運命じゃない人 [日本映画]
PFFスカラシップ作品として製作され、海外の映画祭で高い評価を得たエンターテイメント映画の秀作です。
今回は、たぶんご存じないだろう映画を紹介します。この映画は、2004年に製作され、地味に全国の主要都市でロードショー公開され続けています。要はアートハウス系の小規模公開作品です。大ヒット作品ではありませんし、メディアに取り上げられた作品でもありません。しかし、この作品物凄いパワーを秘めた作品です。
演出/脚本の内田けんじ監督は、サンフランシスコ州立大学芸術学部映画科に入学し、8ミリから35ミリまでの映画製作技術をはじめ、脚本技術も学んだそうです。帰国後、自主製作した『WEEKEND BLUES』が第24回ぴあフィルムフェスティバルなどで高い評価を受け、初めての長編映画を制作するチャンスを得たそうです。それが、この「運命じゃない人」なのです。
物語は大まかに言うとこんな感じです。キナ臭い出来事とは無縁のいい人が2000万円もの大金をめぐって様々な騒動に巻き込まれていきます。様々な思惑を胸に秘めた男女の運命の行方ははたしてどうなるのか!?でもこんなストーリーを紹介してもこの映画の魅力は語れません。映画最大の見せ場は巧みな脚本と編集にあるからです。まるでパズルのように同時進行する複数の話が見事に絡み合い全体の時間が流れて行く映画の構造はとても緻密で観客を刺激してくれます。
おそらく制作費は相当少ないでしょう。しかし監督自ら手がけた脚本は非常に良く出来ており、ただただ感心するばかりです。遂に日本にもこういうタイプの才能が芽生えたんだなあという感じです。
映画は、予算のためなのか、プロデューサーチームが弱かったのかわかりませんが、全体的に地味に仕上がっています。宣伝も残念ながらうまく行っていません。おそらく発売されるDVDもあまり売れないでしょう。こんな素晴らしい作品なのに殆どの映画ファンが知らないままなのは大変もったいないことです。
今後、内田監督は、さらに力を付け面白いエンターテイメント映画を作り続けるでしょう。今後最注目の監督です。
はじめまして。自分も実は偶然この作品に出会ったんですが、観ることができてよかったと思いました。内田けんじ監督の脚本の構成力やバジェットはこれだけでも繰り返しの鑑賞にしっかり耐えうる着眼点のユニークさやオフビート感の個性は新鮮でした。次の作品がほんと楽しみです。
by cs (2005-10-05 22:24)
csさん、こんにちは。そうですね。こんな才能がいたなんて驚きです。次回作が楽しみです。
by DSilberling (2005-10-05 23:45)
内田けんじ監督に魅力を感じました。観てみたいですね!
DVDが出たら楽しみです。
あ、最近『シンデレラマン』を観ました。
感動の中に複雑な気持ちがたくさん残りました。
周りの評価が過激すぎたからかもしれません。
DSilberling さんはもう観られました?
by ぺ。 (2005-10-06 00:03)
今日、DVDのオーディオコメンタリーのディレクターを務めてきました。監督とメインキャスト5人、総勢6人のとてもにぎやかでアットホームなコメンタリーになったと思います。それぞれのメンバーがまんべんなく話を展開していけるという稀有な仕上がりになっていますが、それも内田監督の話題の振り方のうまさと、引き出しの多さに感心させられ、そして何より現場の雰囲気が本当に素晴らしかったであろうことを十二分に感じさせられた収録になりました。
by jedioki (2005-10-28 22:10)
jediokiさん、こんにちは。DVD楽しみです。このような才能のある監督の登場は邦画が次世代に移った感じがしますね。
by DSilberling (2005-11-02 09:44)
これ、大好きです。
by *chiaki* (2006-01-09 14:26)