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バック・トゥ・ザ・フューチャー  [アメリカ映画(80s)]


Back to the Future (1985)

監督のロバート・ゼメキスと俳優のマイケル・J・フォックスを世界的に有名にしたエンターテイメント作品の名作です。

ロバート・ゼメキスは、小作品「抱きしめたい」や「ユーズドカー」の監督をする前から、この企画を友人のボブ・ゲイルと暖めていましたが、スタジオは面白いとは思わず、製作費集まりませんでした。それなりにコストがかかるSFなのにコメディという内容がビジネス的に難しいということが原因でした。そんな中、「ユーズドカー」で才能を認めてくれたスティーブン・スピルバーグは、ゼメキスの企画にGOサインを出します。スピルバーグが立ち上げた製作会社アンブリンエンターテイメントを母体とし、配給をユニバーサルに持って行ってくれたのです。当時、大人気だったスピルバーグが持ち込んできた企画はすんなりと通り、映画が製作されることがきまりました。(この後「ユーズド・カー」以降「ロジャー・ラビット」までゼメキスとスピルバーグの関係は続き、ゼメキスの殆どの映画がスピルバーグのアンブリン・エンターテイメント製作となります。)

実際に撮影が行われるまで、時間がたっぷりあったので、脚本は練りに練られとても面白いものになっていました。そして、当時の大統領が俳優出身のレーガンとなり、さらなる要素が詰め込まれました。撮影にかかる資金も十分に用意されました。準備は完璧、いよいよ撮影の開始です。

主演のマーティーには、当時若手俳優のホープだったエリック・ストルツをキャスティングし、順調に撮影が進んで行きました。しかし、フィルムラッシュッシュ(撮影済みのOKテイクを脚本と同じようにつないで試写すること)を見たゼメキスは唖然とします。撮影時、ちょっとだけストルツの演技が固いなあと思っていたゼメキスは、ストーリーに合わせて進むストルツの演技に疑問を抱いてしまいます。これは、スタッフ全員が感じた違和感でした。すぐにエクゼクティブプロデューサーだったスピルバーグが試写室に呼び出されます。ここで映画史に例のない大決断が行われたのでした。

「主役を交代しよう」

おそらく、この決断はエリック・ストルツだけでなくこの作品に関わった誰もが辛かった判断です。結局、当時テレビのコメディドラマで人気だったマイケル・J・フォックスが新しいマーティー役に決まりました。実はフォックスは、オーデュションの段階で最後まで残っていました。しかし、テレビ番組の収録があるためスケジュール的に無理だと判断されていました。急に映画の主役の依頼が飛び込んできたフォックスは驚き、そして快諾します。
スタッフは、撮影したロケ地へ戻り、壊してしまったセットを立て直しました。そして、ストルツ以外のキャストは再び集められ、もう一度同じ演技を別のマーティと演じるはめになりました。(キャストはこのあとパート2、3でまたまた同じ演技をさせられます)フォックスは昼間はテレビドラマの撮影、夜は映画の撮影をいう超ハードなスケジュールをこなすことになります。しかし、スタッフ、キャストは総出で頑張り続けました。

映画はこのようにほぼ2本分の手間をかけられ完成したのです。撮影を2回行ったことで、1回目の反省を受けた映像はさらに磨きがかかっていました。完成したフィルムは、密度の濃いエンターテイメント映画として遂に完成します。
映画はアメリカで公開され大ヒットします。85年夏の目玉となり映画史に残る興行収入を上げる記録を打ち立てました。日本ではクリスマス公開となり、同じくスピルバーグ製作の「グーニーズ」と公開が重なりました。85年の冬はスピルバーグ旋風が吹き荒れた年末・年始となりました。テレビ俳優の起用(エリック・ストルツの代役でマイケル・J・フォックスが主演)と地味に思えた作品でしたが、アメリカ同様大ヒットしました。

映画は、公開後続編の製作が決定され、再びキャストとスタッフが集められました。当然続編も大ヒットしました。現在ユニバーサルスタジオ(テーマパーク)には「Back To The Future The Ride」という施設があり、映画の後の世界を体験できるようになっています。このライドの監督はシリーズのVFXを担当したダグラス・ロランブル。映像制作は日本のイマジカが担当しています。

幾多の困難をバネにし企画を映画化したゼメキスは、このあとシリーズ以外にも「フォレスト・ガンプ」「ロジャー・ラビット」等数々のヒット作を作り上げ、ハリウッドのA級監督リストに載る大監督となりました。彼は今でも精力的に新技術を導入したエンターテイメント作品を作り続けています。

音楽を担当したアラン・シルベストリは、映画とともに大ブレイクしました。特にパート1のサウンドトラックはヒットチャートにも入りました。パート1、2,3そしてユニバーサル・スタジオの「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」のテーマまで手がけ、「Back To the Future」シリーズの陰の立役者です。シルベストリは、現在でも一貫してゼメキス映画の音楽を担当しています。

代役でマーティを演じたマイケル・J・フォックスは、この作品で世界的なスターとなり、以後多くの映画に出演しました。現在は病気と闘いながら活動を続けています。ドク役のクロストファー・ロイドはゼメキス作品を中心にエキセントリックな役を怪演しています。

この作品に関する詳しい内容は、私が制作している「バック・トゥ・ザ・フューチャー ファンサイト」をご覧ください。
http://bttfuture.hp.infoseek.co.jp/


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クロロ

そうか…「BTTF」の無駄の無い映像は、2本分の手間をかけたから、と言うこともできますね! 当時買ったムックに、一枚だけエリック・ストルツで撮ったバージョンの写真が載っていたので、どういう感じなのか気になっていました
「エリックは…ハンサムすぎる(!?)から降ろされた」という記事も読んだことがあるような(笑)
J・フォックスが、またスクリーンに帰ってきてくれると嬉しいですね
by クロロ (2005-08-24 16:33) 

vivian

初めまして!
バック・トゥ・ザ・フューチャーは、マイケル・J・フォックスが好きで観た映画でした。Ⅰ・Ⅱとシリーズ化されてましたが、やはり、Ⅰの方が印象深く楽しめた記憶があります。マイケルファンの一人としては、早く、映画復帰してもらいたいと願うばかりです。ファンサイトへも、訪ねてみよう(^^)
by vivian (2005-08-24 18:54) 

DSilberling

クロロさん、vivianさん、こんにちは。ストルツ版の映像は私のサイトに掲載しています。是非見てください。
by DSilberling (2005-08-24 21:47) 

coco030705

こんばんは、ココです。
おもしろい記事をありがとうございました。わたしも、バック・トゥ・ザ・フューチャーのファンです。こんなエピソードがあったとは知りませんでした。
ストルツ版も見せていただきますね。
by coco030705 (2005-08-24 22:20) 

DSilberling

ココさん、こんにちは。実はDVD発売時にストルツ版が入るのではという噂がありました。実際、ストルツサイドと権利関係の交渉をしたらしいのですが、権利クリアーできなかったようです。このあたりはサイトのDVDの項目に詳細をのせていますのでご覧ください。
by DSilberling (2005-08-24 23:06) 

ぺ。

とってもおもしろかったです!!!
僕の大好きな映画のひとつなので、
驚きでいっぱいでした。
「Back To The Future The Ride」は
ユニバーサルスタジオで好きな施設の一つです。
では、「バック・トゥ・ザ・フューチャー ファンサイト」
に行ってきます。
by ぺ。 (2005-08-25 19:41) 

DSilberling

ぺ。さん、こんにちは。サイトの方は結構細かく作っているつもりです。楽しんで頂けると嬉しいです。
by DSilberling (2005-08-25 22:42) 

jedioki

DVD、また新バージョンが発売ですね・・・
すでに国内版とUS版(スタンダードサイズバージョン)のボックスを所有しているので、次で3つ目かあ・・・
by jedioki (2005-08-30 01:30) 

りんこう

はじめまして!りんこうというものです!
バック・トゥ・ザ・フューチャー。とてつもなく面白い大傑作だと思います。
ヒューイ・ルイスの主題歌も印象的です。チラッと出演もしてますね。
ファン・サイトもおじゃまさせていただきます。
by りんこう (2005-12-13 19:25) 

DSilberling

りんこうさん、こんにちは。BTTFは製作から20年以上たっても面白いですね。大きな映画賞は受賞していないですが、映画史に残る名作です。サイトもよろしくお願いします。
by DSilberling (2005-12-15 09:36) 

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