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13日の金曜日 [アメリカ映画(80s)]


Friday the 13th (1980)

先日、ロサンゼルスのユニバーサル・ウォークで「13日の金曜日」25周年パーティが行われました。あの映画が製作されてからもう25年が経ってしまったのです。このパーティには歴代のシリーズに携わったスタッフ&キャストが集まりました。

このパーティに出席した私の知人が、なんと素晴らしいプレゼントをくれました。それは「The Complete History of FRIDAY THE 13TH」という分厚い本でした。表紙にはジェイソンが描かれています。この本を手にした時、遂にこのシリーズも伝説になったんだなあと感動しました。そして表紙をめくると、そこには20名以上の直筆サインが入っていました。25周年パーティに出席したスタッフ&キャストがサインした本だったのです。

1969年、ショーン・カニングハムという20歳の青年が、コネチカットにある妻の家の近くに小さなオフィスを構えました。結婚1周年を迎え、二人で小さなビジネスをはじめることにしたのです。それはフィルムビジネス。既にブロードウェイで、ある成功を収めていた二人は映画を作ってみたかったのです。はじめは今まで培ってきた芸術的なセンスを活かせる映画を作ろうと試みました。その後、試行錯誤を繰り返しますが、なかなか面白い映画を作ることは出来ませんでした。

そんな中、カニングハムはより商業的に儲かる映画の制作に着手します。1979年、55万ドル(約6000万円)を投じて28日間で撮影された「13日の金曜日」です。芸術とはほど遠いこのホラー映画は1980年にアメリカで公開されると、誰もが予想をしていなかった程大ヒットしてしまいます。

映画は、4000万ドル以上の興行収入をたたき出し、ロングランを続けます。そして、世界中で大ヒットをしてしまうのです。このヒットの要因は「馬鹿げた幸運」と自ら語るようにカニングハムですら理解できなかったようです。

ニュージャージーのとあるキャンプ場、クリスタルレイク。このキャンプ場に若者がやってきます。そして楽しいはずのキャンプがとんでもない殺戮の場と化してしまいます。当時は、このようなシノプシスは新鮮で、最後に女性が生き残るというパターンは、その後何十何百というホラー映画でまねされました。特に話題となったのはラストシーンです。話が一件落着したと思っていると、最後にとんでもない映像が登場するのです。このストーリーとは関係のないシーンが観客に受けました。

その後、「13日の金曜日」はシリーズ化されます。カニングハムは、原案料だけ受け取り、続編の制作には直接タッチしませんでした。続編は、パート1では登場しないジェイソンが実は生きていたという設定となります。ジェイソンは、白い布のマスクをかぶり、クリスタルレイクを訪れる若者達を殺して行きます。そして、パート3で遂にジェイソンはあのホッケーマスクを手に入れます。3D映画として制作された第3作目は大ヒットします。そしてホッケーマスクのジェイソンはキャラクターとして確立するのでした。当然、スタジオは続編の制作を加速させます。続く第4作は、最終章とタイトルがつけられ、シリーズはピリオドを打ちます。そう、遂にジェイソンは最後のととめをさされるのでした。ここまでで「13日の金曜日」シリーズは一区切りするはずでした。しかしシリーズ中最大のヒットという記録を作った最終章をこのままで終わらせてはもったいないと考えたスタジオはさらなる続編の制作に着手します。ただ、ジェイソンが既に死んでしまっているという設定では、続編のストーリーが作れません。悩んだスタッフは、面白い設定を考えつくのでした。ジェイソンは既に死んでいるのですが、実は死んでいなかったと思わせ、他人がジェイソンになりすまして殺戮を行うという設定です。これは番外編としてなかなか楽しめました。このストーリーは一般にも評価され、大ヒットします。

本来ならば、オリジナルを作ったスタッフやキャストが、続編制作に関する意思決定を行うべきです。しかし「13日の金曜日」シリーズは、契約でスタジオが続編に関する決定権を握ってしまいました。こうなると、作品に愛情がないエクゼクティブは儲かるだけ儲けようという商業的感覚のみで続編を作り続けます。不幸にも「13日の金曜日」はこれ以降、ストーリーはどうでもよくなり、もうけが続く限り次々と量産されていくのでした。
パート7以降の作品は語る必要もない程酷いストーリーで、ファンを失望させますが、派手な宣伝とジェイソンの知名度で、興行収入はUPしていきます。しかし、あまりにありえない設定とマンネリ化したストーリーにより客はシリーズに飽きてしまいます。そしてシリーズをしゃぶり尽くしたパラマウントは、映画の続編の権利をニューライン・シネマに売り飛ばしてしまうのでした。

ニューラインは、9作目となるFinal Fridayを制作しますが、評価は散々でした。そこで、2つの企画を立案します。ひとつはこのシリーズの創始者であるカニングハムに製作を依頼すること。そしてもうひとつはニューラインの看板である「エルム街の悪夢」シリーズのキャラクターフレディとの競演です。この2つの企画は映画化されます。そしてカニングハムが担当した「X」は、まあまあのヒットとなり、「フレディvsジェイソン」は大ヒットしました。

しかし、これ以降は映画化の企画は進行していません。ファンは失望し、この企画を続けるスタッフもいなくなってしまいました。

企画立案者ではなくスタジオの意向で製作さた続編。本来あったストーリーのルールやポリシーが忘れ去られだんだんと劣化していきます。だからスタッフやキャストが入れ替わってしまうのです。そして観客は失望します。この典型が「13日の金曜日」なのです。

ショーン・カニングハムは、シリーズにはほとんど関われませんでしたが、続編の原作者であることで莫大なロイヤリティを手にすることが出来ました。何もせずに毎月多額の入金があったのです。今ではロサンゼルスに大豪邸を構え悠々自適な生活を送っています。

そして、今でも第1作は高い評価を得ていますし、パート5までのシリーズにはファンがついています。だから25周年パーティはおいの盛り上がり、当時のスタッフやキャストが大集合して、集まったファンに歓迎されました。

カニングハムは、2006年に新作を監督します。なんとこの企画にはとんでもないサプライズが用意されています。それは「トラップト・アッシュ」という作品で彼は日本を舞台にしたホラーに挑戦しています。

そして、2009年には、マイケル・ベイの手による待望のリメイク版が公開されます。

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13日の金曜日 PART7 新しい恐怖
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フレディ VS ジェイソン


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コメント 4

jedioki

「エルム街の悪夢」シリーズが、「ダイ・ハード2」のレニー・ハーリンや「24」のスティーブン・ホプキンスといった、後のメジャー監督を輩出したのとは対極的ですねえ。
個人的には、サバイバル・ゲームをフィーチャーした「6」や、オチに大爆笑させられた「7」も忘れがたいものではありますが(笑)、そうは言っても初期シリーズの持っていた雰囲気はすでにありませんでしたね。
by jedioki (2005-10-28 22:06) 

クロロ

何かの映画の予告編を見た程度なのですが、殺されるシーンがエラく怖くて、
結局見ていません…が、何作目かのプロモーションで、テレビに出演していたフレディと、カトちゃんケンちゃんがコントをやっていたのでビックリ!
そのころが、「どうでもよくなっていた時期」だったのでしょうね(笑)
by クロロ (2005-11-03 22:14) 

DSilberling

映画のシリーズは、権利が誰にあるかで大きく左右されてしまいます。「ジョーズ2」「ターミネーター3」などは私はとても失望しました。今気がかりなのは「トイストーリー3」です。ディズニーが勝手に作る続編は見たくないですね。
by DSilberling (2005-11-05 18:16) 

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