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ユニバーサル・スタジオ [映画会社]


Universal Studio

「ジョーズ」「E.T.」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ジュラシック・パーク」....夏休みや正月休みになると大宣伝と共にやってきたハリウッド大作の数々。そのおおくがユニバーサル映画制作でした。映画館で予告編が終わると地球が回りUNIVERSALの文字が登場します。そしてエンターテイメント映画がはじまりました。
ハリウッドに行くと観光客が訪れるのがディズニーランドとユニバーサル・スタジオです。最近では大阪にもできてその名を一気にメジャーにしました。このテーマパークを運営するのもユニバーサルです。

ユニバーサル・スタジオ(ユニバーサル・ピクチャーズとも呼ばれる)は、ハリウッドのメジャースタジオの1つです。歴史は古く、パラマウントに続き2番目に古い映画スタジオです。今までに数々の映画を製作・配給しています。スタジオに併設したスタジオ・ツアーが発展したテーマパークの運営でも有名です。

<歴史>
ドイツ系ユダヤ人のカール・レムリは、1才の時ウィスコンシン州に移民としてやってきます。彼は洋服店を営みますが、それほど成功せず、店をたたんでシカゴを目指します。シカゴで彼を驚かせたのはニッケルオデオンでした。少額で映像を楽しむ当時大人気だったこのシステムを、レムリは1日中見ていたといわれています。彼は、客の数や営業のシステムなどを見学し、この事業がどのくらい儲かるのかを計算したそうです。レムリは、ニッケルオデオンが儲かると判断し、すぐにこの機材を調達しようと動き出します。しかし新たに店をオープンさせる機材を揃えることができませんでした。

映像に魅せられたレムリは、新たな映写技術を探します。そしてエジソンが開発したMotion Picture Trustに着目します。このシステムは、現在の映画上映に近いシステムでスクリーンにプロジェクターで映像を映写するというものでした。Motion Picture Trustの問題点は、映像制作をエジソンが独占していて、供給される映画は全てエジソンの制作会社が作っているということでした。

そこで、レムリは自ら映画製作に乗り出します。1909年、レムリと友人のアベ・スターン、ジュリアウ・スターンは「ヤンキー・フィルム・カンパニー」を設立しました。エジソンの開発した映写システムを利用しながら、そこで上映される映画は自分たちで作ることにより、利益を上げるビジネスモデルを開発したのです。
この会社は「Independent Moving Picture Company」と名を変え、映画を積極的に製作していきます。これまでエジソンが製作してきた映画は俳優を大切に扱っていませんでした。そこでレムリはスターシステムを確立し俳優をプロモーションしていき、出演料も沢山支払うようにしました。これにより、有名スターが登場する娯楽映画が人気を得ます。

1912年、レムリは自社と5つの小さな映画制作会社を合併し、新会社「Universal Film Manufacturing Company」を設立します。この時点で初めて名前にユニバーサルという単語が入りました。この後、いくつかの映画制作会社を吸収し名前を「Universal Pictures Company, Inc.」とします。

1915年、順調に業績を伸ばしたユニバーサルは、ハリウッドに世界最大級のスタジオをオープンします。ここで、沢山の映画が製作されるようになりました。このスタジオは現在もユニバーサルが運営しています。そして、さらなる拡張が必要になりハリウッドの北にもっと大きなスタジオを建設します。のちにテーマパークが併設される現在のユニバーサルスタジオです。

1928年には、レムリの息子カールが、21才の誕生日プレゼントとしてユニバーサル・スタジオのトップになります。カールの独裁時代の到来です。カールは積極的に事業を拡張します。まずは劇場チェーンを買収し配給業を拡張します。そして映画スタジオの中に音響スタジオや編集スタジオを併設させ、映画のクオリティがあがる総合スタジオを目指しました。カールの仕事は直ぐに製作映画に反映されました。「ショーボート」ではテクニカラーが使われ、「キング オブ ジャズ」は初の全編フルカラー映画でした。映画のカラー化により、観客は増えました。さらにカールは、ユニバーサルの顔となるモンスターシリーズを生み出します。「フランケンシュタイン」「ドラキュラ」「ミイラ男」など数々のモンスター映画を作り、どの作品も世界で大ヒットします。カールの新しい技術の導入とエンターテイメント性の強い映画制作は大成功を収めるのです。

第2次世界大戦中は、映画産業は縮小を迫られます。この逆らえない時勢に対応し、ユニバーサルは低予算映画を製作します。そんな中でもアボット&コステロなどのコメディアンを起用した作品で確実に利益を上げていきました。

戦後、イギリス人のJ.アーサー・ランクという投資家が会社の1/4の権利を取得します。そしてインターナショナル・ピクチャーズという映画会社を吸収させました。インターナショナル・ピクチャーズの社長だったウィリアム・ゴメスは、ユニバーサルの海外配給部門のトップになり、以後、ユニバーサル映画の海外業務を任されます。この海外業務を扱う会社はUIP(Universal International Pictures)となり、現在もユニバーサルの海外業務を請け負っています。

その後、会社は規模が大きくなりすぎ、ヒット作を生み出せなくなってしまいます。苦し紛れの企画「アボット・コステロVSフランケンシュタイン」など珍作を制作しますが、うまくいきませんでした。そんな低迷期に会社は買収されてしまいます。1952年、クラシック音楽のレコードを手がけるデッカ・レコードが、ユニバーサルを運営することになりました。

デッカの運営するユニバーサルは、なかなかうまく機能しませんでした。当時、テレビ放送が始まり、おおくのお客は映画館からテレビにシフトしていきました。さらに巨大な力を持った俳優達との裁判が絶えませんでした。


巨大俳優事務所MCAは、テレビで体力をつけ遂に映画スタジオを買収するほどの資金力を持ってしまいました。そして、まずはユニバーサルの撮影スタジオを買収してしまいました。この買収は実際の撮影スタジオだけで、MCAは映画会社を買収しませんでした。MCAは、テレビ番組制作が拡張することを見据え、テレビ番組撮影用のスタジオが欲しかったのです。1962年になると、MCAは全てのユニバーサル・スタジオを傘下にします。そして社名をMCA/Universal Pictures Inc. としました。MCAは、自社が扱う有名俳優をユニバーサル映画に独占的に出演させます。これによりユニバーサル映画はスターが出演するというメリットを得ます。しかし時代はテレビドラマ中心となり、撮影スタジオのおおくはテレビ用に使用されました。「エアポート」「アメリカン・グラフィティ」「スティング」などヒット作を制作してもテレビスタジオが収益の中心であることに変わりはありませんでした。「E.T.」「ジュラシック・パーク」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などの大ヒットがあっても、その陰には大量の失敗作があり、映画部門の利益はトントンだったそうです。

本社の不振に反し、パラマウントが共同で海外配給を行うということになったUIPは大きくなります。そして1981年MGMが加わります。1997年にはドリームワークスも参加し、UIPは、ハリウッドメジャー4社の作品を世界に配給する巨大会社に発展してしまいました。

1990年にユニバーサルは歴史上大きな転換期を迎えます。
日本がバブル景気のまっただ中、松下電器がユニバーサルを買収してしまいます。松下電器は、ソニーがコロンビア・ピクチャーズを買収することを警戒し、同様の措置をとったのでした。そして、ハードメーカーは、今後ソフトが必要になることを見越した措置でした。この買収劇のメリットは、多額の資金が流入したことです。潤沢な資金で余裕のある会社経営ができるようになりました。しかしそれ以上のデメリットが発生してしまいます。カルチャーギャップです。日本のハードメーカーは、アメリカのソフト制作を理解できず、社内は大混乱に陥ってしまいました。結局、松下とユニバーサルの社員は理解し合うことができず、松下は5年後にカナダの酒会社シーグラムにユニバーサルを売却してしまいました。

シーグラムは、同時期にポリグラムも買収しており、ユニバーサルとポリグラムの作品をビデオ販売する会社、MCA/Universal Home Video Inc.を設立しビデオ業界に参入して成功を収めます。

その後は、業界の再編や技術の変化に対応するため、ユニバーサルは合併を繰り返します。2000年 親会社「シーグラム」とフランスの複合企業「ヴィヴェンディ」、「ヴィヴェンディ」の傘下の有料テレビ会社「カナルプリュス社」の3社で合併し、ビベンディ・ユニヴァーサルが誕生します。2004年には ビベンディ・ユニヴァーサルの娯楽部門「ビベンディ・ユニバーサル・エンターテインメント(ユニバーサル映画が属す)」と放送会社(局)「NBC」が合併し、NBCユニバーサルを設立します。

こうして、ユニバーサルは吸収合併を繰り返してきました。しかし、モンスター映画以降、常に大作を制作して多くの映画ファンに娯楽を与えてきました。ユニバーサルは、スタジオ内にイマジン・エンターテイメント、アンブリン・エンターテイメント、ワーキング・タイトル、スタジオ・カナルなどの制作会社のオフィスを置き、緊密な関係を築いてきました。そしてそれら優秀な制作会社と一緒に名作を量産し続けています。

<テーマパーク:ユニバーサル・スタジオ>
同社名物のスタジオ・ツアーは映画スタジオ設立当時から存在し、サイレント映画時代は撮影シーンも見学できたのですが、トーキー時代に突入すると雑音が入るということで中断され、1964年の復活後はアトラクション・ツアーが中心になりました。
現在、テーマパークとしてのユニバーサル・スタジオは、ハリウッド、フロリダ、大阪の3つが運営されています。ハリウッドには今でもバックロット・ツアーがあり、参加者はトラムという乗り物に乗って、映画撮影スタジオの中を見学できます。VIPツアーに参加すると、実際の撮影に立ち会えたり、歩いてオープンセットの中を見学することができます。
フロリダと大阪は、完全なテーマパークとして建築されています。

<日本のユニバーサル>
日本では、UIPがユニバーサル映画の配給を行っています。しかし、ハリウッドとのコミュニケーションはUIPを通すことになり、円滑に行っているとは思えない意味不明な興行や宣伝が行われています。残念なのは、アメリカでヒットした作品でも興行を行わないケースがおおいことです。実はユニバーサルは名作の宝庫ですが、真剣にローカライズして日本でヒットさせようという宣伝チームが存在していません。宣伝は専ら有料出稿に頼っています。
ビデオは、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンが販売しています。

<ユニバーサルの作品:My Blog>
ジョーズ

ジュラシック・パーク

アポロ13

宇宙戦争

ミュンヘン


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コメント 6

ユニバーサルも歴史が古いですね。
いろいろな作品がありますが、この会社の買収劇などがおおく、映画の収益がトントンだと言うことだからでしょう。
いい映画も多いが日の目を見ない映画も多いのですか・・・
ユニバーサル・スタジオは何か夢が理想で、大阪に行く機会があれば見にいきたいです。
by (2006-10-15 08:59) 

DSilberling

nekoさん、ご訪問ありがとうございます。
ユニバーサルはいかにも「ハリウッド」という感じがする会社ですが、実情は映画産業以外の企業に保有されて「映画作り」をなかなか理解してもらえない環境が続いていました。
表にはでてこない様々な困難が沢山あったのでしょう。
by DSilberling (2006-10-15 09:44) 

TaekoLovesParis

私が物心ついたとき覚えたのがMGMでした。父が「あのライオンが3度鳴くと
いい映画で2度は普通」と言ったので、「見る前から2度しかなかないから、つまんない映画ってわかるのは、よくない」と感じて今でも疑問に思っています。
でも「風とともに去りぬ」で3回ないたから、やっぱりそうなのか、と思ったり。
真偽のほどはどうなんでしょう?

ユニバーサルの歴史って、エジソンが映画を発明したときにさかのぼる古い
ものなんですね。エジソンのハードに載せる魅力あるソフトの開発、ビジネスモデルの誕生ですね。
そういえば松下が、、ということもありましたね。ソニーは12年前研究会で当時の社長出井さんが「わが社の従業員は○○名、うちアメリカ人○○名、これは
コロンビアの買収によるものです。、、、これからソニーはアミューズメントの
分野を企業目標にしていく、、」とおっしゃっていました。現在、好調なプレイステーションもアミューズメント分野ですものね。
M&Aは日本にいるとわかりにくいけれど、ビジネスを生きぬいていくために
必要なことなんでしょうね。
ユニバーサル・スタジオ、行った人は皆楽しかったと言っています。大阪なので
まで行けてませんが、いつか、と思っています。スタジオをテーマパークのように使うというのはすごい発想ですね。
by TaekoLovesParis (2006-10-15 13:13) 

DSilberling

Taekoさん、こんにちは。
ユニバーサルは歴史が古いですね。ソフトという分野に最も早く目をつけたきぎょうのひとつなのではないでしょうか。ユニバーサルスタジオは、自然発生的に生まれたものです。当時は、現在のようなテーマパークになるなんて誰も思っていなかったでしょう。私はハリウッドのバックロットツアーが一番好きです。映画制作の現場に立ち会えるなんて映画ファンにはたまらない体験ですよ。

MGMとSonyについては、今後詳しく解説したいと思っております。お楽しみに!
by DSilberling (2006-10-15 13:54) 

かおり

映画会社というのは本当にどこも紆余曲折があるのですね。
扱うものが大きいだけに当たり外れも当然影響するのでしょうし・・・
大阪のUSJには行きました!クッキーモンスターに逢いに^^
アトラクションではスパイダーマンが面白かったですが
テーマパークとしてのサービスやスタッフのスキルが十分ではなかったように
感じましたね。TDLを体験すると、夢の世界と現実との境目を見事に
隠してあるのですが、USJでは裏側が丸見えのような場面がいろいろと・・・
でも、「ジョーズ」「E.T.」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「ジュラシック・パーク」....どれも大好きな作品です♪
by かおり (2006-10-16 16:26) 

DSilberling

青い花さん、こんにちは。
テーマパークのユニバーサルスタジオは、サービス面ではディズニーの足下にも及びません。これは運営マニュアルの問題です。
アトラクションは良くできているんですけどねえ。
by DSilberling (2006-10-16 23:41) 

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