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アポロ13 [アメリカ映画(90s)]


Apollo 13 (1995)

アポロ13号の危機を忠実に描いた名作です。

監督のロン・ハワードは、役者の両親に育てられ、子役としてテレビドラマや映画で活躍していました。彼の初出演は1歳と6ヶ月の時に出演した「Frontier Woman」(1956)です。それ以来おおくの映画に出演しました。通常、子役は子役で終わるというのが定説ですが、高校、そして大学生となっても彼は俳優として人気を維持します。ハワード少年は、華やかな生活を拒否して、極めて普通の少年と同じ生活を送りました。彼は、公立の学校に通い、友達と普通に交流し成長しました。そして、南カリフォルニア大学に入り、俳優を続ける傍ら自分の夢である映画監督の勉強をはじめます。

ハワードは、同じ南カリフォルニア大学を卒業したジョージ・ルーカスの映画「アメリカン・グラフィティ」(1973)に出演し、役者としてさらなるキャリアを築きますが、監督になるという夢は忘れることが出来ませんでした。その後、彼はTVシリーズにいくつか出演しますが、監督業に専念します。そして何本か監督をして、遂に「スプラッシュ」(1984)で大ヒット監督になりました。当時サタデーナイトライブで人気のあったトム・ハンクスが主演の恋愛コメディです。このヒットを受け、ハワードは「コクーン」(1985)「ウィーロー」(1988)などヒット作を連発します。

彼はハリウッドでもヒットメーカーと呼ばれる名監督になりました。自分でIMAGINEという映画製作会社を設立し、意欲的に映画を作り続けます。そして「バックドラフト」(1991)「遥かなる大地へ」(1992)という大作を世に送り出します。

演出家として脂が乗った彼が次に製作を決意したのは、アポロ計画の映画でした。当初は誰もが人類史上初めて月に行った「アポロ11号」の史実を映像化するものだと思い込んでいました。しかし、ハワードが目を付けたのは、既に忘れ去られていたアポロ13号のお話でした。

アポロ計画は、当初世界的なニュースになり、打ち上げ毎に世界中のテレビが中継をしました。それだけ注目度が高かったのです。しかし11号が月に着陸を果たすと、それ以降は皆興味を失い、ロケット発射はテレビ中継すらされなくなってしまいます。そんな中、注目されず13号が打ち上げられます。その13号、実はとんでもないトラブルを起こしてしまいます。宇宙空間で操縦不可能に陥ってしまうのです。誰もがアポロ13号の帰還は不可能だと思いました。しかし、NASAはスタッフを総動員してアポロ13号とその乗員を救出すべく動き出すのでした。

この事件は、テレビで放送されました。皮肉にもトラブルが起きてから初めてマスコミが13号を注目したのです。

映画は、13号を救出した男達を描きます。主人公はアポロ13号の乗組員ではなくNASAのスタッフなのです。この発想には驚かされました。そしてエド・ハリス演じるNASAのチーフ、クランツには誰もが涙しました。

ロケット発射映像や宇宙空間の映像はILMが担当しました。当時の映像をベースにモデリングとCGで作られた映像はまるでドキュメンタリーのようにリアルで美しく仕上がっています。この派手ではない映像が映画のドラマ性をさらに高めています。

主演は「スプラッシュ」で仕事を共にしたトム・ハンクス。脇をビル・パクストンとケビン・ベーコンが固めています。この二人はちょっとだけ演出されています。実際の宇宙飛行士はどんなことがあろうと感情的にはなりません。しかし彼らはドラマ的に感情をあらわにします。アポロに乗れず、地上でシミュレーションをするケンにはゲイリー・シニーズ。シニーズの控えめでその裏に隠された熱い思いを醸し出す演技は見事です。

映画は当然大ヒットします。そして「Houston, We have a problem」というコピーは、何度も使われ話題になりました。

DVDのメイキングには、本当の「アポロ13」のドキュメンタリーが入っていました。この中で、本物のクランツ氏が当時を語り涙するシーンはとても感動的です。映画を見た後、このドキュメンタリーを見ると物凄く感動するのです。そして、この映画が公開されてから、はや10年が経ちました。そして記念DVDが発売されます。さてどんな内容なのか、とても楽しみです。

<ロン・ハワードの作品を購入>
スプラッシュ 特別版

ウィロー 特別編
バックドラフト
遥かなる大地へ

アポロ13 10thアニバーサリー スペシャル・エディション


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コメント 8

クロロ

電力を節約するためにあえて地球から遠ざかる、という状況に自分が辛くなってしまいました…これも本当にいい映画ですね
by クロロ (2005-10-22 10:38) 

ぺ。

DSilberlingさんがもの凄く感動したドキュメンタリー、
とても観てみたくなりました。
アポロ13 10thアニバーサリー スペシャル・エディションでも
メイキングとして入っていればいいなと思います。
by ぺ。 (2005-10-22 14:31) 

DSilberling

そうですね。月の重力を利用して地球に帰還するんです。その時、本当は向かうはずだった月を見る乗組員の姿が泣けました。
DVDには、私の感動したメイキングが入ってくれるといいですね。
by DSilberling (2005-10-22 16:01) 

何回も見た映画です。
本では前から読んでいたのですが、
映画になると帰還できるかハラハラさせられてしまう迫力。
またDVDで見たくなった。
by (2005-10-23 19:29) 

見逃した名作で何時か見たいと思うっている作品の一つです。
もう一つの「アルマゲドン」を最近見て感激したばかりなので観るのが楽しみになって来ました。
by (2005-10-23 21:48) 

DSilberling

nekoさん、こんにちは。映画はやはりラストの通信不能になるところがドキドキしますね。
twilightkumaさん、こんにちは。アルマゲドンは完全なフィクション、こちらはノンフィイクションです。やはりBased on a true storyは感動の度合いが違いますよ。是非見てください。
by DSilberling (2005-10-23 22:06) 

tzneyan

 思い出しましたね,この映画。あまり大きな期待を持たないで観に行った記憶があります。そんな乾いた気分をひとつひとつ皮を剥ぐように潤していってくれて,たぶん最後は拍手になったのかなぁ。気分良かったなぁ。エド・ハリスの存在は決定的になりましたね。
by tzneyan (2005-10-24 09:37) 

mimiclog

こんにちは、またお越し頂きありがとうございます。

『アポロ13』は私のお気に入りの一つで、ゲイリー・シニーズを好きになった最初の映画でした。それ以来私はゲイリー病です…。表情も好きなのですが、いつもこう、なんて言ったらいいか、表裏をひっくり返す演技とか、内に秘めた何かを表現するのがすごく巧いなと。お陰でゲイリーを観ると何かやる、という期待?の眼で見てしまってます^^;
by mimiclog (2005-12-07 13:10) 

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