しいCGアニメの質感を開発するはめになります。何度トライしても納得いく映像が完成しません。途中で何度も頓挫しかけ、おおくのスタッフが現場を去っていきました。最後までこの難関を諦めずがんばったのは監督とアニメーション監督の二人でした。彼らは何度も失敗し、経験し、最終的なルックを勝ち取ります。そしていよいよアニメーションの制作が始まりました。この頃になると、映像のすばらしさを誰もが認識するようになり、フジテレビ上層部は08年06月に驚くべき提案をすることになります。それは、フジテレビ50周年作品に格上げするということでした。スタッフは自分たちの仕事が評価されたと思う反面複雑な心境でした。それは、完成時期を約半年前倒す必要に迫られたのです。アニメというものは、ほど手作業で作り上げられます。よって、予定通りのスケジュールだと09年08月公開に間に合いません。

ここで投入されたのが、スケジュール進行の鬼、アニメーションプロデューサーです。彼はスタッフ全員を敵に回し、まずストーリーを90分に削る作業を行いました。ここで、実は映画の伏線がそぎ落とされてしまいました。キャラクター設定も変更が行われました。そうしないと映画の完成が遅れてしまうのは明白でした。これはスタッフ誰もが同じ思いで行った辛い決断でした。

そして約1年。ほぼ徹夜状態が続いて映画は7月31日に完成します。アニメーション監督の体重は13Kgも落ちてしまいました。その間には実は身内の不幸などもあったのですが、それを乗り越えての完成です。

映画の出来映えですが、こんな裏話があったのは嘘のように楽しいエンターテイメント作品に仕上がっています。ついに日本オリジナルのCGアニメが完成したことは誰が見てもわかります。今後の日本アニメーションの方向性を大きく変える作品となることは間違いありません。

さて、今後です。この映画はオリジナルのアニメーションです。大ヒットするかどうかは微妙です。そうなると、企業は利益にならないと思いアニメ事業から撤退するでしょう。せっかく5年の歳月をかけ、沢山のスタッフの汗と涙を吸い込んだ名作があるのに、このようなファミリーエンターテイメント作品は今後作られない可能性が高いのが現状です。

「ホッタラケの島」のような高い志をもった作品をこれからも作り続ける環境を維持するために、ひとりでもおおくの人が劇場でお金を払うことが将来の日本のアニメ産業、子供たちへのGIFTになることを忘れないでください。

<リンク>
http://www.hottarake.jp/index.html
http://www.apple.com/jp/trailers/toho/hottarake/

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duke

すごいですね!3Dみたいです^^
ストーリーもとても良さそう。絶対見ます!
夏休みものにしては、夏休み後半になってしまって残念でしたね。
blogアップする時はリンクさせて頂いてよろしいでしょうか?
by duke (2009-08-09 16:20) 

たいちさん

アニメ映画の歴史や、本作の裏話を興味深く読ませていただきました。ほとんどアニメを観ない私ですが、本作は機会あれば、観たいですね。
by たいちさん (2009-08-09 18:21) 

non_0101

こんにちは。
最近、劇場で予告編を観ました。
“フジテレビ50周年作品”という割には試写会も宣伝も少ないなあと
思っていたのですけど、7月にようやく出来上がったのですね。
間に合って良かったですね\(^^)/
公開したら、ぜひ観に行きたいです☆
by non_0101 (2009-08-09 18:49) 

DSilberling

dukeさん、こんにちは。
リンク是非お願いします。
by DSilberling (2009-08-09 23:36) 

DSilberling

たいちさん、こんにちは。
これは必見ですよ。後で劇場で見たことを自慢できます。
by DSilberling (2009-08-09 23:37) 

DSilberling

nonさん、こんにちは。
これは映画館で必見です!
by DSilberling (2009-08-09 23:39) 

tomo-m

☆とても解りやすい解説をありがとうございます。
最近のアニメについてよくわかりました。
映画館で観たいと思います。
by tomo-m (2009-08-10 02:15) 

Kimball

あ、なるほど...
だから、「ホッタラケ」ですか...\(^o^)/

ご紹介のリンク先のストーリー解説をみてわかりました!!
------
これはぜひ観てみたい作品です!!

ご紹介ありがとうございました!!

by Kimball (2009-08-10 08:21) 

rosemary

私の中では実写とアニメの区別はありません。
この作品は普段アニメを見ない人向けということでしょうか?
ともあれ、一度は観てみようと思いました。
裏側を教えてもらうと2倍3倍に楽しめそうですね。
by rosemary (2009-08-10 08:36) 

まっきー

この作品はぜひ観ようと思ってます。
予告から気になってます。
確かに言われる裏話は、アニメのみならず映画界や社会全体の抱える問題ですね。
所詮お金、されどお金。夢と現実の狭間を感じます。
by まっきー (2009-08-10 16:14) 

かおり

「作り手が作りたいものを作る」
それを商業ベースに乗せることはわれわれ素人が考える以上に
大変なことなのでしょうねー
オリジナルストーリーの美しいアニメーション
高い技術と志と心意気の詰まった作品なのですね♥
楽しみです♪
by かおり (2009-08-20 14:39) 

ふじくろ

trailerを観ました。
ノスタルジックな2D背景がすばらしいですね。(^^)
by ふじくろ (2009-08-23 18:41) 

かおり

さっそく観てきました!
面白かったです♥
by かおり (2009-08-24 23:42) 

tomoart

観に行って来ました。楽しかったですよ。レビューはちょっと辛口にしてしまいましたが(汗)。トラバさせてもらいました。
by tomoart (2009-08-29 04:42) 

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