ワーナーブラザース [映画会社]
Warner Bros. Studio
ワーナーブラザース・スタジオは、世界最大級のエンターテイメント会社です。傘下には、映画部門のワーナーブラザーズ・ピクチャーズ、テレビ局運営し番組を製作するワーナーブラザーズ・テレビジョン、アニメを製作するワーナーブラザーズ・アニメーション、DVDなどパッケージを制作・販売するワーナーブラザーズ・ホームビデオ、そのほかDCコミックスなどを有しています。
現在は、タイム社と合併したとき作ったホールディング会社であるタイム・ワーナーの一部門となっています。本社はアメリカ、カリフォルニア州バーバンクにあります。
<歴史>
ハリー(1881–1958)、アルバート(1883–1967)、サム(1887–1927)、ジャック(1892–1978)のワーナー4兄弟はポーランド移民労働者で、19世紀末、全部で8人の兄弟姉妹が貧困の中を逞しく生きていました。父の経営する靴修理屋を手伝いながら、それぞれの趣味と才能を伸ばし長兄ハリーは店を拡大、ジャックは歌手として修行に励み、サムは職業を転々とします。
サムは、映画の創生時、その魅力に取り憑かれて映写技師となります。次いで、彼は兄弟と組みジャックのパフォーマンス付きで興行業を開始。1903年にはペンシルバニアとオハイオの炭坑町で映画上映を始めました。その後、ペンシルバニア州ニューキャッスルで劇場をオープンします。この劇場は現在も運営されています。その後、配給業に進出して4つの州の映画館にフィルムを供給しました。収益を上げるものの、トラスト(MPPC)の圧力によって配給網を絶たれ、一度は業界から手を引いてしまったこともあります。
しかし、映画を作るという夢を捨てきれなかったサムは、再び兄弟を説得して1918年にハリウッドのサンセット・ブルバードに映画スタジオを構え、映画制作を始めます。そして1923年ニューヨークに配給会社を設立しました。映画自体は晴れの多いハリウッドで作り、映画の投資や全米配給は、ビジネスの中心地ニューヨークにオフィスを置いたのです。1926年には、初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』を発表し公開します。この時点でワーナーブラザーズは、映画を制作し配給するという2つの業務を実際に行うようになります。
兄弟で助け合ってなんとか経営が順調になった1930年代、経済恐慌のあおりを受けて経営難に陥いってしまいます。しかし当時の話題だった「ギャング」をテーマに映画を制作し、このヒットで困難を乗り切りました。映画という仕事は、とても魅力があり、おおくの人々が産業に参加してきましたが、誰もが途中で資金を使い果たしてしまう時代が続きました。1956年 、ワーナーブラザーズも他社と同じように資金が足りなくなってしまいます。そこで、やむを得ず1950年代以前の作品をMGMに売却するという苦しい決断を下しました。
その後、なんとか会社は運営を続けますが、また資金が底をつき、遂に社は身売りされてしまうのでした。ワーナーは、1969年 レンタカー会社「キーニー・ナショナル・サービス」の傘下となってしまいました。キーニーは、もともと葬儀屋でしたが、駐車場やオフィスの清掃会社など様々な会社を買収して大きくなってきました。キーニーが買収した会社の中に、あるタレント事務所がありました。ここを任せていたテッド・アシュレイという人物がワーナー買収を成功させ、ワーナー・ブラザースの社長になりました。アシュレイは、有名人が会社を支えると信じ、おおくの若い俳優と独占契約を結びます。その中には、ポール・ニューマン、ロバート・レッドフォード、ジョン・ウェインなどが含まれていました。1980年代は、同じく独占契約を結んだクリント・イーストウッドがワーナーブラザーズを支えます。会社は順調に推移してきたので、アシュレイは、駐車場や葬儀業といった小さな規模のビジネスを売却し、新たにアタリ社などのビデオゲーム会社を買収したり、Six Flagsの遊園地業をはじめ、エンターテイメント業に軸足を移していきました。そして社名をWarner Communicationsとします。
1980年代、現在の日本のようにアメリカではM&Aブームが起こりました。1989年 親会社「Warner Communications」は、巨大出版社「タイム」と合併し、タイム・ワーナーを設立することに合意します。この合併では、すべてのワーナー傘下の会社が合併したわけではありませんでした。合併したのは収益の良い映画部門と音楽部門で、遊園地業などは売却されてしまいました。この合併は、巨大な資本を有する世界最大のエンターテイメント会社として脚光を浴びました。以後は、文字(出版)と映像(映画)の2つの路線をうまく絡めながらメディアミックスでヒット作を連発していきました。
1995年には、1950代年以前のワーナー、1985年以前のMGM、RKOの主なフィルム・ライブラリーとCNNを所有していたターナー・コミュニケーションが会社の傘下に入ります。映画業界で孤立主義を貫いてきたターナーが、ワーナーと手を結んだことは、当時大ニュースとなりました。ターナーとの提携は、過去のワーナー作品を取り戻したという意味よりもCNNというテレビ局を手にしたことのほうが大きな成果でした。以後、タイム・ワーナーはテレビ局を設立しテレビというメディアにも進出していきます。
この頃になると、出版、テレビ、ラジオ、映画とあらゆるメディアを傘下に持つタイム・ワーナーはさらに勢力を強めます。そして、新たにインターネットという新しいメディアが出現して、社はこの新メディアとどう向き合うかという新たな課題を突きつけられました。
ちょうどその頃、急成長したインターネットのプロバイダー最大手のAOLが、タイム・ワーナーを買収するという噂が流れ、2000年親会社がAOLと合併してしまいます。この事件では、企業価値の小さい新興のAOLが巨大メディアで歴史のあるタイム・ワーナーを買い取ってしまったという驚くべき事態が実際に起こってしまいました。この後は、皆さんご存じのようにIT関連企業が、世界中の堅実経営の会社を買収するという戦国時代に突入していきました。会社は、AOL TimeWarnerという社名になりましたが、結局既存のメディアにITの名前はあわないこと、そしてその後AOLの力が急速に衰えてしまったことから、あっという間に社名はTimeWarnerに戻されてしまいました。
2000年以降、ワーナーブラザーズ・スタジオは、以下のような比較的小さな制作会社と契約して映画をヒットさせてきました。
アンブリン・エンターテイメント(非独占。スピルバーグの制作会社)
モーガン・クリーク・プロダクション(近年はユニバーサルとの仕事がおおい)
リージェンシー(最近は20世紀フォックスとの仕事がおおい)
ビレッジ・ロードショー
レジェンダリー・ピクチャーズ
シルバー・ピクチャーズ(ジョエル・シルバーの制作会社)
ラッド・カンパニー
ゲフィン・フィルム
<スタジオ>
バーバンクには、広大な敷地のスタジオが広がっていて、観光客もスタジオツアーに参加すれば中に入れます。スタジオはいくつかのセクションに分かれています。入り口付近は、オフィスになっておりスタジオの事務系のスタッフが常駐しています。このあたりは、スパニッシュ・コロニアル風のデザインで統一された低層の建物が並んでいます。そしてシルバー・ピクチャーズやモーガン・クリークなどの制作会社のオフィスもあります。
オフィスビル群の奥には、撮影に関わるスタッフが常駐するビルがあります。大道具、小道具の製作工場や倉庫などが見えます。その中ではスタッフが様々なデザインの美術を作っています。
その奥には広大なオープンセットとスタジオが並んでいます。オープンセットは、表面を作り替えることで、ある時はNY。ある時はLAになります。私が訪れたときは「ER」の雪のセットが建てられていました。直ぐ側には「ブレードランナー」のオープニングに出てきた未来のLAのセットと「マイノリティ・レポート」の街が残っていました。
スタジオは広大で歩いて回ることはできません。スタッフは電気自動車に乗って中を移動していました。俳優はセットの隣に置かれたトレーラーで休んでいます。大きな映画になるとスタジオの周りには沢山のトレーラーが並びます。「オーシャンズ11」など、有名俳優が出演する映画の撮影があるときは、トレーラーの数に驚かされるでしょう。
<ワーナー・エンターテイメント・ジャパン>
日本には、ワーナーブラザース直轄の配給会社があります。基本的に、日本では、ワーナー作品はワーナー・エンターテイメント・ジャパンが配給と宣伝を行います。そしてビデオはワーナー・ホームビデオの日本支社が制作・販売します。映画の宣伝ビジュアルは全てアメリカ本社の意向で進められるので、日本支社に与えられている権限は限られたものになります。勿論DVDも同じで、価格設定やジャケットデザインなどは本社の意向が大きく影響しています。
「ハリー・ポッター」シリーズ、「スーパーマン」シリーズ、「マトリクス」シリーズ、「リーサル・ウェポン」シリーズ、「バットマン」シリーズ、クリント・イーストウッド作品、ティム・バートン作品、ルーニー・チューンズのアニメなどおおくの作品を配給するワーナーブラザーズ。今後もエンターテイメント色の強い作品を沢山リリースしてくるでしょう。
<ワーナーの作品 : My Blog>
グレムリン
ワーナブラザーズの歴史をはじめて知りました。いい勉強になりました。
以前から、会社名からは兄弟で設立したのではという予感してました。
マトリックス、スーパーマン、ハリーポッタなどよい映画がたくさんありますね。
スタジオが広大であり、いろいろな製作メンバーが多いからよい作品ができるのでしょう。
by (2006-10-09 20:26)
nekoさん、こんにちは。
WBは、沢山の名作を制作・配給しているスタジオです。
最近では、DVDのブロックバスター販売で問題提起を起こしたことでも有名です。
今年の期待作は、やはり硫黄島2作でしょう。
「ラストサムライ」「硫黄島からの手紙」など、日本を舞台にした映画を作るのもうまい会社です。
by DSilberling (2006-10-09 21:06)
Silberlingさん、こんばんは。
ワーナーブラザーズが、もともとは移民の4兄弟での設立だったとは予想外
でした。お金持ちの兄弟が映画ビジネスに、、と勝手に想像していました。
アメリカのM&Aの代表格のような歩みですね。そういえば最近はAOLも一時の
パワーがないし。。
ワーナーといえば、バックス・バーニーのキャラが浮かびます。銀座にワーナー
ショップ、まだありますよね?
スタジオがあるときLA,あるときNYと変身できるというのにびっくり。大規模
なんですね。
すごいですね、ヒット作品をたくさん出しているんですね。
TimeWarner、今後も期待ができそうですね。
by TaekoLovesParis (2006-10-09 22:58)
Taekoさん、こんにちは。
アメリカの映画会社は、時代の流れに左右されるんですね。
ワーナーには、ディズニーと並んでアニメの資産があります。
しかし、あまりうまく運用されていません。銀座にあったワーナーショップはもう潰れてしまいました。今後は、テレビに注力するようです。
私にとっては思い入れのある会社です。がんばってほしいものです。
by DSilberling (2006-10-09 23:00)
こんばんは♪
おなじみのワーナーのマークにこんな歴史があったんですね?
巨大な企業にはビクともしないようなイメージがありましたが
時代の移り変わりにはさまざまなダメージもあるのだと
興味深く読ませていただきました。
末端の映画ファンにはよい作品を安定供給していただければ幸いです(笑)
by かおり (2006-10-09 23:53)
ワーナーといえば、ワタシの場合「ブレードランナー」です。(^_^;
オープニングはスターウォーズの20世紀FOXも好きですが、このワーナーのオープニングもいいですね。スタジオの(古い?)外観が一瞬写るところが特に好きです。(こまかい)
ワーナーのアトラクションスタジオがオーストラリアにあったので行きました。
ユニバーサルとかと比べると、ちとさびしげでしたがバットマンのバットカーはかっこよかったです。
by サダー (2006-10-10 02:20)
青い花さん、こんにちは。
ワーナーは、アメリカ企業では珍しく社員が長い間居続ける社風があります。
数年で会社を移り変わるのではなく、多くの社員が終身雇用に近いスタイルで仕事をしています。だから愛社精神がありますし、安定したイメージが強いのでしょう。
今後もがんばってほしいスタジオです。
by DSilberling (2006-10-10 08:43)
サダーさん、こんにちは。
私も「ブレードランナー」大好きです。あの頃は赤いワーナーマークでした。制作会社はラッドカンパニーでしたね。スタジオの外観が写るのは、現在のオープニングロゴですね。
by DSilberling (2006-10-10 08:45)
へぇ〜、勉強になります。
ワーナーマイカルシネマにばかり出かけて映画を見る
ラブは、あのルーニーテューンズのキャラがまぶたから
離れません。
by ラブ (2006-10-10 11:24)
ラブさん、こんにちは。ワーナーマイカルは、名前の通りワーナーブラザースとマイカルの出資会社です。ここは、ワーナーの作品にかかわらず幅広い作品を公平に上映するので私も好きなシネコンです。海老名に日本初のTHXシアターができたときはよく通いました。
by DSilberling (2006-10-10 22:42)
こんばんは。
まさにアメリカンドリームを地でいくポーランド人の4兄弟ですね。ワーナーの
歴史がつぶさにわかって、おもしろかったです。
今は、どんなに堅実な会社でも乗っ取られるかも知れない「戦国時代」
なのですね。マネーゲームの犠牲にならないようにしないといけないとは、
怖い時代になったものです。
ワーナーはいっぱいメジャーのおもしろい作品を創っているんですね。
俳優達の個室であるトレーラーが居並ぶ光景を、ぜひ見てみたいと思いました。
by coco030705 (2006-10-12 23:38)
cocoさん、こんにちは。
最近のソフト制作会社は、資産が少ないことと、経営より良い作品を作るという方向に向いていることがおおいので、乗っ取りのターゲットになりやすいのです。ワーナーは、社員があまり異動しないので、経営は安定しています。特に上層部はほとんど変化ありません。
きっと、時代の流れに乗らないで常に地味な経営と良い作品作り、若手の育成を行っていることは簡単なようで、結構大変ですね。
by DSilberling (2006-10-13 08:55)
14年前にワーナースタジオに行きました。サウンドステージがNo.28まであったのを憶えています。撮影現場も見れました。
by ロココ (2007-01-28 12:01)
ロココさん、こんにちは。
ワーナーのスタジオはハリウッドのスタジオの中でも一番綺麗ですね。有名プロデューサーのオフィスが沢山ありワクワクしますね。
by DSilberling (2007-01-29 23:55)
はじめまして・・・
今現在、ワーナーショップは大阪や銀座にありましたがいまはありません。
今現在、ショップがある場所を教えて頂きたいのですがご存知ありませんか・・・?
by takaさん (2008-10-15 17:08)