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スティーブ・ジョブス [スタッフ&キャスト]


Steve Jobs

えっ、何で?と思われる方がいるかもしれません。iPODやiMACを送り出し、今やコンピュータ業界の台風の目として有名なAppleのスティーブ・ジョブスがなぜ映画のブログに登場するのか?実は、スティーブ・ジョブスは映画界にも多大な貢献をしているのです。

スティーブ・ジョブスは、母に捨てられサンフランシスコの養父母によって育てられました。実の母親が誰なのかは彼が大金持ちになるまで悩みであったようです。彼は父親の仕事の関係でサンフランシスコ南部で育ちます。ちょうど時を同じくして、この場所ではコンピューターが開発されます。ジョブスは、友達とうまくやっていけないタイプだったので、内にこもりコンピュータにはまっていきます。しかし、技術に関しては無関心で、まわりの優秀なプログラマーを集めてPCをつくる、いわばマネージャーのようなことをしていました。そのとき知り合ったのが、近所に住んでいるスティーブ・ウォズ二アックです。二人のスティーブは、電話につなぎ料金を支払わなくても遠距離通話ができる機械を開発し、近所でこれを売りまくります。そして資金を得るのです。

そして、20代前半でApple Computerを設立します。当時はまだ、部品の寄せ集めで、モニターすらついていませんでしたが、AppleのPCは、それなりに売れました。そして、きちんとデザインされた箱に部品を組み込んだ初期のコンピューターであるApple II (ウォズニアックが開発)がバカ売れします。まだフロッピーディスクやカラーモニターが開発される前のお話です。

Appleは急成長します。社員は増えていきますが、会社としての体裁はとれていませんでした。さらにジョブスは、かなり感情的な性格だったため、社内は混乱し続けていました。そこで、会社経営を任せられる人を捜します。
80年初期に、コカコーラからシェアを奪ったペプシのジョン・スカリーが、その人です。ジョブスは自らNew Yorkにいるスカリーを訪ね「いつまでも砂糖水を売っているのか?」と話を持ちかけます。そして、スカリーはAppleにやってきます。

これでAppleはうまく行くのかと思っていたところ、大きな問題が発生します。スカリーは経営のプロでありましたがコンピュータの知識がないことをいいことに、ジョブスは、好き勝手に開発費を使い使い物にならないコンピュータ制作に猛進します。LISAと呼ばれるPCは、膨大な費用を費やし利益を上げることができませんでした。この事件により会社は傾き、社内は滅茶苦茶になりました。結局ジョブスがいる限り、Appleは混迷状態から脱出することができませんでした。

これに気づいた経営陣はジョブスをAppleから解任します。彼は、自分で作った会社から追い出されてしまうのです。

ジョブスは落ち込みますが、2つの新しい試みに挑戦します。
1つはAppleよりも革新的なPCメーカー、NeXT社の設立です。NeXTは、革新的なOSを持ち、かっこいいデザインでマスコミでは話題になりますが、価格が高く商売はうまく行きませんでした。
もうひとつはコンピューターで描くアニメ会社の買収です。アニメ会社は、実はジョージ・ルーカスから買い取りました。ちょうどその頃、ルーカスは離婚という問題を抱えていました。アメリカでは離婚する場合は、夫婦で資産を等分しなければなりません。これにルーカスは悩んでいました。「スターウォーズ」で成功し、その利益で作った数々の映画制作会社。これを半分持っていかれるのはルーカスにとって痛手でした。なんとしても特殊映像を作るILMや立体音響を制作するスカイウォーカーサウンドは、自分の手元に残したい。ルーカスは悩んだ末、コンピューターで映像を作る会社を切り捨てることにしました。ルーカスの元妻は、この会社の売却額を手にするのでした。売却先がジョブスだったのです。

ルーカスから購入したコンピュータでアニメを作る会社はピクサーと名付けられました。しかし、当時のハードとソフトでは絵を描くことすらできなかったのです。よって、この会社もひたすら開発費がかかり利益は生まれませんでした。

ジョブスは、Appleの上場益と解任された際の退職金でかなりの資産家でしたが、NeXT社とピクサー社が赤字を出し続けていったので、資金が底をつき始めました。こんな状況でも資金を追加し助けたのは日本のキャノンです。

ジョブスは、NeXTのコンピュータを売り続けることをあきらめます。そしてNeXTが開発したOSの販売に特化します。UNIXベースのNeXT OSは、安定していてかなり先を見据えた素晴らしいオペレーティングシステムでした。当時、マイクロソフトはアップルのOSであるMac OSをそっくりまねたWindowsを発売し、シェアを伸ばしていた時期です。(マイクロソフトはWindows発表時はAppleにライセンス料を支払っていましたが、いつのまにか支払いをやめてしまいます。しかしいまだにビル・ゲイツはMac OSの方が優れたOSだと思っているようです)

ピクサーは、アニメが作れないので、アニメを作るために開発したコンピュータとソフト(レンダーマン)を発売します。そしてアニメを作ろうとしていたチームを解雇しようと動きます。要はピクサーをコンピュータメーカーとして成立させようとしたのです。その頃、ピクサー内では、ジョン・ラセターを中心とした優秀なアニメ制作チームが育っていました。そのチームを解散させたくなかったピクサーのスタッフは、このジョブスの意向を避けます。そして、こっそりといくつかの短編を完成させました。この作品に驚いたディズニーはフルCGアニメの制作を依頼してきます。

ピクサーの成功物語は皆さんご存知でしょう。「トイストーリー」のヒットで、それまでの赤字は解消し、利益を上げることができました。そして、ピクサーはハードメーカーとしてではなくアニメ制作会社として認知されていきます。「トイストーリー」のヒットパーティでは、ジョブスだけが舞台に上がり、ちゃっかり自分の手柄にしてしまいました。

この頃、Apple Computerは潰れる寸前まで堕落していました。コンピューターを知らないジョン・スカリーは市場に受けないPCを投入し、OSは古くて使い物にならない状態でした。いつの間にか後発のMicrosoftが市場を制していたのです。スカリーは退陣してしまいました。会社では求心力のあるトップが必要でした。そして新しいOSが必要でした。

ジョブスは、この隙間に入り込みます。そして、見事Appleのトップに復帰し、NeXTで開発したOSをMacintosh用に移植します(OS X)。アップルは、ここから奇跡の復活劇が始まるのです。相次いでiMAC、iPODを発売し、世界は新生Appleを受け入れていったのです。アメリカではiMACを買うと「トイストーリー」のDVDがついてきました。

ジョブスは、アップルを追い出された後、苦労し人間的に丸くなり、ソフトの重要性を勉強しました。

現在のジョブスは、以前に比べ温厚になり、経営者としてもしっかりAppleとピクサーを運営しています。
最近では、iTUNESとiPODで動画を扱えるようになりました。まずこの動画配信に手をあげたのがピクサーです。
当時ジョブスに解雇されそうになっていたラセターがひやひやしながら作った短編群が、ここで役立っています。


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コメント 14

b-j-

大変興味深いお話ですね。
私の最初のパソコンがマックであったことから、アップルやスティーブ・ジョブズ自身も好きです。このくらいドラマティックな人生を歩んできた彼は今でも昔のちょっと気分屋な男の子の雰囲気を漂わせているような気がします。
by b-j- (2006-01-22 22:07) 

TaekoLovesParis

私も仕事がコンピュータ関係で、マックは630(OS7)以来5台買い換えたユーザーなので、この記事はとてもおもしろかったです!
スティーブジョブがアップルに再び迎えられるまでに、こんなストーリーがあったのですね。デザインと先進性のマック、次は何を?といつも楽しみです。
by TaekoLovesParis (2006-01-22 22:17) 

coco030705

こんばんは。
今の仕事の前に、大学の研究室で働いていたときに、マックをつかってました。その当時はマック一辺倒でした。でも、私がやめる前は、ウィンドウズ
がだいぶ入りこんできてましたけど。
アップル社とマックにもこんな隠れたストーリーがあったんですね。とても面白く読ませていただきました。
by coco030705 (2006-01-22 22:23) 

DSilberling

BJさん、Taekoさん、cocoさん、こんにちは。皆さんMac使いですね。実は私もなんです。初めて買ったMacは、IIciでした。当時はHDDが80MBもついていて(!)嬉しかったです。
ジョブスのダラマティックな人生は映画にも大きな影響を与えています。今ではハリウッド映画のおおくがFinal Cut Proで編集していますし、CGはレンダーマンというピクサーが開発したソフトが使用されています。
先週行ったMac World Expo San FranciscoでもJobsは精力的でした。彼は今後のPC業界、音楽業界、映画業界の台風の目になるでしょう。
by DSilberling (2006-01-22 23:47) 

blanc27

いつもながらおもしろい記事で、一気に読んでしまいました!以前はMacをつかっていましたが、機会オンチなため使いやすいWinに変更。けれども、使いこなせなかったくせにMacは今だにほしいと思わせますね。
ピクサーとMac、そしてWin、いろんなつながりがあるんですね…それだったら、WinとMacにもうちょっと相関性があればなあ…と思ったり(笑)
by blanc27 (2006-01-23 03:44) 

SHIN SUKE

面白いですね。ジョージルーカスの離婚がピクサー誕生の発端だったとは知りませんでした。
僕が最初買ったのはPowerMac7100でした(大学時代)。AV Macということでしたが、映像の編集なんて到底できませんでした。でも、音の編集だけなら、スペック的にも十分可能であることを発見し、当時、ノンリニアによる音編集で相当助けられました。94年〜95年ごろでしたから、日本の自主制作の映画にノンリニア編集を取り入れた最初の頃の人間だと思います。
一頃、長くMacをやめてwinたんですが、ジョブス復活後、僕も復活し、使い倒しています。
iLife06、かなり便利です。
しかし今後、ジョブスが居なくなった後、Macはどうなるのでしょう。そこに次の転換点がありますよね。ナンバー2っていないのでしょうか。
by SHIN SUKE (2006-01-23 08:59) 

DSilberling

blincさん、こんにちは。先週Appleは、Intelチップ搭載の新iMACとノートブックを発売しました。これでWinマシンとmacは、ハード的に同じものになりました。OSを動かしているのは同じUNIXなので、WinとMacOS両方が動くマックが登場した事になります。しかし、現状では新MacでWinが動きませんが、おおくのソースで動作は時間の問題だろうといっています。近い将来デュアルブートマシンがお目見えするかもしれませんよ。
by DSilberling (2006-01-23 10:56) 

DSilberling

SHIN SUKEさん、こんにちは。そうですねえ。ナンバー2がいませんね。Apple。ただ優秀な開発者と経営担当が沢山いるので、以前のようにジョブスが居なくなってすぐ会社が倒れるような事はないと思います。

私も学生時代QuickTimeが出てきたときは感動しました。早速動画取り込みボードを購入したのですが、親指の爪くらいの大きさのウィンドウで、秒1コマくらいしか動かなかったです。これでも革命が起きた!と思ったものです。あの頃が懐かしいですね。現在のデジタルポストプロダクションへのAppleの貢献度は実は高いんですね。
by DSilberling (2006-01-23 11:01) 

クロロ

ルーカスの離婚が一因でしたか…
ともあれ、アニメ製作の技術が日の目を見て良かったですね
by クロロ (2006-01-23 21:51) 

DSilberling

ルーカスは、現在アニメーション部門をオープンする準備をはじめています。先週ルーカスフィルムを訪れた際は、既にロゴマークもオフィススペースも用意されていました。ルーカスはピクサーのヒットをちょっと悔しく見ていたのかもしれませんね。
by DSilberling (2006-01-24 14:34) 

ぺ。

今日、インターネットを見ていて、
ディズニーがピクサーを買収というニュースがありました。
横にはスティーブ・ジョブスのphoto。なぜ?と思いながら
Dsilberlingさんのページにいくとジョブスのことが!

こんなすごい話があったなんて!!!
映画を観ているようにワクワクしました。

読み終わったあと、ちゃんとニュースに目を通すと
ジョブスがディズニーの筆頭株主となり、取締役会に加わるとありました。

これまたすごい!
ただ、Dsilberlingさんの記事を読んだので、
『ちゃっかりしてるね〜』という印象を受けました(笑
by ぺ。 (2006-01-25 11:33) 

DSilberling

ぺ。さん、こんにちは。今回のUPとタイミングが同じで驚きました。
ジョブスは、ディズニーの役員になり今後は大企業2社を運営することになります。
by DSilberling (2006-01-26 09:18) 

non_0101

こんばんは。
合併ニュースが出て、改めて読み直してしまいました。本当に激動の人ですね!
それにしても、アニメ制作チームが解雇されなくて、本当に良かったです。
“温厚で経営者としてもしっかり”しているジョブスさんが加わって
今後ディズニーが何か変わっていくのか、楽しみにしています。
by non_0101 (2006-01-26 23:40) 

DSilberling

nonさん、こんにちは。今後ディズニーとピクサーは作品を共同でリリースしていきます。既に決まっているのは数作あります。嬉しいのは「トイストーリー3」です。当初はピクサーが離れ、完全に別のスタッフで制作される予定でした。やはり「トイストーリー」はピクサーが作らないといけませんよね。
by DSilberling (2006-02-02 07:53) 

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