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ダイ・ハード [アメリカ映画(80s)]


Die Hard (1988)

ブルース・ウィリスをスターダムにしたハリウッドらしいエンターテイメント作です。

映画スタジオは、巨額の資金を投入し、世界マーケットで大きな利益を得ます。しかし、投資した映画のほとんどは回収不能となるのです。70年から80年代の映画産業は、10本中1〜2本が大ヒットし、残りの8本〜9本の赤字を埋めるという過酷な状況でした。これは、1本の制作費が高騰したこと、そしてお客さんの映画離れが原因でした。しかし、スタジオは贅沢な映画製作現場を経験していたため、制作費を削減することができませんでした。そして、プロデューサーや監督、俳優が自分の好きなことをやりはじめ、お客さんが喜ぶような映画を量産できなくなっていました。メジャー映画スタジオは経営に苦しみました。

こうした中、1980年には、ハリウッド・メジャー・スタジオのひとつユナイテッド・アーティストは「天国の門」を制作し、映画は大コケとなり倒産してしまいました。その他のスタジオもこの事件を「明日は我が身」と感じ、戦々恐々となりました。

20世紀フォックスも例外ではありませんでした。ユナイテッド・アーティストが倒産し、次に倒産するのは20世紀フォックスだとささやかれていました。フォックスは、かつて2回程、会社の経営が行き詰まり倒産寸前まで行ったのですが、1回目は「サウンド・オブミュージック」のヒットで救われ、2回目は「スターウォーズ」で生き延びました。そして3回目の危機です。フォックスは、結局資金が底をつき、自社スタジオの殆どを売却してしまいます。これが、現在のセンチュリー・シティーです。LAに行ってみるとこのスタジオの面積がいかに広大だったのかがわかります。現在はオフィスビルが建ち並び大きなモールがあります。ホテルもいくつか建っています。かつてはこの場所全てが映画スタジオだったのです。

そんな会社の経営危機の中、1つの映画制作にGOサインが出さます。「ダイ・ハード」です。フォックスは資金不足に陥っていたため、まずは有名人を起用することをやめました。そこでTVドラマで活躍していたブルース・ウィリスをキャスティングします。彼は無名でしたが認知度があり、仕事に積極的でした。そしてストーリーはなるべく同じ場所で撮影できるアクションにしました。これにより大幅に制作費を削減できます。例えば007シリーズは1作で、様々な国が舞台となります。そういった場合、スタッフやキャストの移動費や宿泊費は物凄い金額になるのです。「ダイ・ハード」は、ほとんどが1つのビルの中のお話です。これならロサンゼルスだけで撮影が行えるのです。結局撮影はセンチュリーシティーに完成したばかりのビルを使用しました。映画の中では「ナカトミ・ビル」と呼ばれるビルです。

映画は、低予算で完成します。しかも、とても面白く仕上がりました。公開すると、世界中で大ヒットします。
そして主演のブルース・ウィリスはトップスターになりました。以後、大作に出演していきます。
映画はその後続編が2本制作され、どちらも大ヒットしました。

20世紀フォックスはこれで経営が持ち直したのでした。ここから暫くこの会社は健全になっていきます。しかし2000年に入ると、再び経営危機をむかえます。この4度目の危機を救ったのは「スターウォーズ エピソード1」でした。

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コメント 16

minami..

こんにちわ。お邪魔します。
美並です。読ませてもらいました☆
足跡残します。

よかったらぜひ(*^-^)
美並のブログ 
 http://ppp3011.blog2.petitmall.jp/
by minami.. (2006-01-17 16:08) 

クロロ

「ダイハード」は続編も面白かったですね
『なんで丁度“オレ”がここにいるんだよぉ~っ』と言わんばかりに(?!)、
敵に立ち向かうブルース・ウィルスの表情がとても良いです(^^)
フォックスは2度も「SW」に助けられたのですか…
ルーカスに足を向けて寝られませんね(笑)
by クロロ (2006-01-17 22:12) 

coco030705

こんばんは。
「ダイハード」はおもしろかったですね。シリーズもね。
ブルース・ウィリスは、NHKのブルームーン探偵社というドラマに
でてたんでしたっけ?とにかくTVで見たことがあります。
俳優も運不運がありますね。ブルースはやはり運の強い男かも
しれません。
それにしても、映画ってお金がかかるものなんですね。どんなに
儲かっても、また次をヒットさせなければならないんですね。
厳しい世界です。そして、魅力的な世界でもあります。
by coco030705 (2006-01-17 23:44) 

DSilberling

クロロさん、こんにちは。私はパート2が好きでした。でも一般的にはやはり第一作の人気が強いですね。映画の最後で、やっと会えた奥さんに「メリークリスマス」というブルース・ウィリスが好きでしたが、パート3では離婚しているという設定はがっかりでした。
by DSilberling (2006-01-18 09:18) 

DSilberling

cocoさん、こんにちは。大学の投資の授業で、絶対にやってはいけない投資に「映画」がありました。プロでもリスクがありすぎて映画投資は避けるんです。だから、最近流行の映画ファンドは、話題性がありますが、リスクは高いですよ。
by DSilberling (2006-01-18 09:20) 

20世紀フォックスとダイハードの関係は興味津々で読みました。
このようなお家事情の映画とは知りませんでした。
よい勉強になりました。
by (2006-01-18 21:09) 

DSilberling

nekoさん、niceありがとうございます。20世紀フォックスは、また経営が傾いています。今回の危機をなんとか回避させている作品は、映画ではなくテレビドラマ「24」です。ただ、映画程利益がでませんので、「24」の映画化が検討されています。果たして、倒産せずに乗り切る事ができるのでしょうか。
by DSilberling (2006-01-19 08:55) 

サダー

ワタシもセンチュリーシティーに行きましたよ!!
ナカトミビルも眺めました。
ダイハードは密室劇的の演出と脚本の完成度が高いと思います。無人島にもって行く一枚ですね。

マクティアナンが監督した一作目とレニーハーリンが監督した二作目はまだ連続性がありますが、再びマクティアナンが監督した3作目の連続性が失われているのは、やはり二作目が意外に好評だったことへのなにかあてつけめいたものがあるのでしょうか???と勘繰ってしまいます。


シーズン5まで撮られている「24」って、かなりストーリーが強引になってきていると思うのですが、映画化の勝算ってワタシは?な気がします。
by サダー (2006-01-19 23:59) 

TaekoLovesParis

シルバーリングさん、こんばんは。
興味をもって読みました。たびたび危機が伝えられていた20世紀フォックスは、これらの作品で生き延びてきたんですね!世界各地でロケをすると経費がかさむ、、納得です。
今でもブルース・ウィリス=ダイハードですよね。
「クリスマスだっていうのに、、」とぼやいていたマクレーン刑事の姿が浮かんできます。椅子に爆弾つけてエレベーターに乗せたりと孤軍奮闘、、とにかく痛快で、それまでになかったタイプの映画でおもしろかったです。
24は夢中になって見ました。映画でもいけるのでは?
by TaekoLovesParis (2006-01-20 23:12) 

DSilberling

サダーさん、Taekoさん、こんにちは。パート2は、もともと「エアポート」シリーズ最新作として企画されていたものを急遽「ダイハード」シリーズに変更したのですが、なかなか面白かったですね。ラストカットは、実は絵です。日本人の上杉さん(ILM)が書いていて、飛行機の機体には「ケロケロ」と日本語が書かれています。
by DSilberling (2006-01-20 23:27) 

もえもえまちこ

ダイハードはとっても新鮮に感じた映画でした。
最初から勇敢に立ち向かっていくタイプのヒーローより、
事件に巻き込まれていく、ツイてないヒーローがの方が
女性にもウケると思います。
ルックスだけなら特にタイプでもなかったであろう
ブルース・ウィリスがしばらくの間メチャクチャ好きでした。
ハリウッドの映画会社って制作費とか惜しみなく投じるイメージがあるけど
以外に大変そうで…、知りませんでした。びっくり。
by もえもえまちこ (2006-01-21 00:09) 

DSilberling

ハリウッドも好き勝手にお金をつかっているわけではないのですよ。最近はむしろ低予算映画のほうがヒットしています。
by DSilberling (2006-01-21 22:27) 

サダー

なるほど。2の企画に変更したのですか。
確か、「ティアーズ・オブ・サン」は逆に元はダイハードの新作になるはずの企画を書き換えたのでしたよね。
どういう動機があるのか良くわかりませんが。

2のラストカット確認してみます。ありがとうございました。
by サダー (2006-01-22 00:51) 

りんこう

こんばんは!僕はアクション映画は敬遠してしまう傾向があるのですが、
「ダイ・ハード」は抜群に面白い作品だと感じました。
ひとつのビルの中の話ということがプラスにはたらいたのでしょうね。
ところで、ダイ・ハード2に携わっていた上杉さんというかたは、
確か、欽ちゃんの仮装大賞で優勝したかたですよね?
by りんこう (2006-01-25 23:40) 

DSilberling

りんこうさん、こんにちは。
そうですね。上杉さんは現在もILMで働いています。とても才能のある方でサンフランシスコでがんばっていました。

サダーさん、こんにちは。「ティアーズ〜」は、「ダイハード」の続編として宣伝してもヒットが見込めないという判断から別作品となったようです。
by DSilberling (2006-01-26 09:20) 

SKY1

 ダイハードの一番悪い人が僕の友達にそっくりなんです、いいやつなんですが、いつか裏切られるんじゃないかと心配です(冗談ですがそっくりなのは本当です)。
 マクティアナンも牙を抜かれちゃいましたね。
by SKY1 (2006-05-04 00:20) 

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